cat_oa-rp92670_issue_22bfb44c19a1 oa-rp92670_0_22bfb44c19a1_【ネタバレあり】『The Last of Us Part 2』は、映画を最も震え上がらせるーー映画評論家・小野寺系が“問題作”の可能性を考える 22bfb44c19a1 22bfb44c19a1 【ネタバレあり】『The Last of Us Part 2』は、映画を最も震え上がらせるーー映画評論家・小野寺系が“問題作”の可能性を考える oa-rp92670

【ネタバレあり】『The Last of Us Part 2』は、映画を最も震え上がらせるーー映画評論家・小野寺系が“問題作”の可能性を考える

2020年7月31日 12:00 Real Sound

 数々の作品が高い評価を受けてきた、アメリカのゲーム開発会社ノーティードッグのAAA(トリプルエー)タイトル『The Last of Us Part II』は、かつてない挑戦的なストーリーと趣向を用意し、多くのプレイヤーを戸惑わせる“問題作”となった。この騒動によって、あるキャラクターを演じた声優がSNSで脅迫を受けるという、冗談では済まない事態も起こってしまった。

(参考:【ネタバレあり】『The Last of Us Part 2』に向けられた批判は妥当か? “不快さと誠実さ”併せ持つ問題作について考える

 その一方で、本作を絶賛する声も多いのは事実である。この激烈な賛否の渦を巻き起こした本作『The Last of Us Part II』とは、いったい何だったのか? ここでは、「プレイする映画」との異名を持つ本シリーズを、映画評論家の目線で読み解きながら、本作が真に描いたものや、そこから見通せるゲームの可能性について考えていきたい。

※本記事は、『The Last of Us Part 2』の終盤を除く重要な要素、及び前作のエンディングについてのネタバレを多く含みます。本作を既にクリアしている人々、あるいは本作を巡る批判意見を目にして作品を手に取ることを止めた人々、あるいはゲームの途中でプレイを止めた人々に向けた文章となっておりますので、未プレイの方はご注意下さい。

・名作と呼ばれた前作

 シリーズの舞台となっているのは、文明が破壊され、荒廃したアメリカ。謎のウィルスが蔓延し、感染した人間がゾンビや化け物のような姿になって人間を襲うようになったことが、そんな世界を作り出した原因である。主人公は、ウィルス騒動によって愛する娘を亡くして以来、孤独な生活を続けてきた中年男のジョエル。彼は、14歳の少女を目的地に運ぶという仕事を依頼される。感染者や人間の略奪者から身を隠し、ときに殺害しながら、徒歩で進んでいくジョエルと少女は、生き残るため協力することで、次第に絆を深めていく。その道中、その少女エリーはなんとウィルスの抗体を持つ奇跡の子どもだということが発覚する。

 本シリーズのジャンルは、いわゆるステルスアクションである。限られた武器弾薬を駆使して、立ちふさがる人間や感染者たちを排除しながら進んでいく。生き抜くためには、敵の背後に回り込んで不意打ちを仕掛け、できるだけ自分の被害や消費を最小にすることがコツとなる。一度見つかると敵が一気に集まってくるため、緊張感あふれるプレイが要求されることになる。また、ドラマ部分では、多くのゾンビ映画やドラマの設定を下敷きにしながら、アルフォンソ・キュアロン監督の映画『トゥモロー・ワールド』(2006年)を思い起こさせる、人間が滅びていく未来への絶望と、救いのない展開がシリアスに描かれていく。

 第1作のクライマックスは衝撃的なものとなった。ファイアフライという武装組織がエリーを迎え入れると、彼らは彼女の身体を使ってウィルスのワクチンを開発しようとする。しかし世界を救う代償として、エリーは死ななければならないのだという。苦悩したジョエルは、決心を固めるとファイアフライの研究施設の職員たちを次々に殺害し、エリーを救い出すことに成功する。そして、目覚めたエリーに対して、ジョエルは嘘をつき、彼女を罪悪感から遠ざけようとするのだった。

 人類の未来を犠牲にして、そして研究施設の人々の命をも犠牲にして、一人の少女の命を助ける。エリーはジョエルのなかで、いつしかそこまで大きな存在になっていたのだ。この苦々しくも感動的なストーリーを、多くのプレイヤーは支持し、『The Last of Us』は名作と呼ばれるまでになったのだ。

・序盤から衝撃的な展開が起こる続編

 第一作の評価を受け、大きな期待を寄せられた続編『The Last of Us Part II』は、人間たちのコミュニティがある、ジャクソンという街から物語がスタートする。そこには、穏やかに暮らすジョエルと、19歳になり成長したエリーが住んでいる。エリーは仲の良い女友達のディーナと、恋人として付き合いだしたばかりだ。

 だが、そのストーリーのなかで、ファンにとって序盤から大変な事態が起こる。前作の主人公ジョエルが、数人のグループに拉致されると、執拗な拷問を受けて殴り殺されてしまうのである。エリーはジョエルを助けようとするが、したたかに打ちのめされた挙げ句、見逃されてかろうじて生き延びることができたのだった。

 ジョエルのあっけない死に、多くのファンはショックを受けることとなった。そして主人公は、ジョエルの復讐を誓うエリーへとバトンタッチする。ジョエルを惨殺したグループの首謀者は、アビーという女だ。彼女への復讐を果たすため、エリーとディーナは、アビーが所属する武装組織WLFの拠点があるシアトルへと旅立った。

 本作は前作同様、感染者や敵対組織を、できるだけステルス状態で倒しながら目的地へと進んでいくというゲームシステム。ただ、暗い屋内で感染者が次々に襲いかかってくるステージはホラーゲーム並みに怖ろしく、筆者のように怖がりのプレイヤーの場合、冷静な対処が難しくなってしまう。ちなみに筆者は一部のステージを涙目で攻略しており、暗闇のなかをただ走り回りながら刃物を振り回すだけという、戦略も何もないプレイでなんとかやり過ごす場面が幾度もあった……。

 このように心が弱くなっている状態で、シアトルの病院に行かなければならないという展開になったとき、直感的に「病院に行くのは絶対に怖いな……いやだな」と思ってると、意外にもそこは感染者がいないステージだったので、「本当に良かった」と、心から安堵したものだった。だが、このように油断させておいて、じつは終盤にまた病院に行かねばならないという、鬼畜のような展開が用意されている。本作の制作者は、そんな心の弱いプレイヤーの心理を全部お見通しだったのである。

・批判の的となった“アビー編”

 本作が物議を醸すのはここからである。エリーを操作してステージを進めていくなかで、彼女は復讐のためとはいえ、あまりにも多くの人々や、そのお供をしている犬たちを、次々に殺害していくことになる。プレイヤーはエリーによる殺しを、画面とコントローラーを通して体験させられるのである。その作業を続けるなかで、「こんな人殺しを続けていくことに、本当に意味があるのか?」という問いがプレイヤーに生まれてくる。そして、命を落としたジョエルは、こんな展開を望んでなかっただろうということが、いくつかの過去の回想によって実感させられるのだ。

 その後、本作はついに問題の展開へと突入する。エリーのストーリーは途中で断ち切られ、ゲームは“アビー編”へと切り替わる。そう、そこからはジョエルを拷問して殺害した、憎き首謀者アビーの視点でプレイしなければならなくなるのである。このアビー編は、なんと全体の半分近くもある。プレイヤーは嫌いなキャラクターを、中盤から終盤まで主人公として操作しなければならないのだ。

