宮田律
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宮田律現代イスラム研究センター理事長

1955年、山梨県甲府市生まれ。83年、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院修士課程修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。「イラン~世界の火薬庫」(光文社新書)、「物語 イランの歴史」(中公新書)、「イラン革命防衛隊」(武田ランダムハウスジャパン)などの著書がある。近著に「黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル: 「反イラン枢軸」の暗部」(平凡社新書)。

豪邸が粉々…ベイルートを逃げ出したゴーン被告が向かう先

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■仏紙はゴーン被告を“ホームレスの一人”と形容

 あるフランス紙は、ゴーン被告は今回の事故で家を失った30万人のホームレスの1人と形容している。爆発事故で政府が運営する小麦の倉庫も大損害を受け、レバノンの食料を輸入する能力も著しく低下した。ゴーン被告の食卓も寂しいものになる可能性が高い。レバノンでは、150万人のシリア難民と27万人のパレスチナ難民も居住するが、難民の存在もレバノンの食料事情を逼迫させていくだろう。新型コロナウイルスで手一杯の医療現場は、事故の負傷者たちでさらに膨らむことになり、ゴーン被告は十分な医療サービスも受けられない環境にいる。

 レバノンでは対外債務が膨らんだために、現地通貨は昨年10月以来、その価値を80%下げた。レバノン経済は食料を含めて輸入に頼り、債務によって輸入経済を支えてきた。輸入経済に依存することは、レバノンの資本が海外に流れ、現地通貨が価値を下げることになる。

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