7日、米ニュージャージー州で記者会見するトランプ米大統領=ロイター
【ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領は7日、新型コロナウイルスに対応する追加の経済対策を巡る与野党協議が難航している事態を受け、大統領令による支援策を準備していると表明した。議会で合意できなければ、政府として失業者などの支援策を一方的に実施すると主張した。
記者会見では野党・民主党と交渉を続けると説明しながら、合意できなければ「大統領の権限で行動する」と明言した。大統領令で、社会保障費の財源として労使が折半する給与税の納付を2020年後半は猶予したり、失業給付の上乗せを20年末まで延長したりするという。近く署名する可能性があると強調した。
ムニューシン財務長官は7日、民主党の議会指導部と協議後、「進展が見られなかった」と記者団に述べた。週末にかけてトランプ氏に大統領令の詳細を提案する。だが歳出を決める権限は議会にあり、大統領の権限でどこまで実効性のある対策が可能か、不透明だ。
与野党協議は合意のメドが立たない。民主党の上院トップ、シューマー院内総務は7日「失望させられる協議だった」と語った。経済対策の規模では約2兆ドルを提案したが、財政規律を重視する政権側は拒んだ。
民主党はこれまで約3兆ドル、与党・共和党は約1兆ドルを求めてきた。与野党は週600ドル(約6万3千円)を上乗せしてきた失業給付の見直しについても対立する。
与野党は互いに新たな譲歩案を提示するよう求めている。議会は8日からの夏季休会を返上する構えだが、早期に交渉がまとまるかどうか見通せない。経済対策の策定が遅れれば、米景気への悪影響も広がりかねない。
新型コロナによる経済への打撃が長期化するなか、与野党は7月から追加対策の議論を重ねてきた。トランプ氏は7日までに与野党が合意できなければ、大統領令で対応すると表明していた。