新型コロナウイルス感染拡大で、病床利用率が100%を超えた状況が続く沖縄県内。県は病床や看護師の確保を急ぐが、対応が追いつかないまま感染確認が相次いでいる。入院・療養先が決まらず、自宅待機が長引く人も。感染者の中には「何の連絡もない」と不安を口にする人もいる。
飲食店経営で元ボクサーの小谷将寿さん(32)=浦添市=は、7月下旬に感染が判明したが、1週間たっても療養先についての連絡が届いていない。「忘れられているのか」。自宅で1人、落ち着かない日々を送っている。
コーヒーの味がしない-。7月25日、小谷さんは味覚と嗅覚に違和感を覚えた。数日前に訪ねた那覇市のバーで、感染者が出たことを思い出し、「もしかしたら」と保健所に連絡。PCR検査を受け、2日後に陽性が判明した。
保健所からは、療養先の候補として(1)病院(2)ホテル(3)自宅-の三つを挙げられ、「また連絡がありますので」と告げられた。
自宅に戻り、連絡を待ったが、電話は鳴らなかった。幸い、発熱もなく、だるさもない。今のところ味とにおいを感じないだけで、その症状もわずかだが回復してきている。
監視があるわけでもないので、外に出ることができる。だが、人に会わないよう意識し、食事は友人が玄関先に置いてくれている。生活に不自由はない。
病床が埋まり、病院や保健所が慌ただしいのは理解しているつもり。ただ、もし自分が高齢者や基礎疾患を持つ人だったら-。そう考えると、どうして連絡が来ないのか、いつまで待てばいいのか、不信感が募る。「このまま放っておかれるのか」。不安な待機生活が今日も続いている。