 この趣向を、一部のファンは嫌がらせだととらえたり、制作者の判断ミスだとして、怒りを爆発させることになる。だが、もし本作が映画作品であれば、こんなにも怨嗟の声があがることはなかっただろう。この反応は、ゲームと映画の特性や、文化の違いによるところも大きいのだと、とりあえず理解しよう。

 その考えでいくと、大きな要因となるのは総プレイ時間である。クリアするまでのおよそ20数時間のプレイに対し、10時間ほどアビー視点でプレイを続けるということは、映画の鑑賞時間をはるかに超える時間をアビーと過ごさねばならないことを意味する。さらにそれを自分の手で操作しなけらばならないというのは、確かに苦痛を感じさせる部分かもしれない。

 そしてもう一つは、達成感である。ゲームのプレイヤーというのは、試行錯誤して攻略していくことで、報われたいという願望を感じがちだということだ。せっかくプレイしているのだから、自分の行動によって、ゲームの世界で何か良いことが起こって欲しいと願うのが人情である。にもかかわらず、本作はプレイしながら、どんどん不幸な方向へと突っ込んでいくのだ。

・エリーとアビーの終わりなき報復

 だが、ここで指摘したいのは、そのような理解からくる感想というのは、作り手の意図や、ドラマ部分で表現していることの誤解から生まれている場合が多いのではないかということである。

 本シリーズが映画的だといわれるのは、微細なグラフィック表現と演出によって、キャラクターの感情の機微や、哲学的な問いを生み出すような状況を見事に作り出している点にある。その洗練された表現のなかには、無駄な状況説明や解説は見られない。だから、映画のようにシーンをよく見なければ、本作がうったえかけるものを取り落としたまま先に進むことになり、感情移入がしにくくなるのである。とくに今回の続編は、ニール・ドラックマンをはじめとするディレクター陣の演出、美しい舞台を創造した美術スタッフ、そして撮影監督のマット・ナポリタンらの尽力によって、一般的な映画作品をはるかに超えた高度な表現にまで達している。

 アビー編で描かれるのは、エリーにとっての敵側の事情である。そこでは、エリーに殺害される前の人々や犬たちが、いきいきと行動している。アビーたちにも人生があり、一人ひとりが誰かにとって、かけがえのない存在だということが伝わってくる。しかし、エリーのやってしまったことは、いまさら取り返しがつかないのも確かなのだ。プレイヤーは、自分のプレイによって手をかけた人々の在りし日の姿を眺めながら、後味の悪さを覚えることとなるだろう。

 そして、じつはアビーの父親は、第1作のジョエルの殺戮劇によって命を奪われた、ファイアフライの医師だったという事実も突きつけられる。エリーによるジョエルの復讐の前に、じつはアビーによる父親の復讐が存在していたのだ。そしてエリーの報復は、また新たなアビーの復讐を生み出してしまう。この終わりなき報復合戦を暗示するのは、前述した病院の地下に存在した“グラウンド・ゼロ”と呼称される場所である。

 グラウンド・ゼロとは、爆心地などを指す言葉だが、そう名付けられたなかで最も有名な場所といえば、2001年にテロ攻撃によって倒壊した、ニューヨークのワールド・トレード・センターの跡地だろう。アメリカの都市部がこのような攻撃にさらされた当時、多くのアメリカ国民は、ここがテロとの戦いの始まりだととらえたのではないだろうか。しかし、本当にそうだろうか。同時多発テロは、狂信的なイスラム武装組織アルカイーダによるものだといわれているが、組織がそのような行動に出た原因に、アメリカ政府の責任はなかったのだろうか。

 アメリカ軍による報復行動や、軍による侵攻、犯人の捜査における拷問行為は、多大な混乱と大勢の一般市民の被害を出すことになる。そうやって家族を奪われ、尊厳を奪われた者たちは、またアメリカを恨むことになる。この報復合戦は、いつ終わりを迎えるのだろうか。

・本作の最大のネタバレとは

 だが、このような展開を物語に見るときに、注意しなければならないことがある。一見すると本作は、対立する双方それぞれにそれなりの事情があり、どちらも正しいことをしていると描いているように見える。いわゆる、「正義に対立する側もまた、もう一方の正義である」という概念である。しかし本作の物語は、そのようなメッセージを発しているわけではない。そのように解釈したプレイヤーは、ここで制作者の意図を誤読したまま本作をプレイすることになってしまう。

 アビー編で描かれているのは、じつは第1作のジョエルとエリーの関係とそっくりな構図である。アビーはシアトルでの行動のなかで、レブという子どもと出会う。レブを助け、そして逆に助けられることで、アビーとレブは互いの絆を深めていく。アビーはその後、死ぬほどの思いをして、他人のために医療器具を手に入れようとし、そのことで仲間からも追われてしまう。そして、やむを得ず人を殺すことで状況を切り開き、弱い立場の人命を守ろうとする。その葛藤は、ジョエルがかつて経験したものなのだ。

 本作の展開に拒否反応を示すプレイヤーは、エリーは正しい側にあり、アビーは憎むべき対象だと思うかもしれない。たしかに、ジョエルを殺害したときのアビーは、復讐に燃えることで人間の感情を失いつつあった。しかし、アビー編をプレイし続けることで、プレイヤーは彼女が本当は優しい気持ちを持っていることを知ることができるし、彼女が他人の幸せのために献身的な行動をするという、人間としての成長を遂げる姿を目撃することになる。

 翻って、エリーはどうだろうか。彼女は、自分の復讐に幾分かの葛藤を感じつつも、良心の声を無視しながら突き進んでいくキャラクターだ。そして、自分の愛する存在を危険にさらしてまで、復讐を遂げようとするのである。

 プレイヤーがアビーの操作を続けていると、ついにエリーのいる場所へと到達することになる。そして、驚くことにアビーの視点のままでエリーとの1対1のデスマッチへとなだれ込む。最後の敵はエリーなのだ。これが、じつは本作最大のネタバレである。そう、本作が描くのは、人間として成長を遂げたアビーが、復讐鬼と化したエリーを倒すという物語だったのだ。

・地獄のデスマッチが示す人間の極限

 その証拠に、アビーは最も愛する人物を殺害されながらも、レブに諭されることで復讐を断念し、最終的にはエリーを許すという選択をする。一方、デスマッチ中にプレイヤーがしくじれば、即座にエリーのショットガンによってアビーの顔面に大穴が開くことになるのである(本当に悲惨な殺し方だ……)。

 前述したように、ジョエルはエリーに対して、こんな復讐を望んではいないはずだ。抗体を持った人間としての重い十字架を背負うエリーには同情できる点もあるが、彼女が殺人を続けるのは、ただ自分の心を納得させるためでしかないのだ。そして、それはジョエルを殺すまでのアビー自身の姿でもある。プレイヤーが憎んでいたはずのアビーは、いまやエリーの姿となって、そこにいるのだ。

 本作にはさらにエピローグが存在する。アビーによって許されたエリーは住処を移し、ディーナとの幸せな生活を送るようになる。だが、それでもまだアビーへの復讐を忘れることができないエリーは、またしてもアビーを殺害しようと、アビーとレブの足跡を辿っていくことになる。

 もはや本人も、これで心が救われるとは思っていないかもしれない。しかしアビーを追うこと自体が、もはや彼女の生きる意味になってしまっているのだ。そして、ついにエリーは、まだ子どものレブを人質にとってまで、戦意のないアビーにリマッチを強要する。この哀しき復讐鬼、みじめな廃人こそが、第1作で世界の救済と引き換えに得られた命なのである。この状況をジョエルが見ることができたとしたら、やりきれない気分になるに違いない。

