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現場レポート


VOL.12 第5話の放送が終了しました!!

石丸プロデューサーのブログでも触れられていた通り、先日、緒方洪庵役の武田鉄矢さんが早くもクランクアップを迎えられました。撮影最終日には、貴重なお話も聞かせていただくことができたので、今後どこかでご紹介させていただきたいと思います。
さて、梅毒(そう毒)との戦いが描かれた第5話でしたが、今週も楽しんでいただけましたでしょうか?重い病で臥せっているという役どころながらも、中谷美紀さん演じる野風との絆を力強く演じられた高岡早紀さんの存在が光っていましたよね。
番組へのご感想や出演者・スタッフへの応援メッセージは、当サイトの『ファンメッセージ』までお寄せください。石丸Pも忙しい中、時間を見つけてはコメントに目を通していますよ(笑)。では、第5話の撮影中のお話です。

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『着こなしひとつで・・・』
梅毒のお調べを申し出るも、仁が女郎たちから毛嫌いされるというあのシーン。
「嫌でありんす!」「いやらしいお医者様ですわいな」「ただであちきらの下を覗き込むつもりでござんしょう!」などと散々な言われ様で、ちょっと笑ってしまいましたよね。あの撮影には、20名ほどの遊女役エキストラがスタンバイ。カメラの前でお芝居を繰り返していたのですが・・・どうやら監督は、なにか違和感を感じているようす。その理由は、彼女たちの着物の着こなしにありました。
ここの優秀な衣装スタッフは、役者さんが動きやすいように、そして着崩れしにくいようにと心がけてひとりひとり丁寧に着付けをしているのですが…遊女役の彼女たちが着物をきちんと着こなしていることが、逆に平川監督の目には不自然に映ったようなんです。

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気の強い遊女たちを前に、仁先生もオドオド・・・

「もっと“遊女っぽさ”を出したいので、少し工夫をしてもらえませんか?」という監督の声で、衣装スタッフと時代考証・山田先生は、綺麗に着せたエキストラたちの着物の首周りを広げて肌を露出させてみたり、袖を引っ張って着物をわざとアシンメトリー(左右非対称)に崩してみたり・・・。こうするだけで、彼女たちからはなんだか気だる~い雰囲気が漂ってくるから不思議なものです(笑)。同じ着物を着ていても、その着こなしひとつで、清潔にもだらしなくも見えてしまうものなんですね~。また来年の夏には浴衣を着る方もたくさんいらっしゃると思いますが、清潔感を感じさせるポイントは、どうやら衿元にあるようですよ!
ちなみに当時の女性たちは、髪の毛を10日にいっぺんほどしか洗わなかったそうです。実際にあれだけの人数が集まったら、かなりのにおいが鼻をついたかもしれませんね・・・。

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煌びやかな着物をそれぞれ身にまとって

『ペニシリンの精製過程について』
さて、第五話最大のみどころといえば、仁が青カビから天然ペニシリンを精製するという場面でしたよね。本編でも紹介されていましたが、ペニシリンというのはイギリスの細菌学者・フレミングによって1928年に治療薬として存在を確認された、史上初の抗生物質なのだそうです。仁がペニシリンの抽出作業にいそしむシーンの撮影は、260年以上もの歴史を誇る(260年以上前というと、江戸時代の中期にあたります)とある蔵元さんをお借りして行ったのですが、その入り口にはいろんな銘柄のお酒がズラーリ。酒好きで知られる武田鉄矢さんはもちろん・・・興味深く覗いていらっしゃいましたよ(笑)。

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そして、この日の割本(わりぼんと読みます。その日に撮るシーンの部分だけ台本から抜き取ってコピーした小冊子のことです)の中をめくってみると、そこには2ページにわたりってペニシリンの精製についてびっしりと書かれた、スタッフの手書きメモが。なかなか睡眠もままならない状態の現場スタッフたちですが、こういった入りくんだシーンの撮影前には監修の先生方に教えを乞い、事前の入念な打ち合わせを欠かしません。撮影日当日はみなテキパキと動いていましたから、今回も撮影の前にペニシリン精製の過程について、相当勉強していたようです。
では、ここからは、本編でご紹介した「天然ペニシリンの抽出過程」について、簡単にではありますがおさらいをしてみたいと思います。

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図解つきで、大変分かりやすく説明がしてあります

<ステップ1>
青カビの培養作業をする。
芋の煮汁と米のとぎ汁を合わせた液体を容器に入れ、液体培地を作る。
その上に、集めた青カビ(カビは27℃で一番発生しやすいそう)を移植する。

