日本語に対するアレルギー的な反応はテレビとラジオに限った話ではない。日本では「オルチャン(美少女・美男子)」「チンチャ(本当)」「ハッドグ(ホットドッグ)」といった韓国語の単語が新聞、雑誌、テレビ放送などで紹介され、それが韓国に対する憧れであったり、好意的姿勢の証拠であるかのように紹介されるが、韓国の状況は正反対だ。

 韓国人が日常生活でよく使う単語、例えば「うどん」「マンタン(満タン)」「いっぱい」のような日本語の単語は、放送不適切の処分を受けるだけではなく、国立国語院によって「純化対象」に指定され、排除すべき言葉、校正しなければならない言葉として分類される。

日本文化の流行を「危機」「占領」と表現する韓国メディア

 マスコミも黙ってはいない。韓国において日本式「居酒屋」が急増したときには、「倭色が酷い。若者たちは日本語をそのまま持ち込んで使うという奇怪な現象について問題意識ももたない。植民地文化は日常生活の中にこのように強力に浸透した」(ファイナンシャル トゥデイ 2019.8.9)と批判し、日本文化が流行したときには「日本風が強力だ。消費者たちの間では歴史的な痛みがあるのだから日本風の消費を止めなければならないという自制の声が大きくなりつつある状況だ」(マネートゥデイ 2019.5.5)と、暗に自制を求めるような論調で警戒している。

 日本のメディアは韓国の言葉、料理、文化、化粧品が流行することを友好や交流の象徴かのように伝えるが、韓国のメディアは日本のものが韓国内に広がることを「注意」あるいは「警戒」の対象として取り上げるのだ。

 それは文学においても見られる風景で、日本小説の人気に対する韓国マスコミの記事を見るとその様子がはっきり表れている。

書店で韓国の若い作家たちが日本小説家たちにいつも追いやられる現実は危機と受け取らざるを得ない部分だ。
(2017.2.6 MBNニュース)

日 推理小説が占領する出版市場、国内産出の推理物の反撃
(朝鮮日報 2019.1.23)

「ジャンル不問」 日 小説攻勢―ベストセラー大挙占領
(連合ニュース 2017.2.18)

 韓国マスコミは日本の小説が韓国で流行することを「日本文化による占領」、「危機」と表現し警戒心を示す。韓国で日本のものを楽しむことが白い目で見られる風潮は昔からあったが、去年の「日本製品不買運動」によりさらに深刻化した。