美津子の部屋 妹達の対談
ルールル ルルル ルールル ルルル 婁ー婁ー婁ー婁ー婁婁っ婁ー
「ナニこの音楽」
「何だか最後の方不吉だったんですけど…」
「はい、ということで始まりました美津子の部屋。司会はわたくし、立てば鈴蘭、座れば水仙、歩く姿は彼岸花、こと更科美津子(45歳)でお送りします」
「全部毒花じゃん。しかも致死性の……」
「どう考えても美しさではなく危険性を強調してますわよね?」
「さて、記念すべき第一回となる今回は、このお二人にゲストとしてお越し頂きました。ご紹介しましょう。更科桃華さん(16歳)とナキア・レーヴェンさん(14歳)です」
「あ、ど、どうも…」
「初めまして…?」
「はい、初めまして。さて、まだお二人共戸惑っているご様子なので、先にこの番組の趣旨をご説明したいと思います。この番組は本編とは全く無関係のこの部屋にゲストをお招きして、お題に沿って対談してもらったり視聴者からの質問に答えてもらったりする、という番組になります」
「はぁ…いや、話は分かったけど、何で第一回が私達なの?」
「いきなり住む世界が違う組み合わせなのですけど?」
「そこは
「ナニその機能。というか何考えてんのよ
「たぶん何も考えてませんわね。大方面白そうとかいう雑な理由で呼ばれたんだと思いますわ」
「という訳で今回はお二人に思う存分フリートークをして頂きたいと思います」
「えっ、いきなり丸投げ?お題とか視聴者からの質問とかないの?」
「第一回にそんなものある訳ないじゃない。ほら、私は基本聞き役に徹するから、好きにおしゃべりなさいな」
「えぇーー……マジでぇ?」
「はぁ…やるしかないみたいですわね……」
「じゃあ…まあ自己紹介からかな?どうも、お姉ちゃんは私の嫁、更科桃華です」
「…ファルゼン王国レーヴェン侯爵家当主、ナキア・レーヴェンですわ。あなたのことは資料映像?とやらで一通り存じておりますわ」
「あぁ、アンタもあれ見せられたんだ。なら話は早いね。私あれを見て少しアンタに言いたいことあんだけど」
「何ですの?」
「アンタさぁ…
「……?すみません、翻訳機能が上手く働いていないようなのですが?この方が何を仰っているのか理解出来ませんわ」
「翻訳機能は正常よ。正常じゃないのは……(チラッ」
「あぁ…(察し)」
「ゴメン何かスゴイ失礼なこと言われてる気がするんだけど?」
「気のせいですわ。それではまず、その妹力とやらについてお聞かせ願えますか?(淑女の笑み)」
「決まっているでしょう!妹力!それは百合百合し……良好な姉妹関係を築く上で妹に求められる資質!妹萌えする存在となるために必要な3つの要素よ!」
「まあそうですの(全力の淑女の笑み)」
「先ず何と言っても姉に対する愛情!姉妹とは!親子よりも長い時間を、男兄弟よりも近しい距離で共に歩むかけがえのない人生のパートナー!そんなこの世で一番近しい存在に向ける無上の愛!これ無くして妹を名乗る資格は無し!」
「…へえ(必死の淑女の笑み)」
「次に愛され力!こちらが一方的に愛するだけではダメ!妹として姉に愛される努力を怠っては妹失格よ!」
「…なるほど(…淑女の笑み?)」
「そして最後に忘れてはいけないのが姉に対する尊敬!いくら近しいとは言っても相手は年長者。普段は逆に世話を焼く相手でも、時には妹として全力で姉に甘える!これこそが妹ならではの可愛さ!妹萌えというものなのよ!!」
「……(淑女の…あっ、引き攣った)」
「以上、3つの要素がアンタには全て欠けている!アンタの妹力ははっきり言ってカスよカス!アンタにお姉ちゃんの妹を名乗る資格はない!!」
「あらまあ(淑女の笑み……口元だけは)」
「そもそもお姉ちゃんの人見知りを見抜けないなんて論外!妹たるものあの程度見抜いて当然!」
「無理を言わないでくださいませ。物心ついて間もない小娘に、碌に話したこともない相手の表情を読み取れるとでも?」
「お姉ちゃんへの愛があれば出来るはずだけど?私なんか幼稚園の頃にはお姉ちゃんの表情100%読めるようになってたし」
「それはご立派ですわね。ですがわたくしに同じことを求められても困りますわ。そもそもわたくしはお姉様に対する愛情など持っておりませんので」
「へぇ……そんなこと言う?言っちゃうんだ?ならお姉ちゃんを返してよ、さあ今すぐ」
「言われずとも……。わたくしにお姉様を引き留めるつもりなどありませんわ。わたくしはお姉様のことなんて何とも思っておりませんから」
「あ゛?今“なんて”っつったかコラ」
「言いましたが何か?(ニッコリ)」
「ほっほーう……ならその“お姉様”っていうの今すぐやめてくれる?お姉ちゃんの妹は私だけなんですケド?」
「そうは言われても血縁上はまごうことなき姉妹なので。仕方ありませんわ。ねぇ?今は何の血の繋がりもない“自称”妹さん?」
「…アハッ☆」
「ふふふっ」
「アハハハハッ……ゴメン、ちょっとカメラ止めてくれる?」
― CM入りまーす
{前世持ちの少女シリーズに続いて、燦々SUNの新たなシリーズ小説が遂に登場!!}
{その名も、10年ぶりに…シリーズ!!}
「オラァ!
