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少女が旅立ったその後で 作者:燦々SUN

第2章

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エイプリルフール特別編 男の夢!?

「!!」


 朝、目覚まし時計の鳴る直前、不穏な気配を察した俺は、襲撃者に対して反射的に合気の技を繰り出した。

 ベッドの上の俺の胴体に向けてボディプレスを敢行しようとしていた襲撃者の身体を、90度横に回転させて正面から抱き留める。


「うわっ、と」

「……」


 ぽすん、と柔らかい感触が両腕の間に収まり、何とも言えない甘い香りが寝起きの俺の鼻腔を直撃した。


「桃華……」

「えへへ~、おっはよ~おにぃ」


 何が楽しいのか、にへらっとした笑顔を浮かべて俺の胸に顔をぐりぐりと押し付けるのは、俺の2つ(・・)下の妹である桃華だ。

 何が面白いのか、この妹は態々毎日早起きをしてまでこの襲撃を敢行するのだ。

 何度もやめるよう言っているのだが聞く耳を持たないので、最近ではもう注意する気もなくした。


 朝から溜息を吐きながら枕元の眼鏡を掛けると、桃華の両肩に手を置いて離れさせる。

 放っておくといつまでもくっついているのだ、この妹は。

 俺も男なので、寝起きからこの体勢は色々とマズい。


「あん、もうちょっとぉ~」

「馬鹿言うな。さっさと下に行くぞ」


 甘えた声を上げながら擦り寄って来る桃華を表面上は冷静にあしらいながら、部屋のドアを開けて廊下に出る。

 すると、ちょうど同じタイミングで隣の部屋のドアが開いた。


「ふあ?おふぁよぉ~~お兄ちゃん、桃華ぁ」

「おはよう梨沙」

「おはっよ~」


 隣の部屋から出て来たのは1つ(・・)下の妹である梨沙だ。

 まだ少し寝惚けているのか、肩まである黒髪をあちこち跳ねさせたまま、眠そうに目をくしくしと擦っている。

 そのままふらふらと階段の方に歩いて行き、1階に下りようとして…


「ふわぁ!?」


 見事に足を踏み外した。

 あわやそのまま階段を転げ落ちるかと思われたが、何となくそうなる予感がしていた俺は素早く梨沙の元に駆け寄ると、そのお腹に腕を回して引き戻した。

 その際、梨沙の乱れたパジャマの襟元から胸の谷間が見えそうになり、慌てて視線を逸らす。


「あ、ありがとう、お兄ちゃん」

「…いや、気を付けろよ」


 流石に目が覚めた様子の梨沙が少し恥ずかしげに頬を染めながらそう言うのを聞き、そっと腕をほどく。

 と、所在なく彷徨わせていた視界に、妙なにやにや笑いを浮かべる桃華の姿が映った。

 俺と目が合うと、声には出さずに口の動きとジェスチャーだけで何かを伝えようとしてくる。


『ラッキースケベ』


 …真面目に読唇術して損した。

 自分のパジャマの襟元をくいくいっと指で引っ張りながらそんなことを無音で話す桃華から目を逸らすと、俺は梨沙と一緒に洗面所に向かった。



* * * * * * * *



『――は全体的に曇り、しかしところによっては晴れ間が覗くでしょう――』


 顔を洗い、制服に着替えた俺達は、リビングでニュースを見ながら朝食を食べていた。

 のだが、さっきから机の下で悪戯を仕掛けて来る不埒者がいる。

 正面から伸びてきた足が、俺の脚を撫で回しているのだ。

 俺はその足を払い除けつつ、何食わぬ顔で正面に座る犯人を、ジト目で睨む。


「何?おにぃ?」


 その犯人――桃華は、キョトンとした顔でそう言うが、その目の奥が完全に笑っているのを俺は見過ごさなかった。


「お前なぁ……」

「どうしたの?」


 隣に座る梨沙が、こちらは完全に純粋なキョトンとした顔で訊ねてくる。


「いや…」


 …こんな純粋な目を前に、誰が「今、あなたの妹に妖しい悪戯されてます」なんて言えるだろうか。

 結局言葉を濁してしまい、桃華を益々調子に乗らせてしまう。


 先程まではすねの辺りをさわさわと撫でるだけだった足が、つつーっと太腿の方まで上がって来る。

