ハケンの品格 第8話 最終回 篠原涼子、小泉孝太郎、勝地涼、杉野遥亮、吉谷彩子… ドラマのキャスト・主題歌など… New!

(里中賢介)
一生 同じ方向を見て

歩いて行きたいんです｡

公私ともに

僕のパートナーになってください｡

(東海林) 賢ちゃん！

ぶっ壊れちゃったのか？

だよな？

プレッシャー続きで 徹夜明けで｡

とっくり？

あの…｡

(大前春子) 平熱です｡

はい｡

同じく 平熱です｡

あぁ…｡

とっくり お前も
若干 壊れてないか？

平常運転ですが 何か？

賢ちゃん まず落ち着こう うん｡

俺も落ち着く うん
よし 深呼吸だ｡

(深呼吸)

取りあえず プロポーズするなら
今じゃないよな？

朝だし もろ仕事中だし｡

いろいろ すっ飛ばしてるし｡

しかも 俺いるし｡

私は かつて

変なマリモに
いろいろと すっ飛ばされて

プロポーズされました｡

それ 今 言うな
ややこしくなるだろうが｡

プロポーズって 誰が 誰に？

賢ちゃんだよ！

今 とっくりにプロポーズしたろ？

えっ？

違う違う！ これ 違うんだよ！

大前さん 違うんです｡

僕は これからも ずっと
大前さんと

同じ方向を見て
仕事をしたいと思ってて…｡

でも
｢公私ともに｣って言ったよな？

公私の｢私｣は？

それは

仕事が終わった後も
一緒に ごはん行ったり

お酒飲んだりして
たわいもない話をして笑ったり｡

そういう関係を
築けたらいいなって｡

そういうことかよ｡

いや 激しく紛らわしいな～！

あぁ…｡

混乱を招いてしまい
申し訳ありませんでした｡

今 あなたが招いているのは

株主と投資家の皆さんですが
何か？

ですね｡

また この話は 今度ゆっくりと…｡

急ぎなさい！
はい！

とっくり
お前 今 がっかりしたろう？

何でじゃ？

いや 俺には分かる
お前 がっかりしたよな？

なぁ そうだろ？
お前 がっかりしたろう？

＜おごれる正社員は久しからず＞

＜今や 派遣なしに
会社は回らない＞

＜例えば この大前春子＞

＜彼女の辞書に
｢不可能｣と｢残業｣の文字はない＞

＜煩わしい人間関係は
一切排除し

3か月の契約終了とともに
どこへともなく去る＞

＜だが
スーパーハケン 大前春子が

なぜ 非正規社員の道を選んだかは
定かでない＞

♬～

♬～

♬～


(小山田) 内覧会を予定通り
続けさせていただきます｡

皆様 どうぞ中へ｡
どうぞ｡

こちらの通路は

ベビーカーでも余裕を持って
擦れ違うことができるように

スペースを確保しました｡

随分 がらんとしてるね｡

ですよね｡

もっと商品を並べたほうが
よくないかな｡

里中さん これ コンビニなの？

コンビニエンスストアと
スーパーの中間を目指しまして…｡

中間ね～
どっちつかずは ダメじゃない？

大体 他のコンビニと違い過ぎて

なかなか
通いにくいんじゃないか？

いえ 必ず需要はあります｡

こちらは お店の重要な
戦略拠点となるコーナーです｡

ここには すぐに 食卓に
並べることができるような

キンピラや ひじきなど

健康的で
栄養価の高い総菜を用意します｡

それと 特に力を入れたいのが…｡

アジフライなんです｡

できるだけ
揚げたてを提供したいので

今 私どもが考えて…｡

アジフライね ピンと来ないね｡

そこは
ついで買いの商品でいいんだよ｡

ようかんとか もなかとか
ついつい買っちゃうもの｡

AIも そう言ってるんでしょう？

売れないよ アジフライなんて
ハハハ…｡

あなた方は 晩ごはんのメニューを
考えますか？

大前さん…｡

あの人は誰？

この店のスーパーバイザーです｡

いえ いち派遣社員です｡

レジ横に必要なのは

ついで買いの和菓子では
ありません｡

仕事帰りに
赤ちゃんを連れたお母さんが

仕事のかばんと

ミルクやオムツが入った
