コロナ第2波襲来で急増 「家庭内感染」徹底防御マニュアル

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 第2波襲来といっていいだろう。新型コロナウイルスの感染者数が全国各地で過去最多を更新。怖いのは、キャバクラやホストクラブなど夜の街関係だけではなく、家庭内で感染が広がっていること。家庭内感染を防ぐには、どうするか。感染したときの対処は? 気になる疑問をまとめた。

  ◇  ◇  ◇

Q 食事はどうする?

 パートをしている妻から夫や子供ら3人に感染が広がったり、孫から祖父母が感染したりするケースが相次いでいる。別掲の通り家庭内も油断禁物で、食事中は特に感染リスクが高い。

「ここまで感染者数が増えている状況は、市中感染が起きていると考えていい。そう考えると、食事は家庭内で感染を広げるリスクのひとつ。感染が落ち着くまでは、朝は出掛ける順番に食事を取ったり、夕食は帰宅した順番に別々に食事をするなどして、一緒に食事をしない工夫をするのが無難かもしれません」(東京医大名誉教授・加藤治文氏=呼吸器外科)

Q 子供の世話や親の介護で一緒に食事をせざるを得ないときは?

「食べさせる人はマスクを着用して、まず子供や親を食べさせます。自分は、後で一人で食べるなどするといいでしょう」(加藤氏)

 そうすると、食事を作る人の負担が重くなる。妻が食事の担当なら、夫は皿洗いを買って出たり、自分の分は外で買ってくるなどして、妻の負担を軽減することも大切だ。

Q 親が感染したが、子供は陰性。ホテル療養できなくて……。

 フリーアナの赤江珠緒(45)は、テレビ朝日勤務の夫とともに新型コロナに感染。しかし、2歳の娘は陰性で、困った末、重症の夫は入院したものの、自らは娘の世話のため自宅療養の道を選んでいる(その後、娘の感染も判明)。親がシングルならなおさら自宅療養せざるを得ないだろうが、赤江アナのケースが報道され、状況は変わっている。

 たとえば、東京・港区は、親が感染して入院が必要で、子供が18歳未満の場合、PCR検査で陰性かつ児童相談所による保護や病院での居場所確保などが困難なら、子供を区内宿泊施設で受け入れる体制を整備。専門の保育業者が24時間常駐して見守るほか、食事も提供するという。長崎県も同様の体制を取っている。親が感染したら、慌てることなく、各地の児童相談所や自治体に相談することだ。

Q それでも自宅療養する人は少なからずいる。隔離はどうする?

 日本の狭い住宅で隔離は難しいが、一戸建てならまだ可能性がある。

「たとえば、2階建てなら、感染者は2階、健康な人は1階に分かれて生活するといい。感染者はなるべく2階にとどめ、1階に下りないようにし、看病で2階に上がる人はだれか一人に固定することです」(加藤氏)

 トイレや風呂が1階にしかなければ、感染者は用を足すときだけ1階に下りる。その場合、トイレのレバーやドアノブ、手すりなどは消毒を。マンションでもメゾネットなら、この方法でいい。玄関がある階で健康な人が暮らし、もう一方の階で感染者が生活するのがコツだという。

 では、1フロアの普通のマンションは? 玄関から遠い方の部屋に隔離するといい。健康な人は通勤や通学で必ず玄関を行き来する。なるべく生活の動線を混線させないのが無難だという。

Q 自宅療養中の食事の提供は紙皿がベター?

 紙に付着したウイルスは24時間、プラスチックだと72時間ほど生き延びるとされる。食べ終えた紙皿は、ビニール袋に入れて口をしっかり縛って捨てる。

Q マンションで感染者が出たら、消毒は?

 マンションは私有財産であるため、公的な保健所が消毒することはできない。居住者たちが自分で行うか、合意形成を経た上で民間の消毒業者に依頼することになる。重要なのは、多くの人が手で触れる部分で、入り口のオートロックやエレベーター、駐車場などのボタン、共用スペースのトイレやドアノブ、蛇口など。感染者の居住スペースも、もちろん対象になる。

韓国の研究チームが報告 リスクは外出時の5倍!

 こと新型コロナウイルスの感染においては、家庭内は、屋外よりハイリスクなことが明らかになった。韓国の研究チームは、1月20日から3月27日までのデータから、新型コロナの感染者約5700人とその接触者約5万9000人を分析。それによると、家族以外との接触による感染率は2%だったが、家族との接触による感染率は10%に上ったという。

 要注意なのは、10代と60代、70代。家族内での初めての感染がこれらの年代だと、ほかの年代より感染率が高かった。韓国疾病予防管理局の分析によれば、これらの年代は保護や介護が必要で、家族との接触が増えるためと考えられるという。

マンションで起こる数々の不便

 マンションで感染者が出てまず行うのは、消毒だ。しかし、その影響は意外と大きく、住人は思いも寄らぬ負担を強いられることになる。東京・江東区にあるマンションに住む40代の男性は、管理組合の報告書を見て驚いたという。

「マンションの住人に感染者が出たら、委託している管理会社が撤退する可能性があるのです。それで最も困るのが、ゴミ出し。住人は、24時間自由に出すことができるゴミ置き場にゴミを持っていくと、管理人さんがさらに細かく分別し、回収日に自治体指定のゴミ置き場に出しています。管理会社がいなくなると、住人が持ち回りで一連の作業を担当するか、各家庭で自治体のゴミ置き場に出しにいくか。いずれにしても大変で、管理組合で急いで対策を練っているところです」

 管理会社が撤退すると、廊下や入り口など共用部分の清掃も滞る。その対策もあるという。

 防災センターがあるような大規模マンションだと、さらにつらい。入り口の開閉を管理会社が担うケースが多く、そのスタッフがいなくなると、万が一のとき、救急車がすぐに入れなくなる恐れもある。コンシェルジュ機能も、管理会社の撤退で中ぶらりんになりかねないだろう。

 セキュリティーやサービスが充実したマンションは、その多くを管理会社などがカバーする。管理会社の不在は一定期間とはいえ、それを住人で分担するのは大変だ。管理会社撤退時の取り決めがないマンションは、すぐに話し合った方がいい。

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