更科梨沙(セリア・レーヴェン)視点 1-⑧
夕日を背に全力で飛行し、カロント上空に辿り着いた。
所々に転がっている死体に歯を食いしばりつつ、飛行中に用意していた神術を外壁の外に向けて解き放つ。
私は学園にいた頃、上位の神術を使えない劣等生扱いされていたが、劣等生なりに頑張って磨き上げた技術が3つある。
それが、神術の“同時発動”、“同時照準”、“並列発動”だ。
つまり、“一度に同じ神術を何個発動できるか”、“一度に何カ所を照準出来るか”、“同時に何種類の神術を発動・維持出来るか”だ。
まあこれは、「上位の神術が使えないなら下位の神術を数撃てばいいじゃない」の発想でひたすらに手数を増やそうとした結果なのだが、今回のような敵味方入り乱れた乱戦では、この技術が存分に活かされる。
右手で光属性上級神術“激光”を、左手で聖属性最上級神術“聖霊の慈悲”を16発ずつ同時発動する。
“聖霊の慈悲”は治癒系神術の最高峰だ。それをまだ生きてそうな人間に片っ端から掛けて行く。
それと同時に“激光”で、超高熱の光線16発を手頃なところにいる敵に1発ずつ同時に撃ち込む。
光属性の攻撃を選んだのは、光属性は火属性などに比べれば威力が劣るが、周囲に被害を及ぼすこともなく速度も速いため、狙撃にはぴったりだからだ。
だが…
「嘘っ!避けられたっ!?」
狙った16体の内、当たったのは7体。残りは避けられた。
たしかにどこかに当たればいいくらいの気持ちで胴体辺りを適当に狙ったが、まさか半数以上に避けられるとは。
流石にゲリアス種最強の称号は伊達ではないらしい。
遠目に見る限り、レーヴェン侯爵領で遭遇したゲリアス種の2周りは大きいようだが、その巨体に見合わず俊敏な動きだ。
まあ、点が駄目なら面制圧するまでだけど。
左手で治癒を行使しつつ、右手を構え、人間がいなくてアヴォロゲリアスが固まっているところに狙いを付ける。
同時照準数は片手16カ所が限界だが、ただ真っ直ぐ撃つだけならその4倍はいける。
右手の前から、音もなく光の束が放たれた。
それは途中で拡散し、殺意の嵐となって地上を無慈悲に蹂躙する。
64発の“激光”が群れの中央に突き刺さり、20体以上のアヴォロゲリアスを貫いた。
そこまではよかったのだが、奴らは想像以上に知力も高いらしい。
私の攻撃が上空からの狙撃であることを把握した上で、傭兵たちを盾にするように動き出したのだ。
これではフレンドリーファイアが怖くて狙撃が出来ない。
(“縛風”で一旦拘束する…?いや、こんな状況じゃそこまで精密に風をコントロール出来ないし時間が掛かる。なら…“飛行”と“聖霊の慈悲”を使いながらは少しキツイけどっ!!)
右手を握り締めて意識を集中し、魔属性上級神術“失落”を発動する。
この神術は相手の意識に直接衝撃を加え、精神にダメージを与える神術だ。これなら効果対象に直接影響を与えるので、誤爆の心配はない。ただしかなり制御が難しいが。
本来は気絶程度で済むように威力を調整するのだが、害獣相手なので一切セーブせず、右手を振り下ろす動作と共に思いっ切り叩き込む。
眼下の16体のアヴォロゲリアスたちが一斉にビクッと震えたかと思うと、まるで鈍器で頭を殴られたかのようにおぼつかない足取りになり、そのまま横倒しに倒れた。
一部はショック死しているかもしれないが、ほとんどはまだ生きているだろう。
だが、止めを刺す手間が惜しいので、そのまま放置して次の標的を狙う。
そのまま回復と攻撃を続けながらも、私は手詰まり感を覚えていた。
というのも、戦場はここだけじゃない。
どうやら外壁の内側、更に町の中にまで戦場が拡大しているらしい。
このまま1体ずつ攻撃し、1人ずつ回復していたらいつまで掛かるか分からないし、手遅れになる人だって出てくるだろう。
といっても、こんな乱戦状態では広範囲神術を使う訳にもいかない。
町全体に治癒系神術を掛けることは…まあ不可能ではないが、その場合はアヴォロゲリアスたちも回復してしまう。
敵と味方、人と害獣を区別して掛けられる広範囲神術など存在しないのだ。
……いや、本当はある。
ただ、私がそれを使うのが嫌なだけだ。
だが、そうも言っていられないだろう。
私のちっぽけな意地とプライドなどを、多くの人命に代えることは出来ない。
……使いたくないけど。ほんっとーに使いたくないけど!!