バッグを提げ

レジ横で 夕飯のおかず一品
アジフライを買う｡

派遣が
何で そんなに偉そうなんだ？

この店のお金を出すのは
私たちなんだぞ！

いち派遣が 出過ぎたまねを
大変申し訳ありません｡

でも アジフライは外せません｡

アジフライは 栄養価が高く

立派な夕飯のおかずにも
なりますし

おやつや おつまみにもなる

最高の一品です｡

サバみそと違って
汁気がないから

いつでも どこでも
パクっと食べられちゃう｡

しかも 味付けだって
しょうゆ ソース…｡

黙らせろ！

お疲れさまです｡
お疲れさまです｡

(三田) 課長の独立の話
ビックリしましたね｡

(井手) あれって
里中課長の独断なんですか？

あいつは
このプロジェクトを成功させて

クビになる俺たち
拾い上げようとしてんだよ｡

(浅野 務) 自分が代表になれば
みんなを救えますからね｡

(宇野)
でも S＆F市場の披露会

失敗したんだろう？

ハァ～｡

俺は これから どうやって
生きて行けばいいのか…｡

(小夏) 私たちも
どうなっちゃうんだろう？

(亜紀) これじゃあ 派遣の
契約更新どころの話じゃないね｡

このまま雇い止めか…｡

このお時給泥棒たち！

ビックリすんじゃねえか！

お前 いつ帰って来たんだよ？

ため息や愚痴に
お時給を払う S＆Fに

私は同情します｡

(亜紀たち) すいません｡

ド～ン‼
(一同) わっ！

ハァ ハァ…｡

｢ド～ン‼｣って
何なんだ お前は いっつもよ！

どんよりした空気を
一掃しただけですが 何か？

殺す気か!? 心臓 止まるわ！

ちゃんと動いてるんですね｡

チッ！

お前な ひとの心臓が動いてること
確認して

舌打ちしてんじゃねえよ！

雇い止め派遣
リストラ寸前の社員

目の前の仕事に集中しなさい！

見ろ お前！ ますます みんな
落ち込んじゃって

仕事になんねえわ！

お前な おい ドン！
ドン大前 聞いてんのか？

お前が いっつもな…！
東海林さん 落ち着いて…｡

止めんな 賢ちゃん！
浅野です！

あっ… あぁ… 浅野か｡
はい｡

(宮部) お披露目会は
大失敗だったみたいだな｡

今日 いらした
株主や投資家の方々は

あの店の
ターゲット層ではありません｡

彼らは 秘書に荷物を持たせ

腕組みをしながら
店内を回っていただけです｡

彼らの反応だけで
判断をするのは間違いです｡

それで？

もう一度 やらせてください｡

里中｡

今度は
実際のターゲット層である

働く女性や子育てを頑張っている
お母さんたちを呼んで

勝負をさせてください｡

いいでしょう だが

アジフライは なしだ｡

えっ？

(小山田) これを見たまえ｡

レジ横に
アジフライを置くことで

S＆F市場が成功するかどうか

AIが出した答えだ｡

また AIですか｡

成功する確率 0.001％｡

限りなくゼロだ｡

しかし アジフライは

あの店にとって
大事な商品なんです｡

派遣の思い付きと AI

どちらを信用するか
君でも分かるだろう？

私は 大前さんを…

一緒に働いてくれる仲間を
信じます｡

証明してくれ｡

はぁ？

勝負させてみたらどうかね？

大前さん…｡

明日

AIと囲碁で勝負をしてください｡

囲碁で勝負!?
うん｡

里中課長
意味が分かりませんが｡

今回ばかりは
とっくりに同意だよ｡

何で とっくりが

AIと碁石 並べて
勝負しなきゃいけねえんだよ？

あぁ…｡
里中課長｡

今日は 東海林課長の髪形並みに
頭が とっ散らかってますが｡

ホントだぞ 賢ちゃん｡

こいつの悪口が
ムカつかないぐらい

とっ散らかってるぞ｡

大前さんが勝てば

アジフライを
レジの横に置けるんだ｡

大前さんが負けたら？

置けない｡

賢ちゃん まさか
アジフライごときで

宮部社長に
ケンカ売っちゃったのか？

｢ごとき｣とは何ですか？