<ステップ2>
ペニシリンの抽出作業を行う。
蓋つきの陶器の樽の上に綿をつめたじょうごを置き、その上から青カビの培養液を流し入れ、培養液をろ過する。

ろ過した液体の中に、菜種油を注ぎ、樽の中を棒でかき混ぜる。
この作業によって、樽の中の液体が「油に溶ける脂溶性物質」「水にも油にも溶けない不溶性物質」「水に溶ける水溶性物質」の3種類に分離する。

樽の栓を抜き、一番下に溜まった水の部分(水溶性物質)だけを別の容器に移す。
ペニシリンは水溶性物質のため、この部分に溶けているということになる。

ペニシリン溶液からさらに不純物を取り除く。
煮沸消毒して砕いた炭を入れた甕(かめ)にペニシリン溶液を流し込み、再びかき混ぜる。「ペニシリンは炭に吸着する」性質があるため、炭のみを取り出し、容器(※注ぎ口と排出口のついたもの)に詰めかえる。

煮沸蒸留したきれいな水を注ぎ口から流し込み、不純物を洗い流す。
さらに純度を上げるため、今度は酸性水(お酢と蒸留水を混ぜたもの)を注ぐ。ペニシリンは酸性物質のため、酸性水で洗うことによって、炭に吸着しているアルカリ性の不純物質を取り除くことができる。

最後に、容器の排出口に綿をつめた(フィルターの働きをする)器具を取り付け、受け皿となる容器を用意。注ぎ口から重曹を溶かした蒸留水(※アルカリ性)を通す。これによってペニシリンは炭から溶け出し、排出口からは純度の高いペニシリン溶液が抽出される。

<ステップ3>
ペニシリン抽出液の薬効を調べる。
半合ずつに分けたペニシリン抽出液を、患者の膿から採取したブドウ球菌をなすりつけた寒天培地に少しずつたらす。蓋をして数日待つ。

劇中でご紹介したのは、以上の工程となります。ご参考まで。
※危険なマネは、くれぐれもなさらぬようご注意ください。

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平川監督からの指示を仰ぐ、大沢さんら

このペニシリンの精製シーンに加わっていた、大沢さんをはじめとする役者さんたちの様子はといえば、理科の授業に参加する小学生のように、それぞれの液体のにおいを嗅いでみたりと興味津々(笑)!台本のセリフをみんなで辿りながら、「そうか~、そういうことなのかぁ」「酸性水って透明なんだね」などと、楽しそうに撮影に臨んでいらっしゃったんですよ。大沢さんは専門用語だらけのセリフばかりで大変そうでしたが、大勢の生徒を前に堂々としたお芝居でみなを引っ張っていく姿が印象的でした。

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大沢さんにちょっかいを出されて嬉しそうな桐谷さん(笑)

『○○禁止令!』
今回もそうですが、このドラマではたびたび『造り酒屋』をお借りして撮影を行っています。そのたびに現場のスタッフたちが「食べてはいけない」と禁止される食べ物があるのですが・・・その食べ物とは一体、何だかおわかりになるでしょうか?
実は、その食べ物とは『納豆(なっとう)』なんです。先日の割本の裏表紙にもほら、こんな注意書き(下記の写真を参照)が!「11月7日にロケする「醤油倉の中」は造り酒屋です。本日からロケ終了まで(約3日間)、納豆を食べないようお願い致します」・・・。
“健康のために毎日食べている”という方も多いかと思いますが、納豆とは大豆を納豆菌によって発酵させた食品。熱に強い性質を持つ納豆菌は、酒造りにおいては天敵となるそうで、酒造り職人たちの間でも“日本酒の仕込み期間中に納豆を食べてはいけない”という暗黙の了解があるのだそうですよ。私も納豆が大好きで、基本的に毎日食べているのでこの期間はとっても辛いのですが・・・これも良い作品をつくるため!我慢しなくてはですね(笑)。

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さて、来週の放送では、今回の『キャラクター劇場』でも取り上げた佐分利の行動の謎や、医学館との派閥争いなどが描かれます。第6話も、ぜひ楽しみにしていてくださいね!

P.S
『お江戸マメ知識』のコーナーにご質問をお寄せくださる方へお願いです。
これまでの回で解決していることを重複してご質問なさる方が目につきます。ご投稿の際は、過去のバックナンバーもよく読まれた上でご投稿ください。ご理解のほどよろしくお願い致します。

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第6話撮影中の武田さんと山室監督です!