PCやスマートフォンでWebサイトを見ていると、「この広告、毎回表示されているな……」と感じることがあります。これは、ユーザーの閲覧履歴をもとに好みや属性を推定して配信される広告「追跡型広告」(行動ターゲティング広告)によるものです。
追跡型広告は、本来はユーザーの興味に沿った広告を増やし、クリック率を高めることで、ユーザーにとっても広告主にとってもメリットがある仕組みとされていますが、実際には「全然興味のない広告が毎回表示される」「不快な広告が消えない」など、問題がある場合も少なくないようです。
これらは、追跡型広告そのものというよりも、その精度の低さに由来する問題だということができるでしょう。つまり、追跡型広告に「誤った(自分の求めていない)情報」を握られているために起こっている問題というわけです。
「不要な広告に追跡されない」ために筆者が心掛けていることを、以下にいくつか挙げてみます。
普段から実践しているのが「プライベートブラウズに頻繁に切り替える」ということです。プライベートブラウズは、SafariやChromeなどほとんどのインターネットブラウザに搭載されている機能で、このモードに切り替えると端末に閲覧情報やCookie情報が残りません。家族との共用PCで、他人に閲覧履歴を見られたくない場合などに使うのが一般的です。
このプライベートブラウズを、筆者はかなり頻繁に使います。主に使うのは、何かの調べ物をするとき。例えば仕事で必要な情報をGoogle経由で調べるときには、多くの場合プライベートブラウズを使っています。自分にとって継続的に必要な情報であれば別ですが、そうでない場合、「自分の属性情報」としては不要になりそうな情報をブラウザにためこませないためです。
以前、記事を書くために一時的に必要な商品の情報を調べていたら、その後ありとあらゆるサイトでその商品のバナー広告が出てきて閉口したことがありました。また、自宅でも職場でもない出先の住所から、次の移動先までの行き方を路線検索したところ、特に縁のないその地域の住宅情報などが出てきて「なんか違うなあ……」と思ったこともあります。こうした事態を避けるためにプライベートブラウズを使うのです。
PCであれば、どのブラウザでもプライベートブラウズのショートカットキーが用意されているはずです。一例として、Windows版のChromeであれば「Ctrl」+「Shift」+「N」で一瞬で起動できます。iPhoneのSafariなら、起動後に右下の四角が2つ重なったアイコンから新規ウィンドウ画面を表示して、左下の「プライベート」ボタンから切り替えられます。
ネットを利用する上で多くの人がGoogleアカウントを取得していると思いますが、アカウント情報画面から現在の広告設定を確認できることはご存じでしょうか。
「Google広告の管理」ページでは、自分が興味関心があるとされるトピックや、性別・年齢のプロフィール情報などを編集できます。ここで表示されている情報に基づいてGoogleが配信する広告が決定されているため、この情報を編集することで、ある程度は表示される広告をコントロールできます。
ただし、当然ながら広告表示の裏側には複雑なアルゴリズムが存在するため、これだけで単純に見たくないものを全てなくせるというわけではないでしょう。また、これらの情報はYouTubeで再生した動画など、Googleが運営するサイト内でのアクティビティから取得しているので、ある程度の期間ごとに定期的に見直した方が効果があるはずです。
複数の広告掲出先(WebサイトやSNSなど)を集めて、GoogleやYahooなどがまとめて広告を配信するシステムを「アドネットワーク」と言います。この仕組みを用いて表示されている広告は、広告の右上に小さなマークがあり、そこをクリックすることで広告を非表示にしたり、不適切な広告として報告したりできます。
これは上で挙げた1や2と比べると、広告に“追跡されない”ためにというテーマからはやや離れますが、自分にとって不快な特定の広告が表示されないようにするためには効果があります。
近年は電子マンガ関連の行き過ぎた広告表現などに疑問を持つ声も上がってきていますが、自分にとって興味がないばかりか、見るたびに嫌な気分になる広告などに対する対抗策はまだまだ少ないと言わざるを得ません。それでも、こうしたユーザーの声が統計的に蓄積されていくことで、広告の出稿元や配信先に対する抑制力として働くことを期待しています。
今回は「不要な広告に追跡されないために」というテーマで3つの方法を説明しました。実際には、「広告は全て不要」と考えて(追跡型を含む)広告のほとんどを非表示にするアドブロッカーアプリなどを使用している人もいるでしょうが、筆者は自分の興味関心の範囲内で適度に広告が出る分には問題ない(というかコンテンツビジネスにおいて必要不可欠なもの)と考えているので、あくまでも「表示内容の精度を上げる」方向に進んでいってほしいと思います。
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