リストラ対象の 課長ごときが｡

お前 二度と
｢リストラ対象｣って呼ぶな｡

ひと言 ひと言がな
グサグサ刺さるんだよ！

見ろ お前 部長 また
落ち込んじゃったじゃないか｡

お前 何か アジフライに
命でも救われたのか？

溺れてるとこに
アジフライがやって来て

｢大丈夫かい？ 春ちゃん｣
｢あなたは…｣

｢アジフライだよ｣｡
ばっかじゃなかろうか！

東海林さん
アジフライを置けなくなったら

このプロジェクトの意味が
なくなるんだよ｡

賢ちゃん…｡

そもそも 大前君は
囲碁はできるのか？

さすがの大前さんも…｡

アマチュア七段ですが 何か？

できるんかい！ で 七段かい！

♪～

♪～        (歌声)

♪～

♪～        (歌声)

♪～

オーレイ！

帰れ｡

俺なりに 囲碁のAIについて
調べてみたけど｡

無理だよ
いくら お前でも絶対勝てない｡

だから やめとけ

…と言いたいところなんだが｡

奥の手を使え｡

はぁ？

AIの電源 引っこ抜くとか

ソフトに お茶かけて
ぶっ壊すとか…｡

ハァ… 昭和ですか｡
とにかく

どんな汚い手を使っても
勝ってくれ｡

あのプロジェクトは
賢ちゃんの全てだ｡

思うように やらせてやりたい｡

美しい友情ですね｡

私には知ったこっちゃない
ことですが

そんなことより あなたは

会社に しがみつくことを

考えたほうが
いいんじゃないんですか？

俺のことは
もう どうでもいいんだよ｡

俺のこと 切り捨てるような会社
こっちから願い下げだ｡

ヘッ…｡

でも…｡

あんたのことに関しちゃ
話は別だ｡

はぁ？

今朝 賢ちゃんが

プロポーズもどきのことを
言った時…｡

俺は心底 焦った｡

賢ちゃんに お前を取られるって｡

13年も たっちまったけど

俺は本気だったんだって

ようやく気が付いた｡

俺は 本気で…

お前のこと…｡

いねえのかよ！

何か 話してる間に
いねえんじゃねぇかな

…と思ったけど
案の定いねえよ！

マスター お代わり…
マスターもいねえのかよ！

東海林さん ここ初めてだよね｡

いや 通路が広いのは いいね｡

子育て中のお母さん
つまり うちの嫁ですけど

忙しくて
外出なんてできない時も多くて｡

今の時代 デリバリーは
欠かせないと思うんですよ｡

確かに デリバリーがあれば…｡
(振動音)

もしもし… あっ 部長｡

いよいよですか｡

賢ちゃん とっくりとAIとの対局
始まるぞ｡

あっ 来ました｡

(永倉) うちと契約してる

AIのコンサルティング会社の
スタッフだ｡

(パソコンの操作音)

♬～

(美原) 奇数です｡

大前君が先手だ｡

♬～

(キーボードを打つ音)

(キーボードを打つ音)

(碁石を置く音)

(キーボードを打つ音)

ちんたら ちんたら｡

ごめんなさい｡

クッソ～｡

(宇野) 大前君が速過ぎて

AIが追い付いてない｡

♬～

♬～

(美原) クッソ～｡

どっちが優勢なんですか？

いや もう 大前君の戦法が
トリッキー過ぎて

全く読めないよ｡

AIが迷ってるのか？

(碁石を置く音)

(碁石を置く音)
変顔｡

お～ なぜ？

浅野君家は赤ちゃん いるし

奥さん ホントに大変だよね｡

毎日 戦争です｡

でも 仕事は続けるって
言ってます｡

仕事を通して 誰かと
つながることができるからって｡

誰かと つながる｡

その通りだよね｡

また かける｡

東海林さん
大前さんの対局 どう？

それが よく分かんねえんだけど

とっくり 優勢らしいんだよ｡

AI 悩みまくってるって｡

(東海林の声) でも俺 何か
すげぇ嫌な予感すんだよな～｡

(美原) うぅ…｡

≪よし！≫

参りました｡

(一同) え～！

お… 大前君 諦めるな！

5時なので 失礼します｡

(宇野) え～！
(チャイム)

