和歌山県 仁坂吉伸知事に聞く「和歌山モデル」の全貌
――「安心」と思えるまで、できることはすべてやった感じです。
そうです。PCR検査をたくさんやったのが、「和歌山モデル」ではない。あえて言うと、3プラス1ですね。早期発見、早期隔離、行動履歴の徹底調査、そしてプラス1は保健所や行政の統合システムを早く形成しておくことです。保健所がバラバラだったら、絶対にうまくいきません。実は日本の保健所は、感染症法に基づいて早期隔離という強い権限を持っています。それは意外にも欧米にはない。
――えっ、そうなんですか。
日本は外出制限や休業要請は欧米と比べてものすごい緩いでしょう。フランスでは外出したら逮捕されていた。にもかかわらず、欧米では感染が爆発的に拡大しました。自分と同じこと(早期発見・早期隔離)をやればいいのにと思って見ていた。それで、ちょっと調べてみたところ、欧米諸国には「隔離の権限がない」という私の仮説がほぼ間違っていないことがわかりました。たぶん、国家権力が出て行って感染者を隔離するなどというのは、あまり好まれていないんじゃないですか。日本では地方を中心に保健所が感染症法の権限で、一生懸命、隔離をした。それに国民の行動自粛が加わった結果、感染が抑えられたのです。