メーカーは巨額の費用損失? コロナワクチン開発の高い壁
ワクチンの実用化に向け専門家が懸念するのが「抗体依存性感染増強(ADE)」だ。海外の医薬品に詳しい医療経済評論家の室井一辰氏が言う。
「ワクチンの接種で体を守るはずの抗体が免疫細胞などへウイルスの感染を促し、感染した免疫細胞を暴走させて感染症を悪化させるんです」
さらにワクチン開発の難しい理由をこう述べる。
「コロナウイルスは最初の武漢型から欧州型へと感染を広げながら変異を繰り返しています。そのためインフルエンザ同様に、一度かかり抗体ができても、他の型にあたれば再びコロナに感染する危険があるんです」
ワクチンの優先提供を受けるため各国が巨額を投じているが、実用化のハードルはまだ高い。
(ジャーナリスト・木野活明)