 ともに負傷したエリーとアビーの浅瀬での殺し合いは、凄絶なものとなる。エリーは二本の指を噛み切られ、アビーは水に沈められ生死の境を彷徨う。まさに地獄の戦いである。そして、ついにエリーはアビーを殺すチャンスを得ることになる。

・ラストシーンが示すジョエルたちの勝利

 そこで、エリーはジョエルとの、ある会話を思い出し、復讐を断念することになる。なぜ、エリーはここまできて復讐をやめたのか。この場面にフラストレーションを感じたという批判的な声もあるが、前述したように、エリーはすでに正常な判断を失っている状態なのである。そして、ここで復讐を遂げたとしても、彼女の心は救われることがないはずなのだ。それは、ジョエルとの会話シーンで示されている。

 世界を救う役割を果たすことを阻止し、生きる意味を剥奪されたと感じていたエリーは、ジョエルに対し長い間怒りを募らせていたが、そのことを赦したいと思っていると、会話のなかで語っていたのだ。しかし、その翌日にジョエルが殺害されたことで、エリーはジョエルに怒りをぶつけたことを謝る機会も、赦す機会も、永遠に奪われてしまった。そう、エリーの心を救うことができるのは復讐の完成ではなく、ただジョエルを赦し、同時に贖罪することだけだったのだ。

 いま目の前にいるアビーは、もはや憎むべき悪魔ではなく、ただ大事な人間を守るために必死になっているだけの存在である。それは、まさに昔のジョエルそのものではないのか。エリーは、彼女を赦し、解放することで、この旅が始まってから唯一、他人の幸せのために行動する。それは、エリーの心を救うために必要な、ジョエルを赦す行為そのものであるといえよう。しかも、アビーはファイアフライの活動に戻ろうとしていた矢先でもある。彼女を助けるということは、ジョエルがファイアフライに対して行った罪のささやかな償いになり、アビーの父親への贖罪にもなっていたのである。

 その意味で、本作は前作のラストをより正しい結末へと更新したことになるのではないだろうか。エリーは、最後の最後に成長し、善良さを取り戻す。そしてそれは、ジョエルの彼女への深い想いが、ついにエリーの心へと届いた瞬間でもある。この結末は、地獄を通り抜けた先にたどり着いた、エリーの勝利であり、アビーたちの勝利であり、ジョエルの勝利なのである。そのことを感じることができれば、本作をプレイしてきたことに深い達成感が与えられるはずだ。

 そして本作は、エリーの犯してきた罪についても、一定の決着をつける。それが、二本の指の代償と、愛する人たちとの別れである。エリーが弦を押さえられず、満足にギターを弾くことができなくなった場面は悲痛だが、その後、ギターを置いて一人で歩き出す描写には希望がある。エリーは多くの代償を払い、多くの罪を背負いながらも、ついにジョエルに庇護されていた少女の頃の自分と決別し、成長した大人として初めて自分の人生を取り戻したのである。

・一本道だからこそたどり着いた境地

 本作は、少なくとも筆者が知る限り、最も人間や人生を深く描ききったドラマを持つゲーム作品であり、前作と比較しても芸術性が高く、作り手の意志が前面に出た作品といえる。これが問題になるとすれば、ゲームにここまでの作家性が必要なのかという議論だろう。

 実際、本作に寄せられた批判のなかには、キャラクターが非道な行動をすることを止められず、強制的に殺しに加担させられることへの不満も多い。キャラクターの決断をプレイヤーにまかせ、複数の結末を用意するマルチエンディングにすべきだったという意見もある。

 だが筆者としては、本作の素晴らしいドラマと、考え抜かれた美しいエンディングを理解した後に、いまさらマルチエンディングなどを体験したいとは思わない。レベルの高い多くの文学作品や映画の脚本は、ドラマのあらゆる描写を結末と関連づけて描くものであり、読者や観客の気にいるラストを複数用意し、気に入ったものを選ばせるということは基本的にしないものである。そこには、作り手の意志を尊重する文化と歴史があるからだ。

 もちろん、マルチエンディングというシステムそのものが悪だというつもりはない。しかしゲーム作品では、このような意見が出てしまうことからも分かるように、比較的作り手の作家性というものが尊重されてないのは確かであろう。もっといえば、“芸術作品”として扱われていないということだ。

 なぜ、このような話をするのかというと、『The Last of Us Part II』というゲームが、娯楽作品としての魅力を持ちながらも、紛れもなく文学や映画に匹敵する、堂々たる芸術作品だと感じるからだ。しかも、本作はプレイヤーに行動を強制することで、キャラクターの決断を追体験させるという、ゲームならではの強みをも発揮しているのである。

 これまでも映画は、ゲームの急激な成長に脅かされる場面があった。そのなかで本作は、映画という媒体を最も震え上がらせるものだったと感じるのだ。それは、プレイヤーへのサービス精神よりも、一本道のシナリオを極限まで洗練させ、妥協なく作家性を押し出したからこそ到達し得た境地なのではないのか。

 ゲームは、やりようによっては、名作文学や巨匠の映画作品といった古典を超え、人類最大の芸術に到達する可能性のある分野になり得る。予想される批判を覚悟したうえで、そして巨費を投じた制作体制で、このような挑戦的な姿勢を貫き、その可能性を十分に見せた功績は、特筆に値する。今後、ゲームがどのように進化していこうと、本作は革命的な傑作として歴史に残るタイトルになるのではないだろうか。その内容の成功に、そして強い意志に、いまは最大限の賛辞を贈りたい。

 付け加えとなるが、本作でのLGBTについての表現に対し、「ポリコレへの配慮のし過ぎ」だという、程度の低い批判も存在する。作り手たちはその反応を事前に予期しており、劇中でエリーとディーナのキスする様子を見て文句をつけ出す保守的な男性を登場させている。その姿が批判者そのものの姿である、という皮肉に気づくべきだろう。

(小野寺系(k.onodera))

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cat_oa-rp92670_issue_22bfb44c19a1 oa-rp92670_0_5a63244fbb12_テヘランに住む母の秘密が波乱を呼ぶ 永瀬正敏も出演『ホテルニュームーン』予告編&場面写真 5a63244fbb12 5a63244fbb12 テヘランに住む母の秘密が波乱を呼ぶ 永瀬正敏も出演『ホテルニュームーン』予告編&場面写真 oa-rp92670

テヘランに住む母の秘密が波乱を呼ぶ 永瀬正敏も出演『ホテルニュームーン』予告編&場面写真

2020年7月31日 11:00 Real Sound

 9月18日公開の日本・イラン合作映画『ホテルニュームーン』より、予告編と場面写真が公開された。

参考:動画はこちらから

 本作は、『孤独な惑星』『オーバードライブ』の筒井武文監督が、愛する者の抱えた秘密を題材に、現代のテヘランを舞台に作り上げた母と娘の愛の物語。「現在のイランで生きる若者たちの物語をつくりたい」という、イランの風景と人々に一目惚れした筒井監督の熱い思いからスタートした本作は、日本に滞在経験のあるイランの人気脚本家ナグメ・サミニが脚本を担当した。シングルマザーのヌシン役を、イランの女優マーナズ・アフシャルが務め、娘のモナ役には、新人ラレ・マルズバンが抜擢。ヌシンの秘められた過去の扉を開く日本人・田中を永瀬正敏、その妻を小林綾子が演じる。『アウトレイジ』シリーズをはじめ北野武監督映画を数多く手がけてきた柳島克己が撮影監督を務めた。

