中国船の尖閣領海侵入激増が暗示する「想像したくない近未来」

一度取られたらもう二度と戻らない
近藤 大介 プロフィール

中国海洋調査船の「怪しげな行動」

海上保安庁のホームページでは、尖閣諸島近海ばかりか、沖ノ鳥島の近海でも、中国公船の不穏な動きを伝えている。

例えば7月9日には、「中国海洋調査船『大洋号』の視認について(第1報)」として、次のように発表している。

〈 1 本日、午前10時40分頃、しょう戒中の当庁巡視船が沖ノ鳥島の北北西約310キロメートルの我が国排他的経済水域内において、漂泊中の中国海洋調査船「大洋号」がワイヤー様のものを海中へ延ばしているのを確認したことから、「我が国の排他的経済水域において、我が国の事前の同意のない調査活動は認められない。調査の中止を求める。」旨の中止要求を無線及び電光掲示板(停船命令等表示装置)にて実施しました。

2 本日、正午現在、同調査船は沖ノ鳥島の北北西約310キロメートルの我が国排他的経済水域内に漂泊しており、当庁巡視船が監視警戒にあたっています。〉

沖ノ鳥島(Wikipediaより)

沖ノ鳥島は、小笠原諸島に位置する日本最南端の島である。東京湾から南へ1734km下ったところにある。北小島が7.86㎡、東小島が1.58㎡しかなく、日本は灯台を建てたり、消波工事を行ったりしている。

そこで7月9日以降、中国海洋調査船は、次々と「怪しげな行動」に出ており、それらの詳細を、海上保安庁は日々、発表している。そして、7月18日に出された最後の「第10報」は、以下の通りだ。

〈 1 中国海洋調査船「大洋号」の昨日(17日)午後2時以降の動静は、本日午前11時頃、沖ノ鳥島の南約270キロメートルの我が国排他的経済水域内において、昨日(17日)午前9時20分頃、船尾から海中に投入した観測機器様のものを揚収しました。

同調査船が観測機器様のものを揚収するまでの間、当庁巡視船から「我が国の排他的経済水域において、我が国の事前の同意のない調査活動は認められない。調査の中止を求める。」旨の中止要求を無線及び電光掲示版(停船命令等表示装置)により実施しました。

2 その後、同調査船は同位置から南西方向に航行し、本日午後5時41分頃、沖ノ鳥島南南西約370キロメートルにおいて、我が国排他的経済水域を出域しました。

3 以後、同調査船の動静に特異動向を認めなければ、本報をもって最終報といたします。〉