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手つかずの被災家屋、足りない支援に“絶望死”続出の恐れも…コロナ禍が被災地支援の壁に

川口穣AERA#ゲリラ豪雨
JR肥薩線の渡駅ではバケツリレーで泥出しをしていた。担ったのは、県内から駆けつけたボランティアだった/7月18日、熊本県球磨村 (c)朝日新聞社

JR肥薩線の渡駅ではバケツリレーで泥出しをしていた。担ったのは、県内から駆けつけたボランティアだった/7月18日、熊本県球磨村 (c)朝日新聞社

人吉市東間コミュニティセンターでは、ボランティアに訪れた人たちが受付時にマスクを着用して検温した/7月10日、熊本県人吉市 (c)朝日新聞社

人吉市東間コミュニティセンターでは、ボランティアに訪れた人たちが受付時にマスクを着用して検温した/7月10日、熊本県人吉市 (c)朝日新聞社

 被災家屋が片付かなければ避難生活が長引き、健康被害が起こるかもしれない。まだ住めるはずの家も泥をかぶった状態が続けば、カビが生え、基礎が傷んで再生できなくなる。復興が進まないことで精神的なストレスも強まっていく。メイクハッピーの谷口さんもこう懸念する。

「生活再建が遅れるだけではありません。目の前のがれきが片付かず、全国からの応援もなかなか実感できないいまの現状が続けば、“絶望死”する人が続出する恐れがあります」

 感染予防か、被災者支援か。二項対立の命題にも見えるが、そのバランスをとることがいま、強く求められている。PBVの小林さんは、社会的な合意形成を急ぐ必要があると指摘する。

「個人ボランティアはダメでもここまでの感染対策をしている団体は入れるとか、人との接触が比較的少ない重機オペレーターや家屋の消毒作業をする人は来てもらうとか、できる限り早く落としどころを見つける必要があります。現状が続き、社会的な合意形成が遅れれば遅れるほど、被災地へのダメージは計り知れないほど大きくなります」

 同時に、今回の事例を今後の災害対応に役立てる必要もあるだろう。新型コロナの流行が続けば、全国で広く支援を呼びかけられない状況が起こる。JVOADの明城さんはこう話す。

「地域の災害対応力をいかに高めるかが問われています。各地で行政やNPO、ボランティアの受け入れを担う社会福祉協議会の3者のコミュニケーションは進んでいますが、より具体的な施策ごとの連携の仕組みを考えておくことが必要です」

(編集部・川口穣)

AERA 2020年8月3日号より抜粋


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