米国の心理学者が唱えた法則によると、うわさが広がる内容の重要さ(I)

とあいまいさ(A)掛けた積(IXa)に比例する。

ひとびとにとって関心が高く、かつはっきりしない情報ほど、

拡散の度合いが大きいとされる。

 

大阪府の吉村洋文知事が、新型コロナウイルスの感染拡大防止に、

ポピドンヨードを含むうがい薬が有効だと発言したところ、

関連商品を買い求める人が続出した。

 

府内はもとより、福島県内でもドラックストアで売り切れた。

ただ、効果については日本医師会などが疑問を投げかけた。

 

知事の言葉なので「うわさ」とは言わないが、「IXa」の法則が当てはんまる現象ではないだるか。

ウイルスに関するさまざまな話題があふれる中、

安心につながる情報を世間は求めている。

影響力のある発信者の声に一人ひとりが耳を澄ます。

 

お盆休みを迎える直前、安倍晋三首相は、広島で臨んだ1か月半ぶりの会見で、

「高齢者の感染者につながらないよう十分注意してほしい」と訴えた。

誰でも心得ている当たり障りのない内容だった。

 

抜群の発信力を活かして浸透させてほしいのは、

国民の不安をやわらげる明確な目標と道筋なのに。

 

元毎日新聞記者・ジャーナリスト・熱海芳弘