新型コロナウイルス感染症の影響により大幅に冷え込んでいる旅行業界の消費喚起の観点から、旅行代金の一部を支援する「Go To トラベル」事業の詳細が国土交通省より発表されました。

Go To トラベル事業関連情報 | 観光庁
Go To トラベル事業の概要|観光庁

今後詳細が発表される内容もありますが、現段階で発表されている内容を元に、「鉄道を中心とした個人旅行にも使えるか?」といった観点から、今回のGo To キャンペーンを見ていきたいと思います。

(以下の資料は、上記観光庁Webサイト(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001351403.pdf)より引用)

●割引対象となる旅行商品は宿泊相当分。フェリーや寝台列車も対象に
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まず、どういった商品が割引になるのか、という点ですが、宿泊旅行の場合、基本的に「宿泊を含む旅行代金」が対象となります。
宿泊と交通機関がセットになった旅行の場合(上記①の場合)は交通機関の利用も含まれた範囲が割引対象になります。
例えば、JR四国が販売している「JR四国全線フリーきっぷ」と宿泊施設がセットとなった旅行商品では、「JR四国全線フリーきっぷ」の金額も割引対象範囲となりそうです。
Web限定!自由に四国鉄道の旅【2020年4月以降出発】|四国旅行 JR四国ツアー(駅コミ)

また、宿泊のみの場合でも、当該宿泊にかかる部分が割引の対象となります(上記②の場合)ので、例えば別途乗り放題のきっぷ等を使って旅行する場合も、宿泊にかかる部分は割引の対象です。
例えば、先日の記事でご紹介した「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」を利用した北海道旅行の場合でも、宿泊については、今回の「Go To トラベル」による旅行代金割引の対象となりそうです。



面白いのは上記③の「宿泊に準ずるもの」として、「クルーズ、夜行フェリー、寝台列車」が挙げられています。(赤色の楕円囲み部分)
具体的には、寝台列車では「サンライズ出雲・瀬戸」夜行フェリーでは関西~九州、関西・関東~北海道等の長距離フェリーが対象になるかと思われます。
割引の範囲が気になるところですが、「宿泊に準ずるもの」との位置づけから考えると、寝台列車では寝台料金が、フェリーでは利用船室料金と2等運賃(あるいはそれに相当する船室)との差額が対象になるのではないかと考えられますが、これに関しては今後の詳細発表を待ちたいところです。

いずれにしても、今回の「Go To トラベル」、宿泊と交通も含んだパックツアーだけでなく、宿泊のみの利用の場合でも対象になることから、鉄道ファン的にも遠方の旅行には十分使える事業だと考えられます。
加えて、「サンライズ出雲・瀬戸」の寝台や長距離フェリー上級船室も対象になる見込みであることから、日頃はなかなか乗れないこれらの乗り物に乗ってみるのにも、いい機会かも知れません。

【参考】
大阪(南港・泉大津)~新門司間で運航する名門大洋フェリー・阪九フェリーの上級船室の乗車記をご紹介します。
こういった船室も「Go To トラベル」の対象になるかと思われます。





●支援額は旅行代金の1/2相当額。そのうち旅行代金割引は支援額の7割(最大35%)に
次に、「Go To トラベル」による支援額です。
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旅行代金の1/2相当額が支援額となりますが、その内訳は、7割(最大35%)が旅行代金の割引に、3割(最大15%)は「地域共通クーポン」として、旅行先でのおみやげ、飲食、交通機関等で利用が可能なクーポンとして配布されることとなっています。

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支援額の例として、一人1泊2万円の場合は、その1/2(1万円)で、そのうち旅行代金の割引は35%(7,000円)、地域共通クーポンは15%(3,000円)となります。
支援額の上限は一人1泊2万円が上限となっているので、旅行代金が一人1泊5万円の場合でも、支援額は2万円となります。

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▲「地域共通クーポン」の概要

地域利用クーポンの本格実施日は9月1日以降ですので、今年の夏の旅行では、ひとまず「旅行代金が最大35%割引」と捉えておくことになるかと思います。


●事業実施は2020年7月22日(水)から。既に予約した旅行は事後申請により割引分が還付
続いて、事業開始日などです。
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令和2年(2020年)7月22日(水)以降に開始する旅行代金の割引から実施となります。

但し、既に予約している旅行についても、事後申請により割引分が還付されることとなっています。
そのため、Go To トラベルのために予約を取り直す必要はありません。

旅行後の事後申請の流れについても概要が発表されています。
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宿泊の場合は、宿泊施設から「宿泊証明書」を貰っておく必要があります。
その他は、事務局Webサイトから入手することができる模様です。




以上、今回国土交通省(観光庁)から発表のあった「Go To トラベル」事業の概要をご紹介しました。
国の予算が発表された際、専ら旅行代理店経由でないと使えない等の噂もありましたが、実際の内容としては、宿泊のみ利用でも事業の恩恵にあずかることができるので、鉄道趣味の観点からも使えるのではないかと思われます。

加えて、「寝台列車」「夜行フェリー」も対象となることから、乗り物趣味的にはこれを機会に「サンライズ出雲・瀬戸」のA寝台個室や、長距離フェリーの上級船室を使ってみる、またとない機会であるともいえるでしょう。


新型コロナウイルス感染症の感染者数がここにきて増えてきている中、旅行に出かけよう、という気にならない方も多いかと思われます。
一方、今回の新型コロナウイルス感染症の影響による旅行需要の激減により、宿泊施設や公共交通機関といった、旅行産業を支える業界が軒並み苦境に立たされており、この需要激減が続くようであれば、業界自体が崩壊しかねない、危機的状況であるともいえます。

それならば、マスク着用・手洗いの励行・密な行動の回避といった、日常生活でも気をつけるべき点をしっかり守った上での旅行に出かけ、その際に今回の「Go To トラベル」事業を大いに活用するのは、今後の公共交通機関や宿泊施設を存続させるという点からも、必要なことなのでは、と感じています。


今回のブログ記事は、そういった思いから、少しでも経済的におトクな旅行ができる機会、という観点で「Go To トラベル」の概要をご紹介しました。
詳細については、今後発表される点もありますので、その点も参考にしつつ、今年の夏の旅行へおトクに活かしていきたいものであります。




●関連ニュースサイト:
「Go Toトラベルキャンペーン」、7月22日から先行実施 まずは旅行代金の割引から、既存予約分も対象に - TRAICY(トライシー)
観光庁、7月22日に「Go To トラベル」事業をスタート - トラベル Watch
Go To キャンペーンの開始日決定、7月22日以降の旅行から、予約済みでも後日還付、地域共通クーポンは9月以降に | トラベルボイス



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