(チャイム)

部長！

何か これ 文字に見えません？

(小夏) ホントだ｡

何だ？ これ｡

勝負 どうだったんですか？

大前さん 負けて帰ったって｡
えっ？

とっくりの野郎
例によって 定時で帰りやがった！

勝負しないで

どうやら
碁石で文字を書いてたみたい｡

｢ム ダ｣？

｢ム ダ｣？

いずれにしても
AIが勝ったということです｡


おい 何で勝たなかった？

お前 最初っから
勝負 投げてただろ？

それが何か？

あの 碁石 並べて
｢ムダ｣ってのは何だ？

ふざけてんのか お前！
東海林さん…｡

大前さん 残念ですが

アジフライは
お店に置けなくなりました｡

そうですね｡

何で そんな
平然としてられるんだよ？

賢ちゃんはな

お前のアジフライ
実現するために…！

東海林さん もういいんだよ｡

大前さんは…

僕の苦労なんか 全部無駄だ
って言いたかったんですよね？

代表になるとか
みんなをリストラから救うとか｡

甘ちゃんが 甘いこと言って
すみませんでした｡

この すっとこどっこい｡

13年たって
少しは成長したかと思ったけど

やっぱり何にも
分かってませんね｡

何だと？

しょっちゅう ミスしたり
サボったり

へこたれたりする
人間の脳みそが

AIの頭脳に
勝てるわけないでしょ｡

AIは この先も永久に

勝ち続けます｡

人間は 負け続けるだけですか？

でも 人間には たった一つだけ

AIにできないことがあります｡

何だよ？ その一つって｡

無駄なことです｡

無駄なこと？

失敗したり やけ酒飲んだり

仲間を思いやったり 嫉妬したり

恋したり 失恋したり…｡

ショックで
仕事が手に付かなかったり…｡

全部 無駄｡

確かに｡

そんな無駄 AIは一切しない｡

無駄を切り捨てて行けば
業績は一時的に上がる｡

無駄な社員をリストラして

派遣を労働力として
切り売りする｡

13年間

そんな企業ばかり
私は渡り歩いて来ました｡

何のために働いてるのか
どこに向かっているのか

迷う無駄
考える無駄も忘れた人たちを

私は死ぬほど見て来ました｡

そのうち きっと
もっと大きなものに

俺たちは のみ込まれる｡

日本沈没｡

おい 助かる道はねえのかよ？

東海林 武｡

初めて ｢武｣って呼ばれた｡

何？ 俺 どうやったら助かるの？

私は あんたじゃないので
分かりません｡

そんなこと
自分で考えてください｡

里中賢介｡

はい｡

あなたは まだ
失敗しかしてないじゃないですか｡

失敗は 人間だけにできる無駄｡

また そこから
立ち上がればいいんです｡

何度 失敗しても

働くことは 生きることです｡

大前さん ありがとうございます｡

ちょっと行って来る
東海林さん お会計 頼むよ｡

えっ… おい どこ行くんだよ？

お会計って…
まだ注文もしてねえよ｡

気の利かねえ店だな｡

ひょっとして 賢ちゃん

気を利かせて…
2人にしてくれたのか｡

大前さん…｡

いねえよ｡

やっぱり いねえよ｡

2人とも 行っちゃったな｡

♬～

♬～

よっしゃ～！
(漁師たち) イェ～イ！

♬～

♬～

(ドローン:警告音)

(ドローン) 不審者発見 不審者発見｡

(ドローン:警告音)

シャラップ！

(ドローン) 不審者発見 不審者発見｡

誰が 不審者ハケンですか？

スーパーハケンの大前春子ですが
何か？

(ドローン) 警告します 警告します｡

(ドローン) 直ちに
この場所から退去してください｡

何やってるんだ!?