 梨紗がまだチラチラとこちらを気にしているので露骨に避ける訳にもいかず、結果、内腿の方にまで侵入を許してしまう。


 これ以上はマズいと思って、もう気付かれるの覚悟で足を封じにかかろうとした、瞬間、


「桃華、行儀が悪いわよ」


 斜め前に座る母さんから冷たい言葉が飛び、シュバッと桃華の足が引き戻された。

 流石に母さんの怒りに触れてまで続行する気はなかったらしく、俺も安心した。


 ちなみに母さんがなぜ気付いたかは不明だ。

 2人共上体は全く動かしていなかったし、音も立てていなかったはずなのだが。

 現に梨沙などは頭の上にクエスチョンマークを浮かべているし、親父も「何かあったか?」と言っている。

 まあ母さんのことだから、俺達の表情や気配で気付いたのだろう。深く考えたら負けだ。



* * * * * * *



「行ってきます」

「行ってきます」

「行ってきま~っす」


 身支度を整え、3人揃って家を出る。

 正直この歳になって妹2人と一緒に登校するのは気恥ずかしいものがあるのだが、かといって置いて出ようものなら後で姉妹2人掛かりで散々文句を言われるのでもう諦めた。

 それに、最近はそれ以上に憂鬱なことがある。それは…


「おはようございます。杏助さん。梨沙さんと桃華さんも」


 角を曲がったところで横から声を掛けられる。

 ここ最近は毎日のこと。そう、毎日明らかに待ち伏せされているのに、今日も声を掛けられるまで気付かなかった。


 振り向くとそこには予想通りの少女の姿。

 俺達と同じ学生服で、梨沙と同じ赤色のリボンタイを付けていることから2年生だと分かる。

 緩やかにウェーブする栗色の髪を腰の辺りまで伸ばした優しげな美少女。


 青木七海


 ここ最近やたらと俺に付き纏ってくる少女だ。

 原因は彼女が不良に絡まれているところを偶々助けた、というただそれだけのことなのだが、それ以来事ある毎に押し掛けて来るのだ。


「おはよう」

「…おはようございます」

「おはようございます青木先輩。毎日毎日ご苦労様です」


 自然な動きで梨沙が俺の背後に隠れ、逆に桃華が俺の前に出て青木との間に立ち塞がった。


「別に苦労なんて…私が好きでやってることですから」


 桃華の毒の込もった挨拶を、ほわんほわんとした笑顔で受け流す。

 これがこの少女の厄介なところだ。

 この少女には、基本邪気というものが全くないのだ。

 全ての行動が極めて純粋な好意からきているため、俺でも気配が掴みにくく予想がし辛い。これが悪意や下心を持って近寄って来られたのならすぐに分かるのだが。


 現に今も、いつの間にやら自然と腕を組まれていた。

 さっきまで桃華と睨み合っていたはずなのに、気付いたら懐に入られていた。いや、睨んでいたのは桃華の方だけだったが。


「おい青―――」

「ちょっとぉ!!何してるのよぉ!!」


 俺が言う前に、桃華が声を上げつつ俺の逆の腕を取った。

 両腕に伝わる柔らかな感触、上腕に押し付けられる幸せな感触。

 思わず俺の中の獣性が騒ぎそうになるが、理性を総動員して何とか抑え込む。

 そうやって俺が自分自身と戦っている間にも、俺を挟んで青木と桃華の言い合いが行われていた。


「青木先輩?付き合ってもない癖に異性の腕を組むなんてはしたないんじゃありません?」

「あら、誰でも組むわけじゃありませんよ?私は杏助さんだから組んでいるんです」

「相手のこと考えないのはよくないと思いますけど?おにぃだって迷惑がってますし」

「そうなんですか?杏助さん?」


 右隣から純粋な疑問の視線、左隣と背後からジトッとした視線。


「あぁ、出来れば離れてくれないか?」

「でも杏助さん、本心では嫌がってないみたいですけど?」


 なにその返し。

 そりゃあ俺だって健全な男だ。嫌な訳がない。

 でも、素直にそう言えるかと問われれば言えるはずもない。

 結局、沈黙を選んでしまう。


「沈黙は肯定ですよね?ほら、問題ありません」


 前半は俺に向けた質問の形をした断定、後半は桃華に向けた返答。

 そして、許可は得たとばかりに益々強く体を密着させてくる。

 すると、当然上腕に伝わる圧倒的な存在感!