私は1つ大きく息を吸い込んでちっぽけな意地を胸の奥に押し込むと、攻撃を一旦中断し、右ポケットから長さ40㎝程の半透明の指揮杖を取り出した。
これはサザーレントというクリスタルから削り出したもので、たった1つの神術の発動を補助するために作られた触媒だ。
指揮杖に神力を込め、全ての戦場を覆うように大きく振る。
「猛れ戦士たちよ 汝らに死はなく我らに敗北はない 進撃し凱歌を挙げよ 我ら神の尖兵なり!」
…名乗りを省いたのはせめてもの抵抗だ。
発動するのは
かつて聖女アンヌが行使したという軍勢強化の神術の再現。
もっとも、その効果は聖女アンヌのそれとは比べるべくもない。
だがそれでも、この秘術を以て、レーヴェン侯爵家は王都で公爵家に次ぐ戦闘神術師の名門となっているのだ。
戦場全域に私の神力が広がり、神術が発動した。
“不屈の聖軍”の効果は、治癒、体力回復、戦意高揚、筋力強化、肉体強度強化。
効果対象は“人間”のみ。
外壁付近で戦っていた戦士たちが、息を吹き返した。
“不屈の聖軍”の治癒効果はそれほど高くないので、私はそのまま重傷者の治癒を行う。
ん?あっ、あの倒れてるのバッカスさん?よかった、生きてた。
…なんかすごいこっち見てるけど。
いやいや回復したなら戦って下さいよ。ロイさん1人で頑張ってるじゃないですか。
ああでも、なんかロイさんが鬼人みたいになってるし大丈夫かな…。
“不屈の聖軍”を受け、獅子奮迅の働きを見せるロイさんを見て、もうこの戦場は任せて大丈夫と判断した。
最後に、気絶させたアヴォロゲリアスたちを適当に狙撃してから、外壁を飛び越える。
外壁内に移動すると、そこでの戦闘は既に終了していた。
結構負傷者がいるので、全員に片っ端から“聖霊の慈悲”を掛けていく。
えっとそこのおじさん?何で泣いてるの?あっ!そこのお兄さん何祈り捧げてんの!?やめてよ!?
あっ、デリクさんがいる。無事でよかった。
私は町の方行くんで、外のロイさんの方を助けてあげてくれません?
何となくあの集団の中に飛び込む勇気がなかったので、身振り手振りでそう伝える。
あっ、伝わった?
んん?あぁ跳ね橋が壊れてるのか。
土属性神術でいいかな?えい!“土壁”!これでいい?よし!
ってうわっ!なんか祈ってる人増えてる!?ちょっ、ホントにやめてよ!!
あ、デリクさんが怒った。ありがとうデリクさん、じゃあそっちは任せますね。
デリクさんがその場にいた傭兵の人たちを引っ張っていくのを見届けてから、町の方へ飛ぶ。
先程遠くから見た限り、北門に避難待ちの住民が集中しているらしい。ならば一度このまま北門まで行こう。
そこに既に敵がいた場合は始末し、それから街中の残党を始末する。
そう決め、一気に加速する。
北門が見えてくると、5体のアヴォロゲリアスと兵士が交戦中なのが分かった。
どうやらここにいる兵士は南門の傭兵よりもだいぶ戦闘力が低いらしく、数で圧倒的に上回り、かつ“不屈の聖軍”によるブーストが掛かっていてなお、攻めあぐねているらしい。
すぐさま狙撃しようとするが、ここから撃つと直線上にいる兵士や住民を巻き込んでしまう。
焦らず上空まで接近してから攻撃しようとするが、その前に兵士の1人がアヴォロゲリアスに押し倒された。
(マズイ!間に合わ……いや、まだ!)
咄嗟に左手を伸ばし、“念動”を発動させる。
これ程距離がある状態で発動させるのは初めてだが、自分の手が届くものと思い込んで必死にイマジネーションを振り絞る。
「届、け……っ!!」
今まさに兵士の喉笛に噛み付こうとしていたアヴォロゲリアスの頭が、ゆっくりと背後に持ち上げられた。
そのまま胴体が浮き上がり、兵士の両肩を押さえ込んでいた両爪が兵士の身体から離れ、ゆっくりと宙に浮く。
そこまで見届けてほっと一息。
私は集中するために一度滞空すると、左手を広げて他の4体も術の対象にした。
北門に残っていた兵士や住民が呆然と見送る中、5体のアヴォロゲリアスが足を必死にばたつかせながら私に向かって飛んで来る。
ある程度兵士たちとの距離が取れたところで、私は“念動”を維持したまま、雷属性上級神術“轟雷”を5発同時発動させる。
滞空中とはいえ、“飛行”と戦域全体への“不屈の聖軍”を維持しつつ、かつ左手で固有神術と基本属性上級神術を5発ずつ並列発動させるというのはかなりの離れ業だ。
しかし、かつて家や学院で血反吐を吐くような思いで必死に訓練した私にとっては、この程度なんということはない。
瞬間、眼を焼く閃光と空気を爆ぜさせる轟音と共に、5体のアヴォロゲリアスの身体を稲妻が貫いた。
“念動”を解くと、胴体が半ば炭化した死体が5つ、地面に転がる。
そちらはもう気にせず、負傷している兵士をさっさと治癒する。
あ~ハイハイ。
祈りとかいらないんで、他の人を助けに行ってくれません?