(ドローンをたたく音)

(落下音)

(警備員) あ～！ ちょっと
あんた 一体 何を…？

こっち来なさい｡

アジフライ…｡

お前 何やってんだ？
アジフライ…｡

この人が
警備のドローン ぶっ壊して…｡

はぁ？
私としたことが…｡

何で お前
ドローンなんかと戦ってんだよ？

一撃で仕留めました！

いや そんなこと聞いてねえよ！
行きますよ！ ねぇ｡

S＆F市場に アジフライを！
ア… アジフライ どうする？

アジフライ… アジフライを！
お願いします｡

(東海林) おい… とっくり！

どういうことだよ？


(亜紀) おはようございます｡
(小夏) いらっしゃいませ～｡

(亜紀) どうぞ｡
(小夏) どうぞ～｡

いらっしゃいませ｡
いらっしゃいませ｡

広～い！

いらっしゃいませ｡

♬～

よろしければ
お荷物 お預かりします｡

えっ AIに負けたのに
アジフライ置くんですか？

あぁ…｡

アジフライだけは譲れないんだ｡

また 社長の逆鱗に触れますよ｡

いいんだ これで｡

あっ 来た！

東海林さん…｡

どうして 東海林さんが？

さぁ 皆さん 取れたてのアジを
かっさばいて作った

揚げたてのアジフライで
ございます！

いかがでございましょうか
さぁ 並んで並んで！

春子おばさんが作ったアジフライ
おいしいですよ！

ねぇ 2枚ちょうだい 2枚｡
ありがとうございます！

1枚ください！
私も1枚ください！

(東海林) 賢ちゃん 大盛況だな｡
あぁ…｡

とっくりのヤツ 派遣の分際で
正社員をパシリにしやがって｡

大前さんは？

あぁ… いろいろあってな｡

あっ…｡

(三田) ありがとうございました｡

何だ？ あれ｡

課長 変なものが近づいて来ます｡

♬～

大前さん！

とっくり…｡

その かぶりものは…｡

自分で作りましたが 何か？

あぁ… それを作っていて
遅れたんですね｡

(三田)
これがウワサの 春子おばさん｡

春子お姉さんです！

(三田) すいません｡

こんなこともあろうかと…｡

大逆転スピーチの原稿だ｡

嫌な予感がします 読みません！

絶対 読め｡
読みません！

絶対 読め｡

読め！

｢はじめまして 春子おば…｣｡

チッ！

お姉さんです｡

｢相模湾で
取れたてのアジで作った

サクサク アジフライは
いかがでしょう｡

晩ごはんの もう一品に

味わい深い アジフライ｡

アジフライのお供に

S＆Fのオリジナルソースも
ご用意しております｡

刺激が欲しい奥様には

ピリッと サルサソース｡

一日頑張った ご主人には

ガッツリ タルタルソース｡

ドリフ世代の皆様には

オイッスターソース｡

アジフライは あなたの家庭を
ハッピーにします｡

数量限定で～す｣｡

私も2枚ください｡
私も1枚ください｡

私 3枚ください！
やっぱり 4枚ください！

♬～

はじめまして 春子お姉さんです｡

｢相模湾で
取れたてのアジで作った…｣｡

何てヤツだ｡
｢アジフライは いかがでしょう｡

晩ごはんの もう一品に…｣｡

東海林さん どうしたの？

いや 何でもない｡

俺 ほっぽって来た仕事あるから
そろそろ行くわ｡

頑張って｡
うん ありがとう！

はじめまして 春子お姉さんです｡

｢相模湾で
取れたてのアジで作った

サクサク アジフライは
いかがでしょう｡

晩ごはんの もう一品に

味わい深い アジフライ｡

アジフライのお供に

S＆Fのオリジナルソースも
ご用意します｣｡

あなたが揚げたの？

はい｡
おいしそう！

晩ごはんの もう一品にする
つもりだったけど

