挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
落ちこぼれの兄の方が実は最強〜史上最強の勇者、未来の世界へ転生する。優秀な弟に婚約者を寝取られ、家や学校からも無能と蔑まれてたが、前世の力を引き継ぎ気ままに生きてたらいつの間にか目立ってた 作者:茨木野

第3章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
40/101

40.勇者、星を穿つ


 俺の家に、魔族が襲撃してきた。

 狙いは弟だった。

 捕縛して俺に言うことを聞かせようって魂胆らしい。


「ぐすっ……ふぐっ……」


 ガイアスは先程から、へたり込んで涙を流している。


 よほど、魔族が怖かったのだろう。


「怖い思いさせてすまないな」

「ちがうよアホぉ~……」


 そのときだった。


 ドガァアアアアアアアアアアアアン!


 屋敷を、巨大な何かが突如として襲った。


「う、うわぁあああああ! って、えぇえええ!? なにこれぇ!?」


 ガイアスが腰を抜かしている。


「壁やガラスの破片が、く、空中に浮いてる。音も……しない。これ、どうなってるの……?」


「え、時間を止めただけだけど?」


時間停止(タイム・ストップ)

 ほんの短い間だけ、時を止める魔法だ。


「もう……無茶苦茶だ……兄さんあんた、魔王の生まれ変わりなんじゃないの……?」


 惜しい。

 本当は勇者の生まれ変わりだ。


「さて、っと、襲ってきたのは隕石か」


 10mほどの巨大な岩が、屋敷に衝突したようだ。


「こんなでかいのが近づいているのに、まったく気配を感じなかったのはどうして?」


「たぶんさっきの魔族が仕込んでいたんだろ。隠密能力が付与してある」


 彼の死後、隕石が落ちるように魔法がかかっていた。


「こんなの衝突したら、この国滅びちゃうよ……」


「え、滅びないぞ」


「は? いや、いくら時間停めてたとしても、もう衝突した事実は変わらないんだし、終わりだよ……」


 俺は右手を前に出し、全集中を使って魔力を練り上げる。


「な、なんだよこの膨大な魔力量は!?」


「これから使う魔法、結構魔力食うからな。【時間遡行(タイム・リバース)】」


 その瞬間、俺の周囲に無数の魔法陣が出現。

 それは時計を模したデザインのものだ。


 時計の針が逆に回りだす。


「こ、壊れたものが元に戻ってく!? い、隕石も!?」


 衝突寸前だった隕石は、宙へ向かい戻っていく。


 壁は元通り、そして隕石は、衝突する前の位置まで戻っていった。


「い、今の何なの……?」


「え、時間を魔法で10秒だけ戻しただけだぞ?」


 弟はその場にへたり込む。


「さて、じゃあ後始末しますか」


 俺はさっきの魔族が吹っ飛ばされて、開いた穴の前に立つ。


「なに、するのさ……?」


「隕石ぶっ壊す」


「は、はは……なにを、バカなこといってるの? そんなの、できるわけが……」


 俺は剣を創生し、構える。


『勇者よ。これでは駄目だ。剣がもたぬ』


 そういうと、俺の体から従魔(サーヴァント)の魔王が出てくる。


 彼女は黒く輝くと、体を変化させる。


 それは1本の黒い剣となった。


『魔剣ヴェノムザード。魔王が自ら剣に変化して作った剣だ。これなら耐久性は申し分ないだろ?』


「ああ、サンキュー」


 装飾の少ない、黒い刃の剣を、俺は構える。


 膝を曲げ、重心を落とす。

 左手を前に出し、刃に添える。


 キィイイイイイイイイイイイン!


「すごい量の魔力が……剣先に一点集中してる……なんだあれ?」


 次第に魔力が、黒く、輝いていく。


「魔力に色がつくとこ、はじめてみた……」


「膨大な量の魔力を圧縮すると、黒く輝くようになるんだよ。……さて、いくか」


 俺は前に踏み込む。

 右手に持った魔剣を、超高速で突き出した。


 カッ……!


 落雷時のように、黒い光が周囲に瞬く。


 俺の剣先から一直線に、黒い光線が放たれる。


 ビゴォオオオオオオオオオオオオ!!


 黒い光は真っ直ぐ、落ちてくる隕石に衝突し、貫いた。


「だ、駄目だ……小さな穴を開けただけ。意味ないよ……!」


「え、そんなことないぞ。ほら見ろ」


「!? い、隕石が……穴を中心に【崩れてく】」


 ボロボロと、濡れた紙のように巨大隕石は崩壊していった。


 やがて、文字通り跡形もなくなった。


 破壊による衝撃も余韻もない。

 元から何もなかったかのように、穏やかな夜空が浮かんでいる。


「……い、いまの、は?」


「え、【崩壊剣アルティマ・ソード】だけど?」


 魔力を超圧縮して打つ。

 その光に触れたもの全てを崩壊させる、剣聖の持つ奥義の一つだ。


『魔王である我も、あの奥義には苦戦させられた。見事な技だぞ、さすが勇者だ』


 全てを片付けた俺は、修復魔法で壊れた壁等を元通りにする。


「ん? どうした弟よ?」


 ガイアスは魂が抜けたような表情で、俺を見つめている。


「レベルが、違いすぎるよぉ……」


 ポロポロと、弟が涙を流す。


「だ、大丈夫か? どこか痛いのか?」


「こんな人外のバケモノと、勝負するのが間違いなの……? ボクじゃ、一生勝てないのかよぉ……」

面白いと思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】からポイント評価をしてくださると嬉しいです!

  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。