あれ?あのお婆さんどうしたの?なんかすごい焦ってるみたいだけど…あっちに行けって?
向けられる過剰な崇拝にうんざりしつつ、何やら必死な様子で西の方向を指差すお婆さんの指示に従い、そちらの方に飛んで行く。
すると、間もなく見知った顔を発見した。
「ニックさん!!?」
ニックさんが、1体のアヴォロゲリアスに右腕を食われていた。
いや、動かないところを見るに、ニックさんの肩口に食らい付いた状態で死んでいるらしい。
状況は分からないが、ニックさんが重症であることには変わりないので、急いでニックさんの元に降下する。
「サ、サラちゃん!?」
驚くニックさんに駆け寄りながら、口の前に人差し指を立てて静かにさせると、ニックさんの右腕の状態を確認する。
ニックさんの右腕は酷い状態だった。
ゲリアス種特有の長く鋭い牙が、完全に上腕を貫通している。恐らく内側2列の牙も、口の中で腕のあちこちに食い込んでいるだろう。
腕ごと食い千切られていないのが不幸中の幸いか。
このまま牙を抜くと出血が酷くなるので、傷口を再生しつつ牙を抜くことにした。
“聖霊の慈悲”を最大出力で掛けつつ、“怪力”を行使して、腕の傷が再生して肉が盛り上がるのに合わせて慎重にアヴォロゲリアスの顎をこじ開ける。
アヴォロゲリアスの口を開くと、中の状況が分かった。
どうやらニックさんは、アヴォロゲリアスに食い付かれる際に自ら右腕を突っ込み、喉の奥から脳に向かって短剣を突き刺したらしい。
本当に無理をする、と思いながら、右腕と右足の傷が治っているのを確認して、ニックさんに問題ないか尋ねようとした。
しかし、目を丸くしてこちらを見て来るニックさんの視線に何だか居た堪れなくなり、私はフードを深く被り直すと、そそくさとその場を後にした。
その場から飛び上がり、残党狩りに向かう。
私は大雑把に下の様子を観察しながら、西門付近まで向かう。
その場で滞空し、風属性中級神術“
これは風を操って周囲の音を拾う索敵系神術だ。
これでアヴォロゲリアスの足音や吐息の音を聞き分けようとしたのだが…
「ダメだ、全っ然分かんない」
流石に街中の広範囲を索敵するようなものではなかった。
いくら人がいないとはいえ、そんな小さな音を聞き分けることは不可能だった。
「う~んどうしよう…」
電磁波をレーダーみたいに使う神術もあるが、やはりこんな障害物だらけの街中で使うようなものじゃない。
私が知る神術には、こんな街中で害獣のみを選別して索敵出来るようなものはなかった。
となると、新しい神術を作るか地道に探すかしかない訳だけど…
「う~ん…ちょっと思いつかないなぁ……」
上手いアイデアが浮かばない。
まあこんな戦場でぶっつけ本番で固有神術を試すより、地道に探し回った方がいいだろう。
それに“風耳”で戦闘音や悲鳴が拾えないということは、誰かが襲われてる訳ではないということだ。ならばゆっくり索敵しても問題ないだろう。
そう思った瞬間、私の耳は誰かの泣き声を拾った。
(まさか襲われてる!?)
慌てて声のした方に向かう。
するとそこには……
「おかあさん…うぅぅ…おかあさぁ~~ん」
所々食い散らかされた母親の死体にすがって、すすり泣く男の子がいた。
私はその光景を前に、呆然と立ち竦んだ。
戦場の興奮も、神力を解放する高揚感も、一瞬にして吹き飛び、身体から熱が失われていく。
その時、ふと何かの気配を察したのか、男の子が顔を上げて私を見た。
その目が大きく見開かれ、薄く開かれた口から呆然と言葉が零れ落ちた。
「聖女様……?」
その言葉に、私はなぜか酷く動揺してしまった。
知らずに身体が小さく震える。
「聖女様!お願い!お母さんを助けて!!」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を悲痛に歪ませながら、必死に放たれたその言葉に、私は自分でも意識することなくゆっくりと地面に降り立った。
頭の中がぼーっとする。全身の感覚が遠く、地面の上を歩いているのにどこかふわふわとした感じがする。
それでも半ば無意識に男の子の元に辿り着き、そこに転がる母親の死体に手を伸ばす。
そっと俯せに倒れている背中に手を触れさせ、その冷たさにぞっとする。
必死にその怖気を振り払い、荒れる心のままに何とか意識を集中させる。
(お願い……生き返って!)