 テヘランで大学に通うモナは、生まれる前に父を亡くし、教師をしている母ヌシンと二人暮らし。一人娘に厳しい門限を課し、交友関係にも目を光らせる過保護な母に、モナは少々辟易気味だった。そんな中、モナは、ホテルで見知らぬ日本人男性と会うヌシンを目撃したのをきっかけに、自身の出生をめぐる母の話に疑念を抱き始める。男は果たして誰なのか。ヌシンの過去に何があったのか。母と娘の間に生まれた小さな綻びは、徐々に大きな亀裂へと発展する。

映画『ホテルニュームーン』予告編

 公開された予告編は、モナが、ヌシンの抱える秘密を知り始める様子から始まり、永瀬演じる、その秘密のカギを握る日本人・田中の姿や、ヌシンと田中が向き合うシーンなどが描かれている。

 また、場面写真では、身を寄せ合うモナとルシンの様子や、街に佇む田中の姿などが切り取られている。 (文=リアルサウンド編集部)

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cat_oa-rp92670_issue_22bfb44c19a1 oa-rp92670_0_40627708ede9_乃木坂46佐藤楓、「Route 246」衣装の“お腹見せ”に自信?「あの衣装を着てみたい」 40627708ede9 40627708ede9 乃木坂46佐藤楓、「Route 246」衣装の“お腹見せ”に自信?「あの衣装を着てみたい」 oa-rp92670

乃木坂46佐藤楓、「Route 246」衣装の“お腹見せ”に自信?「あの衣装を着てみたい」

2020年7月31日 11:00 Real Sound

 乃木坂46のメンバーが、毎週月曜~金曜に日替わりで出演するライブ配信サービス「SHOWROOM」上の帯番組『のぎおび』。7月30日の配信には佐藤楓が登場し、近況トークを繰り広げた。

【写真】同じく「Route 246」の衣装について「露出が正当化されてる」と歓喜した秋元真夏

 配信冒頭、佐藤は「7月も終わっちゃいますね。早い。もうすぐ8月だって」とつぶやき、「私まだセミの鳴き声を聞いてなくて、あんまり夏を感じてないんですけど、『あれ? 私そういえばセミの声を今年聞いたぞ』って思ったら、『あつ森』だったというね。たまにゲームと現実の狭間がわからなくなります(笑)」と微笑んだ。

 続いて、24日に配信限定シングルとしてリリースされた作詞・秋元康、作曲/編曲・小室哲哉によるグループの新曲「Route 246」の話題に。

 同楽曲の選抜メンバーではない佐藤は、「衣装がかっこ可愛い。スニーカーっていうのも良いですよね」とコメント。さらに最近、体幹を鍛えるトレーニング「プランク」に取り組んでいるとした上で、「プランクしてたら腹筋も鍛えられるのかな? だから、あの衣装を着てみたいですね」と、“お腹見せ”が印象的な新衣装の着用に意欲を覗かせた。

 例年この時期は、「真夏の全国ツアー」で多忙な日々を過ごしている乃木坂メンバー。しかし今夏は、コロナ禍の影響を鑑みてか、同ツアーはもちろんのことライブも現状予定されていない。

 佐藤は「ライブ、やりたいね。無観客でも良いからやりたいよね。身体動かしたい。ライブ会場を走り回りたい」と願望を口にした。

 また、視聴者から「早く握手会に行きたい」というコメントが届くと、「握手会、私もすごいしたい。だって今年に入って1回もしてないんですよ。こんなに約7か月も皆さんに会わなかったことなんてあります? 握手会したい。お話ししたい。お話ししたいことがたまってますよね。半年以上も会ってないですよ」と語りつつ、「でも、最近また大変なことになってきてるからね。みんなもちゃんと気を付けてね」とファンを思いやった。(こじへい)

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cat_oa-rp92670_issue_22bfb44c19a1 oa-rp92670_0_168d787c049d_三浦春馬さん出演ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』9月15日スタート 一部台本変更して撮影 168d787c049d 168d787c049d 三浦春馬さん出演ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』9月15日スタート 一部台本変更して撮影 oa-rp92670

三浦春馬さん出演ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』9月15日スタート 一部台本変更して撮影

2020年7月31日 10:11 Real Sound

 松岡茉優が主演を務めるTBS火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』の初回放送日が9月15日に決定した。

 本作は、昨年7月期のTBS金曜ドラマ『凪のお暇』を手がけた大島里美のオリジナル脚本で描く、正反対の価値観を持つ2⼈のラブコメディ。⾦銭感覚が両極端な、「清貧⼥⼦」と「浪費男⼦」が出会い、おカネ修⾏を通してひと夏の恋物語が繰り広げられていく。主演の松岡が主人公の清貧⼥子・九⻤玲⼦役を演じる。

【写真】慶太を見つめる玲⼦

 お⾦にルーズな浪費男子・猿渡慶太役の三浦春馬さんが7月18日に急死したことから、放送に関して多くの問い合わせがあったという本作。プロデュースの東仲恵吾氏は「皆様から、三浦春馬さんが演じたこのドラマを観たいという非常に多くのご要望をいただきました。それにお応えするべく、キャスト・スタッフ一丸となり作り上げた作品をお楽しみいただけるように、誠心誠意努めて完成させていきます」とコメント。なお、台本は一部書き直して撮影が進められていくという。

 共演には、玲⼦の初恋の相手・早乙女健役で三浦翔平、慶太の後輩・板垣純役で北村匠海が名を連ねている。

■プロデュース・東仲恵吾 コメント

皆様から、三浦春馬さんが演じたこのドラマを観たいという非常に多くのご要望をいただきました。それにお応えするべく、キャスト・スタッフ一丸となり作り上げた作品をお楽しみいただけるように、誠心誠意努めて完成させていきます。また、松岡茉優さんをはじめとした出演者と共にドラマを完結させるべく、 一部台本を書き直して撮影を進めていく予定です。 是非とも、最後まで『カネ恋』をよろしくお願いいたします。

(リアルサウンド編集部)

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cat_oa-rp92670_issue_22bfb44c19a1 oa-rp92670_0_5a4be5401290_大阪の新名所「あべのハルカス」の怪談とは? 文芸評論家が選ぶ、夏のホラー小説3選 5a4be5401290 5a4be5401290 大阪の新名所「あべのハルカス」の怪談とは? 文芸評論家が選ぶ、夏のホラー小説3選 oa-rp92670

大阪の新名所「あべのハルカス」の怪談とは? 文芸評論家が選ぶ、夏のホラー小説3選

2020年7月31日 10:00 Real Sound

 夏である。熱いのである。ということで、読めば涼しくなるホラー小説を三冊紹介したい。いや、実際に涼しくなるものではないが、夏の様式美みたいなものである。

関連:【画像】紹介書籍3冊の書影

■大阪の新名所にもすでに怪談が?

