こじこじのお作法
むかしむかし、中国のある国では馬の価値は計り知れないものでした。名馬は千金に値するといわれたのです。そこで、君主が部下に対して千金を与え名馬を集めてこいと命令しました。しかし部下は千金を使って、なんと名馬の死体を買ってきたのです。君主は怒りますが部下は冷静になっていいます。「死馬ですら千金を出して買うのです。では生きている馬ならなおのことお金を出すだろうと思い名馬が集まるはずです」。果たしてその通りになりました。全国から名馬が何頭も集まってきたのです。
というようなことを隗さんがいって、自分凡人なんで、凡人の私すら評価されまくるのだったら、きっともっとオモシロイ人が集まるはずです。どうかわたくしめを評価してくだされと全力PRしたのだそうです。有名な『隗より始めよ』という言葉ですね。
隗さん、確かに能力的には太公望とか孔明とかに比べれば凡人レベルだったのかもしれませんが、このPRは神ってました。むしろPRのみで歴史に名が残りました。
めちゃくちゃ評価されました。
思ったのは、「こじこじ大事」ってことです。
同じく事後的評価にはなるけど、なろう的に言えば評価乞食と呼ばれる評価を求める行為は、むしろ評価されうる行為であるといわざるをえないわけだよね。
わたしも、実はハーメルンというなろうの乳兄弟的サイトで、こじこじ(評価乞食行為をかわいらしく表現した言葉)をしてみたんだけど、結果はマジで評価爆上がりというか、なんというか、実際に効果があったと思われます。
わたしはパレート最適を信じています。パレート最適というのは、ヒトが不利益を被らない限りで、他者の利益をあげる行為はむしろわりと積極的に行われるというやつ。ヒトは本性的には善意の存在であるという考え方。
例えば、このサイトにおける評価行為というのもパレート最適行為であって、その評価する人は数秒程度の時間を損するわけだけど、作者からは全力全開の感謝をされるわけだし、つまりはあの作品はわたしが育てたっていう優越感みたいなファン心理を得られるわけだし、数秒の損は損ではあるけど、損になっておらず、全体の公共の福祉というか、全体の利益は向上するわけで、つまりはパレート最適なわけです。WINWIN。うぃ~~~~ん。うぃ~~~~~ん。ん。ぎもぢいいっってことです。
価値観っていう問題はあるけどね。
わたしは価値観をおおまかにヒト、モノ、カネと分けているけど、カネ的にはこじこじするのはむしろ礼賛されるよ。だって、こじこじすると間違いなく評価はあがる。評価なんてあがるわけねーだろとかいう思考は切り捨ててもいいよ。数値を読めないヒトに価値なんかありません。(キリっ)
数値は嘘をつかないからね。だからカネ思考的にはこじこじはありだろうな。
ヒト思考的にはどうかなというと、ヒト思考、つまり人的関係を求める思考からすると、感想も間違いなく増えると思う。この点は感想が時間の取られ具合が大きいから、評価点よりはパレート最適にいたるマイナス側面、つまり時間的損害が大きいわけだけど、逆に作者からの感謝も大きいわけだし、感想数が多くなればなるほど、ニコニコ動画のコメント欄みたいな、コミュニティ内の連帯感みたいなそういう報酬が大きくなると思う。
たとえば、人気作品で他の人の作品の感想を読んでみたくなるという心理がそれだね。
だから、ヒトの価値を根本に据える場合でもこじこじするのは合理的かな。
問題となるのは、モノ思考かな。モノ思考というのは、世界観的な意味合いに価値を置く思考なわけだけど、例えば『良い作品はおのずと評価される』というような思考もありうるかもしれない。評価されること自体はいいとしても、こじこじして評価されるのはなんか違うとか、そういう感じの思考だ。ワインに一滴でも泥をまぜたらワインではなく泥水だという思考。
そういう思考からすれば、こじこじした瞬間に、作者は堕落したみたいな考えを抱かれるんだろうな。
つまり、こじこじ行為を押しとどめるのは、モノ的な思考。自分の世界観に自信がある場合だろうな。カネ的思考からは、貧乏でそのまま死に絶えたければ勝手にしろとか言われそう。カネ的思考からの回答は非常にシンプルに、おまえの作品読まれないし売れないよってことだ。
逆にモノ的思考からは、お金なんていくらあったって、つまりいくら売れようが、死ねば一円もあの世には持っていけないわけだし、なんの意味があるのというようなそんな感じの思考になるのかな。じゃあネットに出さずにひとりで日記帳にでも書いておけって言われそうだけど、それはカネ的な価値観が交換価値であり表出しなければその価値がないからというのはあるだろうね。脳内にある考えというか世界観を抽出する。べたべたと絵とか文章を脳内から結晶化して取り出すということそのものが価値があるのであって、交換価値じゃないからわかりにくいのかもしれない。
いずれにしろ。
ベル子としては、自分の価値観に沿って、こじこじするかどうかを決めればいいと思います。
少なくとも、こじこじするのを抑制するのは、あなたであって他人ではないわけだし、少なくともここなろうにおいては、それを規制するルールはありません。
閑話休題。
こじこじのお作法ということになると、人間心理を踏まえたうえで効果的なこじこじをしたいところだよね。
どのあたりがポイントになるかわたしといっしょに考えてみようか?
