豪邸が粉々…ベイルートを逃げ出したゴーン被告が向かう先
海外在住のレバノン人企業家たちは、レバノンの銀行にドルで預金し、また湾岸のアラブ諸国も財政支援を行ってレバノン経済を支えてきた。しかし、腐敗など政府の失政や、政府の経済改革への取り組みが消極的なこともあって、海外在住の企業家たちがレバノンの銀行へのドル預金に熱心でなくなり、また欧米諸国の支援も滞っていった。
こうしてレバノンでは外貨準備が不足し、対外債務が世界最悪とも言える状態になった。銀行は預金者がドルで引き出せる額を制限したために、現地通貨で暮らす人々の生活をいっそう圧迫し、インフレはうなぎ上りとなったが、さらに政府は歳入不足を補うために、タバコやガソリン、さらにはワッツアップのようなSNS通話にも課金しようとしたことが昨年の10月以来連日繰り広げられるデモとなっていった。
レバノンは18の宗派によって構成される宗派のモザイク社会だが、1975年から90年まで続いた内戦を終らせるために、各宗派の代表的なファミリーに権力や利権が分配され、それが政治腐敗の要因となった。イランやサウジアラビアなど外部からの支援もこうした特権層を潤わせ、それも貧しい階層の怒りや反発の背景となっている。