今すぐ食べたくなっちゃった｡

じゃあ 1枚追加しますね｡

えっ？ 上手ね～
じゃあ いただいちゃおうかな｡

どうぞ｡
ありがとう｡

ありがとうございました｡
(小夏) ありがとうございます｡

アジフライ 3枚ください｡
はい｡

今日は これで売り切れですよ｡

あ～ 間に合ってよかった｡

あんなふうに笑ってる大前さん
初めて見ました｡

ああ…｡

はい どうぞ｡
どうも｡

ありがとうございました｡

(小夏) ありがとうございました｡

(三田) ありがとうございました｡

里中課長｡

アジフライ 売り切れました｡

はい！

5時ですね お疲れさまでした｡

これ 差し上げます｡

えっ！

あっ…｡

僕に かぶれってことですね｡

分かりました
明日から責任持って かぶります｡

大前さん どうかされました？

今日は 最高に

無駄な一日でした｡

｢最高に無駄な｣？

お疲れさまでした｡

お疲れさまでした｡

♬～

(泣き声)

(泣き声)

ハァ～｡

(はなをすする音)


とっくり

今朝 クビになったんだ｡

えっ!?

ドローン ぶっ壊して
器物破損だってさ｡

ちょっと待って
それ どういうこと？

そんな…
大前さんが契約 打ち切りなんて｡

あり得ない｡

そんな雰囲気 全然なかったのに｡

近さんには
口止めされてたんだけど…｡

今日は どうしても
店に行きたいって｡

あいつ
今日は タダ働きだったんだよ｡

ウソだろ…｡

去る時まで カッケェ｡

カッコつけ過ぎだよ 大前さん｡

せっかく 分かり合えて来たと
思ったのにな｡

あいつ 賢ちゃんにも
何も言わないで消えたのか？

(東海林) 賢ちゃん…｡

S＆F市場
大盛況だったそうじゃないか｡

あっぱれだ｡

おめでとう｡
(拍手)

里中が成功したのは
アジフライのおかげです｡

仕事帰りに
赤ちゃんを連れたお母さんが

レジの横で 夕飯のおかずを一品
アジフライを買う｡

そういうお店ができたら
成功する｡

それを教えてくれたのは
大前春子さんです｡

社長は 成功率0％と
おっしゃいましたが

大前さんがいたから
成功できたんです｡

今日 クビにした派遣のことか｡

クビを
撤回していただけませんか？

君たちが肩入れしている
その大前君｡

君たちだって

彼女がロボットのように正確で
優秀だから

重宝したわけだろ？

これからの時代は
ああいうロボットが100人

いや 100体いれば
会社は回りますね｡

お言葉ですが…｡
お言葉ですが 社長｡

あの派遣は

ちっとも
優秀なんかじゃ ありませんよ｡

派遣という立場も忘れて

ドローン ぶっ壊すような
大ばか野郎です｡

社員には 盾突くし

とんでもない あだ名 付けるし｡

時々 バグ起こすし｡

ポンコツな人間ですよ｡

大前春子は ロボットじゃ ない！

ここで動いてる人間です！

あいつのおかげで

何度も俺たちは救われたんです！

何度も
失敗から立ち直れたんです！

あいつは 血の通った

無駄だらけの

どうしようもなく いいヤツです！

最高の仕事仲間です！

(宮部) どうも 熱弁 ありがとう｡

だが それが何か？

いくらでも取り換えが利く
派遣じゃないか！

♬～

♬～

とっくり… とっくり！

大前さんは？

(近) あと3か月は
戻って来ませんよ｡

いや…
今度は もうちょっと長いかな｡

初めての派遣切りで
さすがに めげてましたから｡

あの よかったら
一緒に飲みませんか？

大前さんのボトルですけど｡

東海林さん…｡

ん？

俺 S＆F 辞めるよ｡

え～!?

