新型コロナウイルスの感染は、決して特別なことではありません。

検査で陽性になっても、入院や宿泊療養までに自宅での待機を余儀なくされることもあります。

身近な家族が感染したら、その間どうすればいいのか。

福岡県内の女性が体験を語りました。

◆30代女性

「突然(主人が)濃厚接触者です、という連絡が入ったところで、実際に今後どうなってしまうのか、どうしないといけないのか分からない状態。怖いというか、不安でいっぱいでした」

TNCの取材に応じた、福岡県内に住む30代の女性です。

女性は40代の夫と中学生の長女、それに小学生の長男の4人家族。

日常の生活が大きく変わったのは、7月19日のことでした。

夫が、新型コロナ患者の濃厚接触者と判明したのです。

その後、PCR検査で夫も陽性が確認されました。

ところが夫は、宿泊療養施設に入るまで1週間ほど、自宅での待機を強いられたのです。

◆30代女性

「お手洗い後、部屋までこの階段を使っていまして、こちらにすぐ消毒できるよう常備していました」

「家族に感染を広げてはならない」

手探りの感染対策が始まりました。

フェイスシールドを準備し、家族全員が接触を避けるため、別々の部屋で過ごすことにしました。

食事もそれぞれで取ります。

さらに…

◆30代女性

「お手洗いに関しても、主人が行くときには、LINEで連絡をもらうようにして「今からトイレに行く」と。戻ったな、というのは分りますので、そのタイミングでトイレの中と、主人が歩いた廊下の階段を足跡を追うように消毒作業を行いました。なんとしてでも家庭内感染をまず防がないといけない、というのを母親の使命感として」

2人の子供たちの生活も大きく変わりました。

学校には行けず、自宅で不安な日々を過ごすことになりました。

◆小学生の息子

「学校とかで言われたりせんかなとか、いじめとかにあわないかな、とは思ってました」

◆中学生の娘

「友達に噂されていないかなとか、学校に行ったらいろいろ聞かれるんじゃないかなとそういう不安があった」

中学生の長女はそのときの気持ちを作文にこうつづっています。

◆長女の作文より

「学校に行けなくて1人だけ勉強もできない。みんなと遊ぶことができない。家にこもりっきりでとても悲しくなります」

その後の保健所の調査で、女性と子供たちは夫の濃厚接触者には当たらないとされ、子供たちは再び学校に通っています。

ただ、子供たちはいじめなどを心配して学校を休んだ本当の理由を、周囲には話していません。

新型コロナで一変した生活。

長女はこう綴ります。

◆長女の作文より

「お父さんみたいに苦しい思いをする人、私たち家族みたいに不安な思いをしている人が、これ以上増えてほしくないです。こんな風になって初めて、コロナウイルスだけでなく学校に行くことも怖いと知りました」

女性自身も今回の経験を広く伝えたいと「感染して学んだこと」という名前でツイッターを公開しています。

長女の作文とともに当時、自宅で実践した具体的な感染対策を掲載しています。

全国的に感染拡大に歯止めがかからない今、女性が願うことは…

◆30代女性

「家族1人が感染するだけで、こんなに子どもや私たちへの生活に影響があることを初めて知りました。家庭内で感染して学校に行けなくなる子も出てくることも多いと思うので、その環境に対しての学校教育でのコロナ感染者が出た場合の道徳ですとか、そういった環境(の整備)もお願いしたい」