 まずはデビュー作から優れたホラー小説を書き続けている田辺青蛙の、実話怪談集『関西怪談』だ。

 大阪在住の作者が集めた、大阪と京都の怪談五十八篇が収録されている。京都を舞台にした怪談は多いが、大阪はちょっと珍しい。長年にわたり権力の中心であり、さまざまな怨念の降り積もった京都に対し、商都として知られる大阪は、怪談に向かない土地柄だったのだろう。

 だが本書を読んでいると、大阪も怪談を醸成するだけの歴史があることが理解できた。「四天王寺の石」では、四天王寺の“ぽんぽん石”から、不思議な声が聞こえる。「泉の広場」では、梅田の泉の広場に現れる、赤い服の女の幽霊の真相が明らかになる(と思わせて、ラストのオチで微妙な気持ちになるのは作者の腕か)。

 さらに「あべのハルカス」では、二〇一四年に全面開業したあべのハルカスに、早くも生まれた怪談が描かれている。なるほど、どんな土地にも、それぞれの怪談があるものだと感心してしまった。もちろん京都の方も負けてはいない。なかでも、舞鶴の歴史があったからこそ起きた怪異を、優しく見つめた「舞鶴で待つ」がよかった。

 また、語り口の妙が楽しめる「話さんといて」などからは、作者のホラー作家としての技量が窺える。短い話を積み重ねたことで生まれる、大阪と京都の恐怖を堪能した。

■「家」ではもうくつろげない……

 お次は、朝宮運河編のアンソロジー『家が呼ぶ 物件ホラー傑作選』だ。

 そもそも家は、多くの人にとって、心安らぐ場である。学校や会社から家に帰ってきて、ほっとする気持ちは、誰でも覚えがあるだろう。家は、自分のフィールドなのだ。その家が恐怖の場になる。これほど怖ろしいことはない。怪奇幻想ライターとして活躍している編者らしい、優れたテーマのチョイスである。

 しかも選ばれた作品が粒揃い。小松左京の「くだんのはは」や、日影丈吉の「ひこばえ」といった古典的名作から、平山夢明のグロテスク・ホラー「倅解体」や、京極夏彦が恐怖の本質を暴く「鬼棲」など、現代の人気作家の作品まで、読みごたえのある物語が集められている。

 どれも素晴らしいのだが、個人的に気に入ったのが、三津田信三の「ルームシェアの怪」。定員四人のシェアハウスの、新たな住人になった主人公。最初は快適な生活を楽しんでいたが、他の住人のひとりの態度を怪しく思ったことから、どんどん疑問が膨らんでいくのだった。

 主人公が精神的に追い詰められていく過程がサスペンス豊かに表現されている。そしてその後に、意外な真実が明らかになり、一気に恐怖が襲いかかってくるのだ。ホラー小説と並んで、ミステリーも得意とする作者だけに、巧みな伏線が恐怖を際立たせる。シェアハウスという現代的な舞台も、十全に活用されていた。怖くて、面白い作品である。

■ご飯が無料になる条件とは?

 ラストは輪渡颯介の江戸ホラー小説『祟り神 怪談飯屋古狸』である。檜物職人修行中の虎太を主人公にした、シリーズ第二弾だ。

 怪談を聞かせるか、怖い話の舞台になった場所を訪れると、飯代が唯になる飯屋「古狸」。そこの看板娘のお悌に惚れている虎太は、なんだかんだで怪異の現場に行っては、怖ろしい体験をする。というのがシリーズの基本フォーマットだ。なぜ「古狸」がこんなことをしているのか、きちんとした事情があるのだが、本書の内容と直接的な関係はないので省く。ただ、かなり面白い設定だとはいっておこう。

 神田の建具屋に現れ、婚礼間近の娘の首を絞める女の幽霊。かつて凶賊に店の人が皆殺しにされ、空き家になった家で消えた男。御神木を切ってから、なぜか死体がよく見つかる雑木林……。連作スタイルで進む各話は、一応、落着する。だが、どこか尻切れトンボだ。これは何かあるなと思っていたら、終盤ですべての怪異が結びつく。そこで浮かび上がる構図は複雑怪奇で、だからこそ恐怖を感じる。主人公の明るいキャラクターで緩和されているが、恐怖のレベルは高いのだ。

 以上三冊、どれも怖さは折り紙付き。立て続けに読んで、肝を冷やし過ぎないようにしてもらいたい。

(文=細谷正充)

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cat_oa-rp92670_issue_22bfb44c19a1 oa-rp92670_0_f3a9acb8452c_『MIU404』麻生久美子はワケあり4機捜の“頼れる母親”? 物語に厚みを加える稀有な存在感 f3a9acb8452c f3a9acb8452c 『MIU404』麻生久美子はワケあり4機捜の“頼れる母親”? 物語に厚みを加える稀有な存在感 oa-rp92670

『MIU404』麻生久美子はワケあり4機捜の“頼れる母親”? 物語に厚みを加える稀有な存在感

2020年7月31日 10:00 Real Sound

 綾野剛と星野源がW主演を務める金曜ドラマ『MIU404』(TBS系)で、女性初の機捜隊長を演じる、女優・麻生久美子。曲者だらけの第4機動捜査隊のまとめ役として、ときに厳しく、ときに優しく、魅力的な隊長を演じている。そこで今回は、麻生のこれまでの作品を振り返り、『MIU404』での魅力や、徐々に真相が見えてきたストーリーの裏側についても触れてみたい。

参考:詳細はこちらから

 コメディからシリアスまで、様々な役が演じられる麻生。デビュー当初は、巨匠・今村昌平監督の映画『カンゾー先生』(1998年)や、黒沢清監督の『回路』(2001年)など名だたる作品に出演してきた。当時の麻生は、どこか達観したような、アンニュイで冷静な演技が魅力で、ハリウッドやテレビ資本の映画にはない、ミニシアター系の邦画独特の雰囲気と絶妙にマッチしていたように思う。

 映画を中心に活動してきた麻生のターニングポイントなった作品が、2006年の連続ドラマ初主演作の『時効警察』(テレビ朝日系)。交通課の三日月しずか役を演じ、オダギリジョー演じる霧山修一朗との掛け合いや、独特の小ボケ連発の演出、そして何より、霧山に好意を持ち、頑張る乙女の姿がとにかくキュートで、お下げ髪でお転婆なところも、これまでの硬派な麻生にはなかったキャラクターだ。「ふっきれたんですね。自分の限界を決めていたところがあったけど、まだまだできることがあるし、学べることもたくさんあると」(個性あるんですかね? 私 麻生久美子さん|朝日新聞デジタル「Woman’s Talk」2016.01.12)と麻生自身が語るように、今作でコメディエンヌとしての殻を破ったことで、明るいイメージが浸透。ドラマ出演でより知名度を拡大し、「彼女がいることで物語が際立ち、厚みがでる」と思わせる不思議な魅力を持った女優として、現在に至るまであらゆる作品で重宝されている。

 『MIU404』は、警視庁の架空の設定の臨時部隊「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」を舞台に、機動力と運動神経が高いが、刑事の常識に欠ける伊吹藍(綾野剛)と、常に先回り思考で道理を見極める志摩一未(星野源)が、全く性格の違う破天荒な“機捜バディ”を組み、勤務は24時間制という制限のなかで、誰よりも早く、犯人を追っていく。

 麻生演じる桔梗ゆづるは、捜警察署長を経て女性初となる第1機動捜査隊(以下機捜)の隊長で、3部制だった機捜に、ヘルプのために4機捜を立ち上げ、兼任隊長となった。何かがあればしっかりと叱り、事件解決のためならちょっとした無茶でも受け入れる懐の深さ。まるで4機捜というヤンチャな家族の母親のような、頼れる隊長を麻生は演じている。

 さて、ワケありのこの4機捜を立ち上げた本当の理由は何か。桔梗には、元々飲食店経営者の夫を事故で亡くした過去があり、現在はその夫の息子・ゆたかを育てているシングルマザー。そしてゆたかの面倒を見ている謎の女性・羽野麦(黒川智花)は、桔梗に過去に裏カジノの経営者「エトリ」の情報を提供したことが原因で、エトリに追われている。第4話で当時指揮官の隊長だった刑事部長の我孫子(生瀬勝久)との会話で、「(1人の女性の人生より)より多くの人間を救うためだ」と会話していたことから、警察がエトリを逃したことは意図的なものだと想像でき、桔梗は不信感を抱いている。そこから考えられるのは、既存の組織だとエトリ捜査を邪魔されるので、表向きはヘルプだが、色んな意味で反骨精神を秘めたメンバーを集め、エトリを捕らえるために4機捜が立ち上げられたと推測される。