里中課長 何で また？

社員も派遣も 一丸となって働く

そんな組織をつくりたかった｡

でも 偉そうに言ってて

ホントに 俺に
そんな理想を実現できるのか

S＆Fの看板を下ろして
やってみようと思ったんだ｡

独立するのか｡
うん｡

東海林さん

一緒にやろうよ｡

誘ってくれんのか？
うん｡

うれしいけど

賢ちゃんが
ホントに誘いたいのは

俺じゃなくて

とっくりだろ？

そのうち 舞い戻って来ますよ｡

次に会えるのは

13年後かな｡

ハハっ… そんなに待ってたら

俺と賢ちゃん
おじいちゃんになっちゃうよ｡

ハハハハ…｡
確かに｡

ところでさ

とっくりって
ホントのとこ いくつなの？

それは ちょっと…｡

個人情報なんで… すいません｡

でも あんだけの資格
全部 取るには

100年かかるよな｡

ってことは 次に会えるのは

113歳の大前春子か｡

(せき込み)
ハハハハ…！

大丈夫ですか？
ハハハハ…！

(小夏:亜紀) おはよう｡
(井手:三田) おはようございます｡

私は あんなに強くなれない｡

だから 正社員の採用試験
片っ端から受けようと思う｡

派遣 やめるんですか？

ううん どっかの会社に
引っ掛かったらの話｡

そんなに甘くないよ｡

(小声で) 僕が守ります｡

声 小っちゃ！

何？
いや… 三田は？

早起きは もう慣れた？
いや 無理｡

でも 昨日
いっぱい働かされたけど

何か楽しかったな～｡

もう社畜になったの？
なってないよ｡

楽しかったな～
派遣とか社員とか関係なく｡

一緒に生きてるって感じ｡
うん｡

あぁ… ちょっと分かります｡
フフっ｡

お世話になりました｡

これから どうするんだ？

自分のやり方で

あなた方に勝とうと思っています｡

フッ｡

後悔するぞ｡

後悔しても構いません｡

しなかった後悔は

日に日に 大きくなりますから｡

失礼します｡

ん…｡

(メールの受信音)

お～ そう来たか｡

＜ある人に出会う前と後で

自分が すっかり
変わってしまうことがある＞

＜僕にとって それは…＞

チェック お願いします｡
あっ うん｡

あ～ いいんじゃないかな｡
ありがとうございます｡

頑張って来いよ｡
はい｡

部長
見積もり これでいいでしょうか｡

うん｡

いいんじゃないか｡
ありがとうございます｡

これで進めますね｡
よろしく頼む｡

あっ そうだ｡

あれ… 例のあれ どうだった？

バッチリ 契約成立しました！

お～！ さすがだね～ 浅野課長！

いや～ 疲れた 疲れたよ｡

あ～ 東海林課長
連日の出張 ご苦労さまです｡

(東海林) おう！

黒豆ビスコッティ

また 店舗 増やすそうですね｡

もう これで 10店舗目だよ～｡

ハハハハ…！
(拍手)

