全米経済研究所が、新型コロナウイルスの影響により米国の景気が今年2月をピークとしてリセッション入りしたというマクロ経済の景気動向を発表した6月8日のことである。
米調査会社のコアサイトリサーチは、ミクロ経済の景気動向として、年初での「20年における米流通企業は、最大で1万5000店の店舗が閉鎖に追い込まれる」との予測を、「最大2万5000店の閉鎖」に修正した。ちなみに17年の店舗閉鎖は約8000店。米国史上最大だった昨年は、9300店にすぎない。いかに米経済が疲弊をきたしているかが分かるだろう。
5月には、アメリカの典型的な百貨店であるJCペニーが経営破綻し、日本ではレナウンが民事再生を申請した。また5月20日にはイギリスでヴィクトリアズ・シークレットの英法人が破綻している。
株価は公的資金による下支えもあって復調の兆しを見せているが、世界の実体経済はいよいよ混迷を深めていると言っていいだろう。
一方で、変革は待ったなしで進んでいる。
国内外の企業をベンチマークしていると、米中のテクノロジー企業の「進化」は、いまや圧倒的となっている。米マイクロソフトは、在宅勤務でクラウド関連の需要が伸びて、1-3月期に22%と過去最高の増益を記録。また同社のサティア・ナデラCEOは、「この2ヵ月で2年分のデジタルトランスフォーメーションが進んだ」と発表している。
今月22日の2020年度年次決算では、「この5か月間で明らかになったことは、テクノロジーの強さがビジネスでの抵抗力の鍵であるということだ。デジタルの能力を増強した組織は現在の危機からより早くより強くリカバリーすることができる」とも発言している。
いまこそ日本は、世界の進化のスピードを、胸に刻まなければならないだろう。
こうした未曽有の危機に際しては、すべての人と組織に「シンカ」が問われている時代だと定義したい。