 また、捜査一課時代には志摩と同じ班にいたことがあり、お互い過去を知っている間柄。物語の一番の鍵となっている志摩の“相棒殺し”と呼ばれる過去については、次回第6話で転落死した元相棒・香坂(村上虹郎)の登場も決まっており、なんらかの真相が描かれる予感だ。所轄で腐っていた志摩を呼び戻したのも桔梗であり、未だ謎の部分が多い夫の死や息子についても、そこに何か関係してくるのかも知れない。また、第3話に登場した謎のドラッグ売人(菅田将暉)が、エトリ、もしくは志摩の元相棒の死に関係してくるのであれば、点と点が線で繋がり、物語がさらに面白くなりそうだが、果たしてどうなるのか。今後の展開に注目したい。 (文=本 手)

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cat_oa-rp92670_issue_22bfb44c19a1 oa-rp92670_0_a950d60d703c_小柄な少女がカポエイラで半グレ集団と全面抗争! 格闘漫画『バトゥーキ』の新しさ a950d60d703c a950d60d703c 小柄な少女がカポエイラで半グレ集団と全面抗争! 格闘漫画『バトゥーキ』の新しさ oa-rp92670

小柄な少女がカポエイラで半グレ集団と全面抗争! 格闘漫画『バトゥーキ』の新しさ

2020年7月31日 09:00 Real Sound

 『空手バカ一代』の昔から、『グラップラー刃牙』を経て現在まで、数々の格闘漫画が描かれては、最強は誰か、最強の格闘技は何かといった争いが繰り広げられてきた。

 その戦列に新たに加わり、高校生の少女が使うカポエイラという格闘技のすごさを見せている漫画が、『嘘喰い』の迫稔雄がウェブサイト「となりのヤングジャンプ」やマンガアプリ「ヤンジャン!」で連載している『バトゥーキ』だ。7月17日に最新刊『バトゥーキ8』(集英社刊)が出て、少女の戦いを更に広げる展開に突入した。

関連:【画像】『バトゥーキ』最新8巻書影

 カポエイラ。南米のブラジルで生まれたこの格闘技について、日本では知られているようでまだまだ深く理解されているとは言い難い。逆立ちをしたまま足だけで戦う武術といった印象は最たるものだが、そもそも格闘技と呼んで良いものなのかすら、『バトゥーキ』を読んでいると揺らいできて、カポエイラに関するイメージが激変する。

 女の子の赤ん坊が3日間、家の中に置き去りにされる不思議な経験を経て生き延び、戻ってきた父母によって育てられる。三條一里という名のその少女が中学生になった時、広島で仲が良かった佐伯栄子と再会。2人で公園に立ち寄ったところで、一里は子どもたちから小銭を集めるドレッドヘアをしたホームレスの男を見かける。

 後刻、コンビニに立ち寄った一里は、ナイフを振り回す強盗に遭遇。そこに現れた公園のホームレスが、踊り始めかがみこんで強盗に尻を向け、上に足伸ばして強盗の首を刈り、あっさりと倒してしまう場面を見てしまう。初めて見たそれがカポエイラとも格闘技とも知らなかった一里は、公園に集まる他の子どもたちと一緒に、小銭を払って男が「バトゥーキ」と呼んだダンスのような動きや技を教わるようになる。

 運命とも言える出会い。実は一里の出生とも大きく関わっていたカポエイラに触れ、眠っていた血が目覚めたかのごとく、一里はメストレと呼ばれる男からカポエイラを習得していく。だが、過去からの因縁が一里の一家に襲いかかる。メストレが去り、高校生になった一里は、ブラジルを仕切るマフィアが相手の中で勝ち残れるよう、B・Jなる謎の人物から最強になるための鍛錬を課せられる。

 以上が『バトゥーキ』のイントロダクション。以後の内容は、一里が空手の学生王者や合気道の達人、パワフルな女性柔道家にテコンドーの使い手といった格闘技の猛者たちを相手に戦いを繰り広げ、カポエイラの技で勝利していくといったもとなる。『グラップラー刃牙』の範馬刃牙が、最大トーナメントや大擂台賽などでプロレスや中国拳法、ボクシングの使い手たちを倒し、勝ち上がっていく姿を見るような興奮を味わえるだろう。

 だからといって、『バトゥーキ』がカポエイラ最強伝説をアピールするための漫画かというと違っている。確かに戦う場面で一里は、カポエイラの様々な技を駆使してみせる。ゆらぐように相手に迫るジンガ、コンビニ強盗相手にホームレスのような男が見せたハボジアハイア、回し蹴りのようなアルマーダなどなど、技名を聞くだけでも格好いいのに、それを小柄な少女が全身を使って繰り出し、ボクサーも中国拳法を使う殺し屋も倒していく姿に惚れ惚れする。食らってみたいとすら思わせる。

 もっとも、『バトゥーキ』ではそんなカポエイラが持つ誕生からの歴史、音楽やダンス、と一体化した文化としての姿にもしっかりと触れていて、格闘技の範疇に留まらず、ブラジルの風土に深く根ざしたものであることを教えてくれる。

 一里の高校にいた女性教師の広田流亜が実はカポエイラの使い手で、町の不良たちを相手に蹴りを放つ一里を見てカポエイラをやっていると気づき、自分のチームに誘い消えたメストレに変わって指導する。

 カポエイラの歴史。ヘジォナウやアンゴラといった流派があり、一里が習ったのはアンゴラで教えてくれたメストレが実は流派の大物だったこと。勉強になる。メストレ・ビンバというヘジョナウ創始者の「ビンバ」が持つ意味を語る流亜の仕草と表情が実に愉快だが、なぜかは第3巻を呼んでのお楽しみ。

 流亜はホーダという円陣を組み、楽器を鳴らし歌う中で2人がジョーゴと呼ばれる組み手を見せる場へと一里たちを連れ出して、カポエイラが持つコミュニティとしての大切さを伝える。

 そういえば以前、『ポストペット』を開発したメディアアーティストの八谷和彦氏から、カポエイラを習い始めたことを聞かされた。『風の谷のナウシカ』でナウシカが乗るメーヴェを再現した一人乗りの飛行機を作るにあたり、操縦者としてボディバランスや体の柔軟性を高めるために役立つからと始めたという。フィットネスにもなるというと、自分でも試してみたくなる。

『バトゥーキ』8巻

 もっとも、『バトゥーキ』の漫画の方は、格闘技としての戦いぶりがどんどんと苛烈さを極めていく。B・Jから新たに戦うよう指名された半グレ集団が仕切る地下トーナメントで一里が勝ち抜いてしまい、目を付けられて全面抗争に突入する。そこで一里の味方となったのが、一緒にメストレからカポエイラを習った双刃淳悟や、教師の流亜、さらに戦いを挑まされた空手家や柔道家やテコンドー使いたち。戦いの中で芽生えた交流が、仲間を増やして来たる本場ブラジルのカポエイラ使いたちとの戦いに、大きく関わって来る未来が予感される展開だ。

 そう考えると、第8巻で始まった半グレ集団との全面抗争もまだ通過点なのかもしれない。戦いを経て得た新たな仲間たちを引き連れ、次なる強敵との戦いに挑んでいくような展開が期待できる。その中心で圧倒的なカポエイラの技を、美しさとともに見せてくれる一里の活躍が今から待ち遠しい。最高潮の感動を味わうために、今から読み始めて備えておこう。

