挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
落ちこぼれの兄の方が実は最強〜史上最強の勇者、未来の世界へ転生する。優秀な弟に婚約者を寝取られ、家や学校からも無能と蔑まれてたが、前世の力を引き継ぎ気ままに生きてたらいつの間にか目立ってた 作者:茨木野

第3章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
33/101

33.勇者、弟の前で親から手のひらを返される



 トカゲの魔神を討伐した、数時間後。


 カーライル邸宅の、弟の部屋にて。


「入るぞ」


 ベッドでは、弟が横たわっていた。

 ぐったりとした表情で、天井を見つめている。


「……なにしに、きたんだよ」

「おまえの様子を見に来たよ」


 俺はガイアスのベッドに近づき、椅子を創生して、座る。


「……なにさらっと椅子を魔法で作ってるんだよ」


「え、それがなにか?」


「もういいよ……兄さん、あんた、力を隠してたんだね」


 くしゃっ、とガイアスは顔をしかめる。


「……やっぱり【予言】は正しかった。兄さんのほうが【変革者】だったんだね」


「へんかくしゃ?」


 と、そのときだ。


「ユリウスぅ! こぉんなところにいたのか!」


「親父、おふくろも」


 ふたりは気色の悪い笑顔を浮かべながら、俺に近づいてくる。


「いやぁ、見たぞ今日の試合! 実に素晴らしかった!」


「最高よ! さすが、わがカーライル一族の麒麟児!」


 ぎりっ、とガイアスが歯噛みする。


 両親は、気絶して運び込まれた弟に対しては、身を案じる言葉を投げかけてこない。


「しかも魔神を討伐するとは! いやぁ、あの場にいた保護者達たちの驚いた顔といったら!」


「わたしたち、あなたを産んだ親として、鼻が高かったわ!」


 気色の悪い笑みを浮かべ、猫なで声で両親が言う。


「魔神を討伐したことで、近々国王陛下から勲章を授かるらしいぞ! さすがはユリウス!」


「【3人】で王都へゆきましょう! 世に知らしめるのです、カーライル家の偉業を!」


「母さん、ぼ、ボクは……?」


 ちらり、とおふくろが弟を見やる。

 その目は冷え切っていた。


 俺がこの世界に来たとき、ユリウスに向けていたものと同じだ。


「……あなたなんて、いらないわ。出来損ないに生きてる価値はありません」


「そうだ、我が家にはユリウスだけで十分だ。おまえは用済みだ。この家から出て行け」


「いや、出て行くのはあんたらだ」


 俺は両親の背後に一瞬で回る。

 ふたりの首根っこを掴んで、転移魔法を発動。


「「へ……?」」


 俺は裏庭にある、噴水の上まで転移した。

 重力魔法で宙に浮かびながら、大人ふたりを両手で持ち上げてる。


「ゆ、ユリウス……なにを?」


「ま、まさか落とさないわよね!」


 ぱっ……。


 ドボーン……!


 両親は噴水に落下する。

 そんなに高いところから落とさなかったので、体へのダメージはないだろう。


「あんたら、ちょっと頭冷やせよ。さっきのは、自分の息子に言っていいセリフじゃなかったぞ」


 ずぶ濡れになったふたりは、呆然と、俺を見上げる。


「ガイアスだって準優勝したんだぜ。十分誇らしいことだろ」


「ゆ、優勝し、魔神を退けたおまえと比べたら大したことないじゃないか!」


 勇者と一般人を、同じ尺度で測るなんて愚かなことだ。


 まあ、この人らにそんなこと、説明しても無駄だろうけれど。


「一応言っとくけど、勲章の授与には俺、いかないからな」


「「なんだって!?」」


 両親が驚愕の表情を浮かべる。


「魔神程度倒しただけで、いちいち勲章なんてもらえるかよ」


 2000年前の世界には、魔神以外に強い存在がゴロゴロしていた。


 彼らと比べたら魔神なんてミジンコみたいなもの。


 それを倒して偉いと褒められても、何の感慨も浮かばない。


「どうしてそんなもったいないことをするのかしら!?」


「そうだ! これは名誉なことなんだぞ!」


「知らん。興味ない。そんなに欲しきゃ自分たちだけでいけよ。じゃあな」


「ま、待ってくれ! 自慢の息子よ! 考え直してくれぇ!」


 俺は転移して、弟の部屋に戻る。


 ガイアスはベッドの上で三角座りし、青い顔をしていた。


「さっきの、気にすんなって」


「うるさい! くそっ! 出て行けよ!」


 弟は立ち上がり、俺の背中を押す。


 部屋の外へと追い出された。


『なんなんだよ! みんなして手のひら返して兄さん兄さんって! ボクのほうがすごいんだぞ! くそ! チクショウ! ちくしょおおおお!』

面白いと思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】からポイント評価をしてくださると嬉しいです!

  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。