 前から思っていたが、本当にデカい。

 ウエストに対してバストが不釣り合いな程大きいせいで、制服の襟元がこれでもかと言う程押し広げられている。その下のシャツもパンパンに張りつめていて、ボタンが今にも弾け飛びそうだ。


「おにぃ?」

「…っ!……っ!」


 現実逃避気味に思わずそんな感想を抱いてしまっていると、桃華に握り拳を脇腹にぐりぐりとねじ込まれた。

 それはともかく、梨沙、学生鞄を向う脛にガスガスぶつけるのは止めろ。地味に痛いから。


 結局それからも4人でダラダラと固まって歩いた結果、遅刻ギリギリになってしまい、慌てて教室に飛び込む羽目になったのだった。



* * * * * * *



「起立、礼!」

「「「「「ありがとうございましたー」」」」」


 午前中の授業が終わると、俺は素早く席を立った。

 授業が少し長引いたせいで逃げ切れるかどうかは微妙だが、間に合うと信じて教室を飛び出す!


「あっ、待ってたよおにぃ」

「お兄ちゃん何か慌ててる?」


 …ムリでした。

 教室のドアを開けると、当然のように2人の妹が待っていた。

 どう見ても一緒にお昼を食べる気満々だ。

 「何で俺と飯食いたがるんだ?他に一緒に飯食う友達いないのかよ」という言葉が喉元まで上がって来たが、これを言ったら確実に梨沙の地雷を踏み抜くことになるので必死に呑み込む。


 何にせよ、妹達が来る前に逃げられなかった時点でもう諦めるしかない。

 正直妹達と一緒に食事なんて一緒に登下校以上に恥ずかしいが、誰かに見られないところに行けばどうということもないだろう。


「今からじゃ学食は席取れないな。購買で何か適当に買って、中庭にでも行くか?」

「私はそれでいいよ?」

「私も~じゃあ行こう?」

「いいですね。私もご一緒してもいいですか?」

「っ!?」


 振り返ると、いつの間にか青木が背後に立っていた。

 コ、コイツ俺の背後を取ったぞ!?

 親父にも背後を取られたことないのに!!


 戦慄する俺を尻目に、本人は無邪気な表情で手に持った大きな包みを持ち上げる。


「実は私、お弁当を作って来たんです。杏助さんに是非食べてもらいたくて」

「……」


 そこは「つい作り過ぎちゃって」じゃないのか?

 そんな風にド直球に言われたら断るに断れないじゃないか。


 そのあまりにもストレートなお誘いに桃華も何も言えなくなってしまったらしく、特に反対することもなかった。

 梨沙?早くも人見知りモード発動してるから何も言わんよ。

 その結果、なし崩し的に俺達は4人でお昼ご飯を食べることになった。




 購買に寄って、俺が(・・)購買に群がる学生の波を掻き分けて梨沙と桃華の分の昼食を確保する。

 それから中庭に向かい、いくつかある4人掛けのテーブルの1つに腰を下ろすと、青木が持っていた大きな包みを開けた。

 中から出て来たのはなんと立派な重箱。

 正月のお節料理でしかお目に掛かれないような代物だ。


(え?これはまさかアレか?これ全部食べ切らないといけないヤツか?)


