政府・与党、臨時国会の召集応じず 野党に通告、コロナ対応など議論先送り

2020年8月5日 05時50分

 政府・与党は4日、憲法五三条に基づき臨時国会を早期に開くよう求めた野党に対し、応じる考えがないことを伝えた。召集は10月以降とする方針だ。新型コロナウイルスの感染再拡大に関し、安倍晋三首相ら政府のこれまでの対応の是非や、現行法の拡充の必要性などを国会で徹底議論する機会は、当分先送りされることになった。(川田篤志、木谷孝洋)
 自民党の森山裕国対委員長は4日、立憲民主党の安住淳国対委員長と国会内で会談後、臨時国会を当面開かない理由を「本会議に付託すべき案件がまだ定かでない」と記者団に説明。これに対し安住氏は「法案や条約がなければ国会を開かないというのは与党のおごりだ」と批判した。
 衆参両院では、通常国会が6月17日に閉会後、新型コロナ問題に関連する委員会の閉会中審査を週1回のペースで開催してきた。政府・与党は、8月中も閉会中審査を開く方向で野党と調整するが、首相の出席は「先例がない」(自民党幹部)とこれまでと同様に拒否する構えだ。
 一方で、新型コロナ感染者が全国で急増する中、与野党や医療界からは、新型コロナ特措法を改正し、強制力を伴う休業要請や金銭的補償を可能にするよう求める声が出ている。改正案を成立させるには、臨時国会を開き、衆参両院の本会議で可決する必要がある。
 立民の枝野幸男代表は4日の記者会見で、特措法改正の議論の前に「なぜ政府の対策がうまくいっていないのかについての説明も釈明も何もない」と、首相らが国会で説明責任を果たすことが先決と強調した。
 衆院事務局によると、臨時国会召集要求は衆院で計36回あり、召集されなかったのは3回のみ。安倍政権では2015年に召集しなかった。

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