そう必死に願うが、神術が発動する気配はない。
いや、本当は試すまでもなく分かっている。
私には、死者を蘇らせる力などない。
それでも必死に神術を発動させようとするが、しばらくして、私は絞り出すように言った。
「ごめんなさい…あなたのお母さんはもう…死んでいるわ」
男の子の目が大きく見開かれ、その瞳から涙が零れる。
その顔をくしゃりと歪ませながら、必死に言葉を紡ぐ。
「じゃあ、じゃあおかあさんを生き返らせて!聖女様ならできるでしょ!?」
「ごめんなさい…出来ない…私には、出来ないのよ……っ!!」
もはやその顔を見ることも出来ず、顔を俯かせながら掠れる声でそう返す。
「どうして、どうしてぇぇ…うわあぁぁぁ」
私には、泣き伏す男の子に掛ける言葉がなかった。
何を言えるだろう?前世でも今世でも、大切な人を失ったことなどない私に。
結局何も言えないまま、最後に小さく「ごめんなさい」とだけ呟いて、私は逃げるようにその場を後にした。
それからは、町の中を飛び回り、2体のアヴォロゲリアスを仕留めた。
千々に乱れた心のまま、まるで作業のように。
そして、今私は“隠密”を発動した状態で南門まで戻って来ていた。
外壁から見下ろすと、ちょうど戦闘が終わったのか、その場にいた傭兵たちが町の中に入っていくところだった。
それをぼんやりと見送り、私は静かに誰もいなくなった南門外の戦場跡に降り立った。
そこら中に人間とアヴォロゲリアスの死体が転がっている。
戦闘も終わった今、普通ならその凄惨な光景に吐き気の1つも催してもおかしくないのだが、今の私の頭の中は全く違うことに埋め尽くされていて、そんな余裕はなかった。
一体、何人死んだのか。
一体、何人の人が大切な人を失ったのか。
もっとやりようはあったのではないか?もっと犠牲を少なく出来たのではないか?そもそも私がもう少し長くこの町に留まっていれば、こんなことにならなかったのではないか?
そんな思いが胸の中で渦巻く。
いや、頭では分かっている。
彼らは自らの意思で戦い、そして死んだのだ。
そこに私が責任や罪悪感を感じるなど、ただの傲慢だ。
私は万能ではない。たらればを考えても意味などない。
むしろ、これだけの被害で済んだことを誇ってもいいはずだ。
そう、頭では分かっているのだ。
だが、先程の男の子の泣き声が頭の中で
割り切れない自分が嫌になる。
自分の心の弱さ、人間としての小ささを痛感する。
やり場のない思いを抱えて立ち尽くす私の視界に、かすかに動くものが映った。
そちらを見ると、それが倒れたアヴォロゲリアスだということが分かった。
どうやら仕留め損なったらしく、身体中の傷跡から血を流しながらも、弱々しく動いている。
私が無言でそちらに歩み寄ると、そのアヴォロゲリアスも私に気付いたのか、途切れ途切れの唸り声を上げながら、鋭い眼光で威嚇して来る。
それを意に介することもなく、私はその頭の近くまで歩み寄り、静かにその目を見下ろした。
「グルァ!」
無防備に近寄った私の足に、アヴォロゲリアスが頭だけを動かして食らい付いた。
最後の死力を振り絞ったのであろうその攻撃は、あっさりと結界に阻まれた。
混乱した様子で必死に歯を立てようとするアヴォロゲリアスを冷たい目で見下ろす。
「無駄だよ」
そうぽつりと囁くと、私はその頭に右拳を振り下ろした。
「グッ」
神術で強化もしていない小娘の放つ拳だ。こいつらにとってはさして痛くもないだろう。
しかし、私は構うことなくその頭に拳を振り下ろし続けた。
殴る。
殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る!
どれだけ殴ろうと、結界に守られている私の拳が痛むことも、血に汚れることもなかった。
なぜか今はそんなことすら腹立たしく、私は行き場のない思いをぶつけるようにひたすらに拳を振るい続けた。
気付いた時には、目の前のアヴォロゲリアスはとっくに息絶えていた。
それを無感動に見下ろし、私は町の方を振り返った。
遠くの方からかすかに、窮地を脱した人々の歓喜の声が聞こえる。
しかし、私の耳はその歓声の中に、聞こえるはずのない男の子の嘆きを探してしまった。
私はそれを振り切るように、月明かりの下、西に向けて飛び去った。
見知った人たちを救えた安堵と、それ以上の失意を胸に。
次回はリンデル視点でカロント編のエピローグのようなものを入れます。
次回更新は明日か明後日の予定です。