 そう不安を抱くが、それはどうやら杞憂のようだった。


「はい、杏助さん」

「あ、あぁ、ありがとう」


 青木は重箱の上段だけ外すと、そのまま俺に渡し、下段を自分で確保したのだ。


 ……いや、別にいいのだが、コイツまさかその量1人で食う気か?どう見ても一般的な弁当の倍近い量あるんだが。というか同じ量を渡された俺でも、食い切れる自信があまりないんだが。


 正面に座る梨沙と桃華も、その弁当の量を見て目を丸くしている。

 俺達兄妹の戦慄の表情を気にする様子もなく、青木は行儀良くいただきますをすると、凄い勢いで弁当を消化し始めた。

 といっても、一口の量は大したことない。大口を開ける訳でもなく、むしろ上品に少量ずつ口に運んでいる。

 だが、箸の動きが全く止まらないのだ。

 常に箸が弁当と口とを行き来しており、しかしそれでいて口の中に食べ物を詰め込んでいる訳でもなく、ちゃんと前の分を飲み込んでから次の一口を食べている。


 ちゃんと噛んでいるのか心配になる、というか傍から見たら早食いにしか見えないのだが、本人の表情を見るにそんな気は全くないようだ。


「っ、ふぅ…どうしました?何か苦手なものがありましたか?」


 青木の外見からは想像もつかない健啖家ぶりに圧倒されていると、本人に不安そうな目を向けられてしまった。


「い、いや、そんなことはない…いただくよ」

「はい、召し上がれ」

「…いただきます」

「い、いただきま~す」


 結局それからも青木の食べっぷりに圧倒され通しで、特に桃華が青木に噛み付くこともなく、お昼休憩は平和に?過ぎ去っていった。


 …というか桃華、青木の弁当と胸を交互に見てから、自分の胸を悲しそうに見下ろすのはやめろ。何考えてるか大体想像つくが、お前が同じ量食ったところで普通に太るのがオチだぞ。



* * * * * * *



「ふぅ…」


 湯船にどっぷりと浸かり、今日一日の疲れを吐き出す。


 結局、放課後もきっちり待ち伏せされ、4人で下校する羽目になった。

 男1人に美少女3人、傍から見たら羨ましいかもしれないが、その内2人は実の妹で、もう1人と絶えず言い合いをしているのだ。

 間に挟まれている身としてはたまったものではなかった。


 …別に青木の好意が嬉しくない訳ではない。

 青木は普通にいい娘だと思うし、その自分の想いに正直な姿勢にはむしろ好感を持つ。


 だが俺の本性は……獣だ。

 普段は拘束具(眼鏡)で抑えているが、それがなければ俺は自分で自分を抑えられない。

 時々、実の妹達にすら薄汚い欲望を抱いてしまうことがあるのだ。


 …彼女を、俺の醜い獣欲で傷付けたくない。

 だから、俺は彼女の想いを受け入れる訳にはいかないのだ。


 そんなことを思っていると、不意に風呂場と繋がる脱衣場の方で衣擦れの音がした。それも2人分。

 …嫌な予感がする。

 そして間もなく、その予感は的中した。



 ガチャッ



「おっ邪魔しま~す」

「お、お邪魔します…」


 梨沙と桃華が、一糸纏わぬ姿で風呂場に乱入して来たのだ。


「ちょっ、おまっ……!!?」


 思わず声が上擦る。

 梨沙の方はまだ恥じらいがあるようで、両腕で大事なところを隠しながら桃華の後ろに隠れているのだが、桃華の方は全く隠すことなく堂々とその裸体を晒していたのだ。

 いくら肉親相手とはいえ、華の女子高生が見せていい姿ではなかった。


「な、なに入って来てんだよっ!?」

「え?たまには裸の付き合いで兄妹仲を深めようかと。どうせ今日お父さんとお母さんいないし」

「わ、私は桃華が行くって言うから……」


 …マズい。


 これは、マズい。


 今の俺は、拘束具(眼鏡)を身に着けていない。

 見てはいけないと分かっているのに、妹達の裸体から目を逸らせない、猛る欲望を、抑え切れない!!








「2人のまだ女として成熟し切っていない可憐な肢体が、俺の獣欲を激しく刺激する」

「おい」

「必死に欲望を抑えようとするが、梨沙の白磁の肌を珠の雫が伝い落ちたのを見て、ついに俺の中の獣が雄叫びを上げた」

「おいってば!」

「猛る獣性のまま、俺は2人の身体に手を伸ばしっ!!?」



 ゴスッ!!