(文=タニグチリウイチ)

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井頭愛海主演映画『鬼ガール!!』予告編公開 板垣瑞生、上村海成、桜田ひよりら追加キャストも

2020年7月31日 08:00 Real Sound

 2020年10月9日に大阪先行公開、10月16日に全国公開が決定した井頭愛海初主演映画『鬼ガール!!』の新キャストが発表され、予告編が公開された。

 大阪の河内長野市にある奥河内地域の魅力を発信すべく、地方自治体や地元の観光協会などが全面協力のもと制作された本作。今も鬼伝説が残る大阪の秘境・奥河内を舞台に、主人公・鬼瓦ももかが、自身が鬼族の血をひく“鬼”であることにコンプレックスを持ちながらも、憧れの高校生活に奮闘し、仲間たちと“映画作り”にかける日々を描く。

 原作・脚本監修を、映画『トリガール!』の原作者でメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』でストーリー原案・作詞を手がける中村航が担当し、映画『恋のしずく』でプロデューサーを務めた瀧川元気が初メガホンを取る。

 今回、すでに発表されていた主演の井頭に加え、板垣瑞生、上村海成、桜田ひより、吉田美月喜、曽野舜太、深尾あむ、末次寿樹、テイ龍進、六平直政、山口智充の出演が発表された。

 井頭演じる主人公・ももかを「怪力女」と呼ぶにっくき幼なじみで、有名映画監督の父に憧れる蒼月蓮役を板垣、ももかを映画祭作品のヒロインにスカウトする先輩・神宮寺岬役を上村、ももかをライバル視する校内No.1の美女・松丸星愛姫役を桜田、ももかの親友・宇佐美雪役を吉田、映画作りに参加する映画オタク部員・反町冬季也役をM!LKの曽野が演じる。そして、ももかの父親・鬼瓦大鉄役を山口、妹・鬼瓦りりか役を深尾、幼いももかの弟・鬼瓦たいが役を末次が担う。吉本新喜劇や関西のバラエティ番組などで活躍する宇都宮まき、末成映薫も特別出演を果たす。

【動画】映画『鬼ガール!!』予告編

 公開された予告編では、本作の挿入歌「TRAIN-TRAIN」をバックに、ももかが恋に友情に映画作りと、憧れの高校生活に奮闘する姿が映し出されている。本作には、元THE BLUE HEARTSのドラマー梶原徹也が、地元出身という縁から音楽プロデューサーとして参加。劇中では、ももかの妹・りりかがボーカルとして率いるガールズバンド鬼ロックが「TRAIN-TRAIN」をカバーし、エキストラとして参加した地元の人々とともに撮影されたライブシーンが収められている。

 あわせて公開された本ポスターは、個性豊かなキャラクターたちが、賑やかに井頭を取り囲むポップなデザインに仕上がり、場面写真では、恋に友情、夢や目標、映画作りなど鬼盛りな青春を謳歌する登場人物たちの姿が切り取られている。

■コメント

・井頭愛海(鬼瓦ももか役)

初めての主演映画で不安や緊張もありましたが、私の地元でもある場所で、この作品に携われた事、とても嬉しかったです。私が演じた、鬼瓦ももかは鬼と人間の間に生まれた女子高生という役柄なので、どんな感じに仕上がるのかワクワクしながら撮影していました。周りの目を気にして、自分に自信が持てず悩む毎日から自分を変えたい! と一生懸命に真っ直ぐ生きる、パワフルなももかを私も毎日もがきながら精一杯演じました。個性豊かな登場人物が沢山出てくるところも注目して頂きたいです! 1歩踏み出す勇気が沢山の方に届きますように! 是非、劇場でご覧下さい。

・板垣瑞生(蒼月蓮役)

青月蓮役を演じました板垣瑞生です。今回『鬼ガール!!』大阪の河内長野で撮影させていただきました。人も素敵で景色も良くて、自然もあって。是非また行きたいです。鬼ガールを通して、そんな温かい一つ一つを皆さんに見ていただきたいです。たくさん笑って、恋も青春も詰まったこの映画を見てもらえると嬉しいです。

・上村海成(神宮寺岬役)

鬼ガールはこんな青春って最高じゃん!!と思っていただけるような楽しさと、誰しもが抱えているような悩みに寄り添って勇気を与えてくれる作品だと思います。今回演じた神宮寺岬という人間はとんでもない人です、楽しみながら演じさせていただきました。皆様にも楽しんでいただけると嬉しいです!

・桜田ひより(松丸星愛姫役)

私が演じた星愛姫は名前に負けず、オシャレやメイクが大好きなキラキラJKです。

台本を読んで自分とはかけ離れたキャラクターだったので、「これは思いっきり弾けるしかない!」とテンションを上げて楽しみながら演じました。皆さま、公開をお楽しみにしていてください!

・吉田美月喜(宇佐美雪役)

宇佐美雪役の吉田美月喜です。私が演じる雪は、主人公ももかの親友で、ももかにとって雪は、何があっても真剣に悩みを聞いてくれて、励ましてくれる心強い味方でありたいと思って演じていました。また元ブルーハーツの梶原さん、鼓童の陽介さんの元、初めて和太鼓に挑戦しました。練習を重ね、劇中でも和太鼓のシーンはとても迫力のあるシーンになっていると思います。キャラクター全員が全力で青春を楽しんでいて、とてもエネルギー溢れる映画です。自分の夢ややりたい事を思い切り楽しむ青春のパワーを感じられる映画となっていると思いますので、今だからこそ、この映画を見て、前向きに、少しでも笑っていただけたら嬉しいです。

・曽野舜太(反町冬季也役)

曽野舜太です! 『鬼ガール!!』この映画が解禁される日をずっと心待ちにしていました! 僕の映画デビュー作で、とても思い入れが強く、大切な作品となりました。僕が演じたのは、オーディションで頂いたカメラオタク役の反町くん。奥河内でキャストのみなさんや瀧川監督、スタッフの方々と過ごした思い出は、今でも鮮明です。是非劇場でチェックしていただけると嬉しいです!

・山口智充(鬼瓦大鉄役)

鬼だからこそ生まれる感動と、鬼だからこそ育まれる家族の愛が、しっかりと体にしみわたる作品だと思います。河内長野市に本当に伝えられている鬼伝説と、鬼にゆかりのある場所でのロケにもしびれました! 地元の皆さまの絶大なるご協力にも感謝感激です!! これから節分の豆まきの「鬼は~そと!」は、ちっさい声で言います。

(リアルサウンド編集部)

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cat_oa-rp92670_issue_22bfb44c19a1 oa-rp92670_0_7537f5733b02_美 少年の6人が集合! 主演ドラマ『真夏の少年~19452020』放送前に秘蔵ショット公開 7537f5733b02 7537f5733b02 美 少年の6人が集合! 主演ドラマ『真夏の少年~19452020』放送前に秘蔵ショット公開 oa-rp92670

美 少年の6人が集合! 主演ドラマ『真夏の少年~19452020』放送前に秘蔵ショット公開

2020年7月31日 08:00 Real Sound

 7月31日よりテレビ朝日系で放送がスタートするドラマ『真夏の少年~19452020』。放送開始に先がけ、主演を務めた美 少年6人が勢揃いしたショットが公開された。

