夫妻の観光ビザは入院中に期限切れになったが、病院が入国管理局に連絡し、ビザ延長の申請書も全て記入してくれたため、1カ月の延長が許可された。
入院中の2月8日に李さんの誕生日が来たが、病院から誕生祝いカードが贈られた。何が書いてあるかは読めなかったが、夫妻はとても感激した。
また、夫妻の心理を専門にカウンセリングする医師がいて、いつも部屋に来てその日の気持ちを尋ねてくれた。この医師は2001年に武漢に行ったことがあり、武漢の印象がとても良かったと言い、また夫妻のためにおいしいスナックと飲み物を買ってきてくれた。
退院の時、夫妻は少々病院を離れがたいような気分にもなった。董さんは今でも退院時に医師たちと記念写真を撮ったことを時々思い出す。ただ残念なのは、医師たちはいつもマスクを着けていたので、本当はどんな顔だったのかわからないことだという。
2人が退院した時、請求されたのは日本円でおよそ28万円にすぎなかった。
病院の説明では、新型コロナの感染が確定後の医療費のほとんどは日本国が払ってくれるとのことで、夫妻に請求された費用の大部分は感染が確定する前のものだった。
「まさか旅行に来ただけの私たちまで、日本国の福利が享受できるなんて」と、夫妻は日本の対応に感謝した。
結局、夫妻が帰国したのは来日から37日後の2月27日のことだった。
夫妻が日本で入院している時、武漢では感染大爆発が起きていた。当時武漢の病院には患者が急増、感染症臨時病院もまだ出来ておらず、多くの人がすぐに入院治療を受けられる状況ではなかった。国内の多くの友人たちからは「あなたたちは日本ですぐに治療が受けられて、運が良かったね」とうらやましがられた。
※『東方新報』は、1995年に日本で創刊された日本語と中国語の新聞です。