「痛ったぁぁ~~~いきなり何すんのよ!?あっ、ちょっと!返してよ!」

「いきなりじゃないし。夏希が気付かなかっただけだろ?というかリビングで何してんの?」

「隣の家を覗きながら小説書いてるんだけど?」

「堂々と言うな!というか何だよこれ…」

「『罪に溺れる夜に獣は吠える ~禁断の果実は蜜の味~』だけど?」

「真顔で言うな!どう考えてもR18だろそれ!コンプライアンスを考えろコンプライアンスを!!」

「ちっ、じゃあ『いきなり四角関係!? ~後輩のお嬢様を助けてから妹達の様子がおかしいんだが~』で」

「そういう問題じゃない!タイトルだけ今時のラノベ風にすればいいと思うなよ!?というかヒロイン3人の内2人が妹ってどういうこと!?」

「ふっ、こういう小説読む男共はとりあえず可愛い妹を出しとけば喜ぶのよ」

「うん、とりあえず土下座して謝れ色んな人に」

「え?ハルだってそうでしょ?」

「んなわけあるか!お前みたいな妹がいて妹に夢見れる訳ないだろ!!」

「え?リアル妹が可愛くない男ほど二次元の妹にのめり込むもんじゃないの?」

「知らんわ!というか自分が可愛くない自覚はあるのか……はぁ、とにかく、これは廃棄な」



 ビリビリビリッ!!



「ちょっ!?何すんのよ!!これからイイところだったのに!!」

「“イイところ”の意味がアウトの意味にしか聞こえねぇよ!?」

「いいじゃん別に!最近じゃあR15なんて言って結構な性描写入れてる作品なんて山ほどあるし!」

「そのレベルで収める気なかったろどう考えても!というか身近な人間を題材にこういうの書くのはやめろってのに……まさかとは思うけど、まだ僕とキョウ兄さんを題材にアレな本書いてたりしないだろうな?」

「…もう、書いてないよ?」



 ガチャッ



「あったぜ」

「ちょっ!?秋雄ぉぉぉ!!アンタなに勝手に姉ちゃんの部屋漁ってんのよぉ!?」

「うるせぇ!俺の秘蔵本勝手に持ち出した姉ちゃんには言われたくねぇ!!」

「ちょっと資料として借りただけじゃん、ケチ!」

「だけじゃねぇ!昨日返す時にこれ見よがしに俺の机の上に置いといただろうが!!」

「それはそのぉ……うっかり」

「ご丁寧に隣に丸めたティッシュまで置いといてなにがうっかりだテメェェ!?おかげで昨日から母ちゃんの目が超冷たいじゃねぇかぁぁぁ!!!」

「うっかり……悪戯心が疼いちゃって♡」

「死ねっ!!」



 ビリビリビリッ!!



「あああぁぁぁああぁぁぁ!!!?半年も掛けて作った私の力作がぁぁぁぁ!?何てことしてくれんのよ!!?」

「「こっちのセリフだ!!!!」」

いやぁ……ホントにヒドイ(確信)。

書いてる最中にこんなにも「これ大丈夫か?」と思ったのは赤鬼さん初登場回以来ですわ。

一応これ書くきっかけになったのはバレンタイン短編の後書きで、あそこで「杏助ってハーレムものの主人公みたい」って言ったのが始まりです。

あれからふと考えてみて、「人見知りでいつも主人公に守られていた妹?それとは正反対に明るく元気な妹?幼馴染のスポーツ少女に、ゆるふわ巨乳お嬢様?………ハーレム要員じゃん!?」となりまして…。

で、書こうとしてみて分かる夏希の圧倒的女子(ヒロイン)力の無さ!!

作者の想像力では夏希を萌えさせることが出来なかった……。

という訳で、こんな形になりました。


夏希の小説はフィクションです。実在の人物とは何の関係もありません。

でも、七海の部分は割とノンフィクションだったりするとかしないとか。




次回はEpisode.0 更科杏助視点です。

温度差がスゴ過ぎると思うので、続けて読もうとしている方は一旦休憩して気持ちをリセットすることをお勧めします。

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