参考:ジャニーズJr. 美 少年、主演ドラマ『真夏の少年』をヒット祈願! 盆踊りのパフォーマンスも披露

 本作は、関東にある某地方都市のベッドタウンを舞台に、個性豊かな高校生たちが現代にタイムスリップしてきた“軍人”と織りなすひと夏の成長物語。美 少年のメンバーたちはこれまで、それぞれ単独での連ドラ出演を経験してきたが、美 少年としてグループで連ドラに出演するのは本作が初めてとなる。

 本作で記念すべき連ドラ初主演に挑む美 少年。ヤンキー、優等生の生徒会長、町の有力者を母に持つリッチな双子など、岩崎大昇、佐藤龍我、那須雄登、浮所飛貴、藤井直樹、金指一世の6人が、それぞれ個性溢れるキャラクターに扮する。公開された写真では、それぞれの個性の一端が切り取られている。

 とある街の高校に通う、風間竜二(岩﨑大昇)、瀬名悟(佐藤龍我)、春日篤(浮所飛

貴)。格好はヤンキーでも中身がダサい3人は、クラス(2年B組)で密かに「見掛け倒

しトリオ」と呼ばれていた。いつものように3人でつるんでいたある日、悟は教室から“誰かがビルの屋上から飛び降りる瞬間”を目撃する。慌てて2人を連れ、現場に行ってみるものの誰かが落ちた気配はない。諦めて教室に戻ろうとする悟だったが、植え込みに白手袋を見つけ、それをそっとポケットに入れて持ち帰る。

 その頃学校は、2年B組の生徒・財前康隆(林蓮音)が飛び降り自殺を図ったことで大騒ぎになっていた。しかもその原因が悟のカツアゲによるものだとされ、無期停学の処分が下されてしまう。竜二と篤は「悟はいつ戻ってくるんすか」と担任の東村秀太郎(神保悟志)に詰め寄ってみるものの、期待するような答えはもらえない。さらには学校に乗り込んできた、クラスメートで生徒会長の柴山道史(那須雄登)の母親・奈津子(水野美紀)に、「ウチの息子を同じ目に遭わせたらただじゃおかない」と凄まれてしまう。「悟は誰かに罪をなすりつけられているんじゃないか」と考えた竜二と篤は真犯人探しをしようと、悟を呼び出し、秘密基地に集合する。

 するとそのとき、突然の大きな揺れと激しい雷鳴が。それと同時に大爆発したかのような雷が落ち、3人は激しく壁に叩きつけられる。次の瞬間、彼らの目に飛び込んできたのはリュックを背負い、薄汚れた軍服を着て銃剣を構えた男だった。逃げようとするも、男に拘束されてしまう竜二たち。「日本人か?」「どこの部隊だ」と一向に噛み合わない問答を続けるうち、三平三平(博多華丸)と名乗るその男が、終戦間際の大宮島(現在のグアム島)から“タイムスリップ”してきたということがわかる。

 三平に令和2年の街並みを見せてあげようと街に繰り出した3人は、これまでに感じたことのなかった楽しさや充実感を覚える。「この人と一緒にいたら、何かが変わるんじゃないか」と考えた竜二、悟、篤は、三平にひと夏をともに過ごしてくれるよう懇願。こうして、クラスメートで町長候補の山田ゲルハルト節子(長谷川京子)の息子でもある双子、山田明彦(藤井直樹)・和彦(金指一世)も加え、高校生たちの熱い夏が幕を開けた。

※岩崎大昇の崎は「たつさき」が正式表記

(リアルサウンド編集部)

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cat_oa-rp92670_issue_22bfb44c19a1 oa-rp92670_0_085ae3a668a4_村上虹郎、『MIU404』第6話ゲスト出演でキーマンに!? 暴かれる“志摩の闇” 085ae3a668a4 085ae3a668a4 村上虹郎、『MIU404』第6話ゲスト出演でキーマンに!? 暴かれる“志摩の闇” oa-rp92670

村上虹郎、『MIU404』第6話ゲスト出演でキーマンに!? 暴かれる“志摩の闇”

2020年7月31日 08:00 Real Sound

 綾野剛と星野源が「機動捜査隊」でバディを組み、事件解決を目指す模様を描く『MIU404』(TBS系)。1話完結の物語では毎話登場するゲスト俳優たちの演技が話題になり、一方で縦軸で進む物語の謎も深まってきた。そして、7月31日放送の第6話には、志摩(星野源)の元相棒・香坂役で村上虹郎が出演する。

 当時、捜査一課に来たばかりの香坂は、志摩と一緒にタリウムを使った連続毒殺事件の捜査中に、古いビルの下で遺体として発見された。彼の死を調べていく中で、香坂とたびたび衝突していた志摩が疑われ、それが志摩が“相棒殺し”と呼ばれるようになった所以だ。 伊吹(綾野剛)は志摩のことをよく知ろうと、その真相を探る。

【写真】捜査一課時代の星野源と村上虹郎

 志摩の過去が明かされる第6話で、香坂はいわばキーマン。この役を村上が演じることについて、ライターの折田侑駿氏は“大抜擢”と分析する。

「犯罪者がなぜその事件を起こしてしまったのか、一見すると暗く描かれがちなテーマを、これまで幾度となく、最後には希望が見える形で描いてきた本作に、陰から陽、静から動まで幅広く演じられる村上さんが出演するというのは、もともと映画がメインで、ドラマにはあまり顔を見せないという面でも大抜擢なのではないでしょうか。志摩と伊吹といえば、この作品の顔であり、本作を形成する“性格”そのものです。香坂が、志摩の過去に関係する人物ということは、つまり今の志摩を形作る存在ということでもある。村上さんは第6話の主役的なポジションを担う瞬間があると思います。これまでのゲスト俳優を見ていても、綾野さんと星野さんとの強力なタッグに霞まない、それなりに拮抗できる人ではないと務まらない役だろうなと思うので、本作に影響を与える力を持つ人物として、村上さんは良い役を担ってくれるはずです」

 ドラマ以外にも、舞台や映画で村上の演技を目の当たりにしてきた折田氏は、村上の魅力を次のように語る。

「レギュラー出演したドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)で演じた水原哲を見たときに、安心して作品を信頼させてくれる人だなと感じました。戦時中の若者の苦悩を体現した姿、時代に翻弄されてしまう若者がそれでも必死に笑顔でいようとする姿がすごく象徴的でした。映画『銃』では、ベテランキャストたちもいる中で、作品の顔になって先頭に立てる人だなと感じましたし、『楽園』や『チワワちゃん』では、等身大の若者の姿だったり、同世代の俳優たちが揃った中でうまく溶け込める存在であることを証明してくれたり、独特な雰囲気を持ちながらも器用な役者さんだと思います」

 また、村上の演技の魅力を裏付けるのは、舞台での経験も大いにあるのではと続ける。

「村上さんは舞台でも力をつけてきている。演劇だと稽古で同じセリフを何百回も口にするでしょうし、同じシーンを何回も演じたりします。観ているシーンごとに主役が違うんです。ドラマでも、そのとき画面に映って話している人が、そのシーンの主役。役者さんは、そのとき一瞬の主役となるキャラクターの人生においての脇役という立ち位置が演じられることが大切だと思います。演劇は、映像よりもその作業を繰り返しやって、体に自然と染み込ませる場でもあると思うので、そこで培ってきたものも大きい気がします」

 村上は出演決定時のコメントで「6話の一番のみどころは、なぜ志摩は現在のようになってしまったのかというところです。香坂はその原因でもあるし、志摩の闇でもある」と語っている。第1話から言われ続けてきた志摩の“相棒殺し”過去が、村上によっていよいよ明かされる。

(大和田茉椰)

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