中国の医療チーム、香港でウイルス検査実施へ 懸念の声も

Hong Kong Impose Restrictions As Coronavirus Cases Continue To Rise
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香港では新規感染者が増加している(写真は香港の医療従事者たち)

香港で新型コロナウイルスによる感染症COVID-19の検査を実施するため、中国政府から派遣される医療チーム60人のうちの7人が、3日までに香港に到着した。

中国の保健当局が香港で支援活動をするのはこれが初めて。香港では新型ウイルスの新規感染者が急増している。

ただ、香港の立法会(議会)議員らからは、中国が監視を目的にDNAサンプルを収集しているのではないかと懸念する声も上がっていると、ロイター通信は伝えた。

香港政府は、そうした懸念は当たらないとしている。

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香港では6月末に中国政府が導入した香港国家安全維持法(国安法)をめぐり、民主化を求める団体と中国政府との緊張が高まっている。国安法に対しては、自由を侵害するとの批判が出ている。

「第3波」の到来

中国国営の英字紙「環球時報(グローバルタイムズ)」によると、香港入りする医療チームの多くは中国南部・広東省の公立病院のスタッフ。香港政府の求めで結成されたという。

香港では2日、新規感染者が115人確認された。100人以上の日が続いており、累計の感染者は3511人となった。

感染者数は比較的少ないままだが、いったん感染を抑え込んだと思われた後に急増しているのが特徴だ。感染の「第3波」が到来したと言われている。

先週には立法会選挙が、当初予定の9月から1年延期された。

香港政府は、感染増加を受けた必要な措置だと説明。一方、反政府勢力は、選挙を開かせないためにCOVID-19を口実に使っていると批判している。

Transparent line

中国治安当局は免責

中国政府は国安法の導入で、香港市民を中国本土で裁判にかける仕組みを整えた。

違反者には最高で無期懲役の厳罰が科される。また、香港で活動する中国の治安当局は、罪に問われることはないとしている。

国安法の対象は香港居住者だけでなく、香港以外に住む非永住者も含まれる。

A woman walks past a poster for the National Security Law in Hong Kong on July 28, 2020
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香港国家安全維持法は内外から批判されている(香港、7月28日)

香港政府は、暴力的な民主化デモが昨年発生した香港には、国安法は必要だと主張。一方、民主化を求める抗議行動者を狙い撃ちするために、同法が使われると心配する人もいる。

そうした心配は先週、香港警察が民主活動家6人の指名手配を発表したことで現実となった。6人は現在、西側諸国で暮らしている。