24日以降、日本では東京と愛知県で続けて、武漢からの旅行客3人の感染が判明していた。3人はいずれも発熱の症状が出た後、日本の病院で感染が確認された。

 そのため、董さんも新型コロナに感染したかもしれないと思った。

 診療所の医師はまず董さんに流行性感冒の検査をしたが、結果は陰性だった。その後、胸部レントゲンを撮影し、その写真から董さんの肺に影があるのが見つかった。

 そこで成田市の赤十字会病院でさらに検査を行うこととなり、直ちに救急車が到着し、2人を病院へ搬送した。

 病院に到着後、董さんは喉の粘液採取による検査を行ったが、結果は陰性。新型コロナではないと診断した。

 しかし董さんの熱は一向に下がる気配がないことから、心配した李さんは自費で入院することを決めた。

 そして入院から5日後、ようやく熱も下がり、一安心していた矢先、たんの検査で陽性結果が出てしまった。

 病院の態度は一変した。董さんが隔離病棟に移されただけでなく、李さんも濃厚接触者として隔離されてしまった。

 李さんに発熱などの症状はなかったが、喉から採取した粘液とたんで検査をした結果、翌日に陽性と判定され、夫婦そろって隔離病棟で入院することになってしまった。

 日本ではこの頃、新型コロナの感染者数が増加し始めていた。李さんは後日、董さんが日本で21番目、李さんが23番目の確認症例だったことを新聞で知った。

 董さんは病院の対応が入院の途中から変化したと感じていた。実は日本の保健所から病院に対し「喉の粘膜の検査だけでは結果が擬陰性となる可能性がある」との警告があり、病院は董さんへの再度のPCR検査を決定したという事実を、後になって知った。