「意味が、分かりませんわ!」
{前世持ちの少女シリーズと世界観を共有した、全く新たなシリーズ}
{癒しの聖女に関わった人々の姿を描く短編集}
「ハァッ!」
「まったく、狂犬染みた方ですわね!“遮音障壁”!!」
{現在、シリーズ第一弾となる『10年ぶりに光を取り戻したら妻を直視出来なくなってしまったんだがどうしたらいいのだろう』と、その別視点となる2本の短編を掲載中!}
「甘いわぁ!“壁ドン”!!」
バギィ!!
「なっ、中級対物障壁を素手で!?」
{前世持ちの少女シリーズとは違い、ほのぼのとしたラブコメ…を目指していたはずが、何故か回を経るごとに内容が酷くなっているという問題作!}
「ふっ、“オトコをオトすマル秘テクニック”の1つ、“壁ドン”は、あらゆる障害を打ち破る乙女の一撃。その程度の障壁紙屑同然!!」
「ならば!“縛風”!」
「ぐっ!ぬぬぬぅ…ぬぅああぁぁぁああぁぁ!!
バフォアッ!!
「ちょっ、出鱈目過ぎるでしょう!!?」
{しかしそれ以上に疑問なのは、何故か回を経るごとに平均評価は上がっているという事実!}
{最新作の『10年ぶりに光を取り戻した男とその妻がラブラブ過ぎてどうにかしてほしい』に至っては、全編下ネタばかりの酷い内容にも関わらず、文章の平均評価が4.6ptでストーリーの平均評価が4.7ptという前代未聞の高評価!(2018/5/13時点)}
「くっ!」
「もらったぁ!
ガッ!
「桃華?何をサラッと禁じ手を使おうとしているのかしら?」
{この評価はそれまでの最高評価であった、前世持ちの少女シリーズのif短編『死んだはずの娘が銀髪美少女になって帰って来た件』をそれぞれ0.1ptずつ上回る燦々SUN史上最高評価!}
「お、お母いぎっ!」
(い、いつの間に!?つい先程まであちらに座っていたはずですのに…)
「私言ったわよね?“苦悶死鬼”を使っていいのは“殺っていい”時だけだと」
ギリギリッ!
「いや、ちょっ、ちゃうねん。いぎぃ!ちょっこめかみぃ!あ、頭が割れるぅぅぅ!?」
「大丈夫よ。人間の頭蓋骨は最初から4つに割れているから。4つが5つになったところで大した問題ではないわ。たぶんね」
ギリギリギリッ!!
「いや、ホンマにちゃうねん!お姉ちゃんと違ってウチは禁じ手使いこなせへんねん!今のはちょっとあの女の無駄にデカい乳をもいだろうかと思ただけやねん!本気で心臓狙った訳じゃないねん!」
「どちらにせよ放送事故よね?あなたは第一回からこの番組をお蔵入りにするつもりだったのかしら?」
「いや、この絵面も割と放送事故―――あ」
ミシィ!!
{今後は別視点を更に2本投稿した後、新たな展開をする予定!まだまだ広がる10年ぶりに…シリーズの世界を、あなたも見逃すな!}
― CM終了5秒前でーす。さーん、にー、いーち…
「はい、という訳でここまでお送りしてきました美津子の部屋。残念ながらそろそろお時間となってしまいました。ゲストのナキア・レーヴェンさん、どうでしたか?今回は」
「そ、そうですわね…(チラッ」
「(ぷらーん)」
「(見なかったふり)…大変、貴重な経験となりましたわ」
「そうですか、それはよかったです。さて、この番組では視聴者の皆様からの
「…ちなみに、
「その場合は企画倒れね」
「…そうなる気しかしないのですけど」
「そうね、私もそんな気がするわ。その場合は
「やりたい放題ですわね
「何も今に始まったことではないでしょう?」
「それもそうですわね」
「まあもしかしたら一通くらいは来るのではないかしら?そして一通でも来ればあのチョロさに定評がある
「そんなこと言って大丈夫ですの?」
「大丈夫でしょう。本編の展開に差し障りのある質問や、相当な無茶ぶりが来なければ……そうね、『赤鬼さんとチワワさんを対談させて欲しい』みたいな無茶ぶりでなければ問題ないわ」
「どちらも実体がないじゃありませんの……というか、彼ら(?)って話せますの?」
『えっ?宿主の身体を借りれば普通にしゃべれるけど?』
「「……」」
「(ぷらーん)」
「(聞かなかったふり)そうよね。話せないゲストを呼んでも番組として成立しないものね」
『いや、だから話せるって』
「(聞こえないふり)ですわね。やはり普通に人間のゲストを呼ぶべきですわ」
『いや、だから―――』
ミシィ!!
「……(ぷらーん)」
「(知らんふり)さて、
「(気付かなかったふり)はい。帝国でのかつてない激戦を経て、本編は第3章に突入しました。わたくし、ナキア・レーヴェンが王国で貴族相手に舌戦を繰り広げる中、お姉様の旅にも新たな展開が訪れます。そして、動き出す皇帝家。果たして救国の英雄となったお姉様を待ち受けるのは―――!?舞台を広げ更に加速していく『少女が旅立ったその後で』を、これからもよろしくお願いしますわ」
「流石は侯爵家令嬢――いえ、女侯爵ね。カンペを読むのも完璧だわ」
「恐縮ですわ」
「それでは今回はこの辺で。また次回お会いしましょう。さようなら~」
「またお会い出来る日を楽しみにしておりますわ」
ルールル ルルル ルールル ルルル 流ー流ー流ー流ー流流っ流ー
「はっ!気付いたらもう終わってる!?わ、私の貴重な出番がぁぁぁ!?」