みんな クビにならなくて
ホントに よかったですね｡

それもこれも

浅野課長と東海林課長の
頑張りのおかげだよ｡

(東海林) いやいや…｡
いやいや…｡

あっ！

今日だな オープン｡

僕は てっきり 東海林課長も
ついて行くと思ってましたよ｡

俺はね 終身雇用が好きなんだよ｡

年功序列も どんと来い｡

残業後の飲み会 お花見｡

会社の無駄が大好きなの｡

たとえ 沈没したとしてもな｡

(浅野の声) まさか 里中さんが
あんなに あっさり

会社を辞めるとは
思いませんでしたよ｡

(東海林の声) 思い切ったよな～｡

一国一城のあるじだもんな｡

賢ちゃんには 人を動かす力が
あったってことだな｡

むーやんカレー 準備OKです｡

サバみそも
スタンバイ ばっちしです｡

ご苦労さま！

重い！ 重いっす｡

腕が ちぎれそうっす｡

ちぎれる前に運んでください｡

頑張って！

あっ 軽い 急に軽くなった｡

(東海林の声)
まさかといえば 宮部社長だよ｡

自分が導入したAIに
クビ切られるとはな｡

≪社長就任
おめでとうございます≫

≪おめでとうございます≫
ご苦労さん｡

まっ 俺たちも また いつ

ペケ判定 食らうか
分からないからな｡

みんなで守りましょう
この会社を｡

(宇野) うん｡
(一同) はい｡

(東海林) さて…｡

ライバル企業の偵察に
まいりますか 浅野課長｡

東海林課長も 好きですね～｡

ハハハハ…｡
ハハハハ…｡

ハハハハ…｡
ハハハハ…｡

(東海林) ハハハハ…！
ハハハハ…！

あぁ…｡

みんなのおかげで
何とか ここまで来れました｡

ホントに ありがとう｡

こちらこそ
念願の正社員にしていただいて

ありがとうございます｡
いや…｡

里中社長の社員になれて
幸せです！

俺は 念願の派遣になれました｡
(小夏) ハハハハ…｡

うちは本当の意味で
同一労働 同一賃金だから｡

はい｡

いよいよですね｡
頑張りましょう！

みんな よろしくね｡
(井手:亜紀:小夏) はい！

ハハハ！ いや～ 初々しいね～！

東海林さん！
ハハハハ…！

浅野君も！
おめでとう 賢ちゃん｡

ありがとう！

(東海林) おっ 君たちも！
(小夏) お疲れさまです｡

(東海林) いや まさか 賢ちゃんが
ライバルになるとはな～｡

いやいや ライバルだなんて
まだまだ程遠いよ｡

むーやんカレー
ようじ屋のサバみそ

はなえみ弁当 十分 脅威ですよ｡

あっ…｡
(東海林) ハハハ… しかし

何とも 寂しいオープンだな｡

あっ！ 言うの忘れてました｡

近さんが今日のオープンに
ゲストを呼んでくれたそうです｡

ゲスト？
はい｡

何か
新人の演歌歌手の方みたいです｡

(東海林) 演歌歌手？
はい｡

(車のクラクション)

お待たせいたしました！

大前さん！
(小夏) ハハハ…｡

新人演歌歌手の

龍前寺アキ子でございます｡

どう見ても 大前春子だろ！

違います！

龍前寺アキ子でございます｡

サバみそ？
はい！

ようじ屋さんと提携したんです｡

いい匂い｡
やっぱり とっくりじゃねえかよ！

違います｡

まさか 演歌歌手になられたとは｡

長年の夢 かなえたんですよね！

お前 演歌歌手になりたかったの？

それが何か？

えらく遠回りしましたね～｡

いや もう尊敬しかないよ！

お前 大体な 新人演歌歌手って
いくつだよ？

東海林さん 夢をかなえるのに
年なんか関係ないよ｡

大前さん カッケェです！

人違いです｡

大前さん？

違うと言ったら 違います｡

否定のしようがないだろ
大体 お前な…！

大前春子です…｡

(東海林) 聞いたか？ おい
あいつ 条件反射で認めやがった｡

ばかだね ホント！

はぁ… はぁ… ステージがない｡

ステージなんか
あるわけねえだろ！

(井手) あります！
あんの？

(井手) 浅野さん
ちゃんと持ってくださいよ｡

俺 課長なんだけどな｡
もう 僕の課長じゃないです｡

お客さんがいないので
楽屋で待機させていただきます｡

客がいるわけねえだろ
楽屋なんかねえよ！

ふてぶてしい新人だな｡

龍前寺春子です… アキ子です｡

自分でも
こんがらがってんじゃねえかよ！

こんがらがってんのは あなたの
クルクルパーマだけですが

それが何か？
やかましいわ！ ったく…｡

あ～ 巻いて来た… 巻いて来た｡

お前にはな 言いたいことが
山ほどあるんだよ｡

大体 お前な…！
東海林さん！ 落ち着いて｡

久々に 賢ちゃんに止めてもらった
やっぱ ベストタイミングだな｡

ハハハハ…｡

歌いに来たので
さっさと歌わせていただきます｡

♪～

(小夏) お願いします｡
♪～        (拍手)

よっ！
♪～        (拍手)

♪～        (拍手)

♪～

♪～ おれのにょうぼうはよ

♪～ みさきのはてで

♪～  (小夏) いらっしゃいませ！

♪～ あげた おまえの

♪～ あぁ アジフライ

♪～  ごゆっくり ご覧ください｡

♪～ ころもまとって ゆをくぐり

♪～ ういて鳴らして むねこがす

♪～ だけど触れないで

♪～ アツ過ぎるから

♪～ いきをふきかけて

♪～ 身が冷めるまで

♪～ はしを止めないで

♪～ サクサクふわわん

♪～ パン粉の ゆきがふる

＜大前春子さんは
僕たちの人生に

ものすごいインパクトを与えた＞

＜そして とても大切なことを
教えてくれた＞

＜働くことは 生きることだ＞

(拍手)