下記は敬称「様」をつけており、各作者様の最新話あとがきより引用しております。
2020年3月6日時点です。
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黒鳶の聖者 追放された回復術士は、有り余る魔力で闇魔法を極める 作者:まさみティー 様
読者の皆様、いつも応援いただいて本当に嬉しいです、ありがとうございます。
現在毎日更新を続けていますので、ブックマークして更新を追いかけていただけると、作者としては何よりも嬉しいです。
そして、もし作品を気に入っていただけましたら、広告下側にある欄【☆☆☆☆☆】より自由にポイントを入れて応援いただけると励みになります(なかなか自分で言い出すのは恥ずかしいのですが、とても大きなptですので、読者様のお気持ちが向きましたら是非……)
よろしくお願いします。
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ブックマークしてほしい。評価してほしい。でも選択権は読者にあるということを言って、押しつけがましくないようにしている。具体的にどういうふうに評価すればよいのかの指示。評価を求めるのは恥であるというような思考によって謙虚さを演出。お気持ちを求める下手にでるというところもポイント高いかも。
こんな感じかな。
短い文章だけど、すごく心に訴えかける構成になってるのがわかると思う。
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世界最強の努力家 才能が【努力】だったので効率良く規格外の努力をしてみる 作者:蒼乃白兎 様
【皆様へのお願い】
日間1位まであと2000ptです……!
これが1位になれる最後のチャンスかもしれません……。
みんな! オラに力を分けてくれ!
「面白そう」
「続きが気になる」
「更新応援しています」
「書籍化おめでとう!」
少しでもそう思って頂けたら、
下にある「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にしてください!
(……評価してもらえると、モチベがめちゃくちゃ上がるので最高の応援になります)
読者の皆様と一緒に面白い作品を作っていけるよう頑張ります。
何卒よろしくお願いいたします。
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思わずニマってしちゃうこじこじ。いいな好きだなと思いました。
まず気づくのが1位という目標について明示。
人は目標があったほうが行動に移りやすいからね。例えば、数学で一位を取るんだって思うのと、毎日一時間数学の勉強をしますっていうの、どちらが行動に移しやすいかという話です。
『自分』=『読者』の力で作品が称揚されていくことの明示。
オラに力を分けてくれというのはドラゴンボールの元気玉的なネタであり、ネタにすることでガチではなく、ある程度コメディ化することによって、軽い気持ちで評価できるように配慮。
具体的に気持ちを書くことで、定まらない読者の思考をある程度固着。なんとなくという気持ちで生きているのが人間です。自動化されている気持ちをナッジするというのが人工工学的に有用です。ナッジというのは、肘でつっつくという意味です。作品を読んだあとの読者はぼんやりとしたいろんな気持ちを抱いているはずです。それを『うれしい』とか『好き』という言葉を書いてあげるのは、赤ちゃんのゲップ介助とか、子猫の排泄介助並みに必要不可欠な行為です。
少しでも。それは洗脳ではあるわけだけれども、少しならままエアロと思わせる魔法の言葉。
★★★★★を遠慮なく提示。
最高の応援になりますという言葉で、読者のパトロンとしての快感、お前はワシが育てたというこころを刺激。『一緒に』で共感覚を刺激。
なにとぞよろしくおねがいします。
ベル子も、「な」って入力するとその言葉が自動入力されるようにしています。
礼は大事。
次ー。
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剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく当たるので、絶縁して辺境で出直すことにした。 作者:シンギョウ ガク 様
皆様の評価や感想が励みになりますので、どうかよろしくお願いします!
では、明日も更新頑張れるように書いてきます。
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ど直球ストレートさわやかこじこじである。
個人的にはこれぐらいシンプルなのが好きだけど、魔法解析もなかなかしにくい部類ではあるな。
しかし、最低限のポイントは抑えている。『励み』という言葉。選択権は読者にあり、それによって、作者は救われるという構造だ。
要するに読者の征服欲を満たす構造は最低限必要なんだろうな。そもそもこじこじで上から目線ってわけわからんし。
頭を下げるというのがいかに有用なのかがわかる。
日本人は土下座に超弱い種族なのかもしれない。
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その門番、最強につき~追放された防御力9999の戦士、王都の門番として無双する~ 作者:友橋かめつ 様
【作者からのお願い】
下にスクロールしていくと、広告の下にポイント評価を付けるボタンがあります。
作品を読んで「面白かった」「続きが気になる!」と思われた方は、是非とも評価をお願いいたします。
今後の継続のモチベーションにも繋がります。
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当たり前だけど、評価が下にあるのくらい誰だってわかると思う。誰だっては言い過ぎかもしれないけど、普通になろう小説を読んで楽しめる人なら、それぐらいわかる知的レベルにはある。
しかし、それをあえて提示するというナッジ的な掲示が非常に有用なんだろうな。
「面白かった」「続きが気になる」は感情の固着。これもナッジ。
今後のモチベーション。つまり、作者を育てよという意思表示。
選択はあなたにあるのだというパトロンのプライドを刺激。
しかしそれにしてもすごいのは、ランキング上位でこじこじしてないのって無いやんって話です。
むしろここまでくると、こじこじするのがランキング上位の必須要件なのではないかと思ってしまうほど。
ここで初心な作者様の、
こじこじって恥ずかしい。
こじこじってなんだかよくない気がする。
そういう気持ちもわかります。
わたしもモノ的価値観のなかで生きていますので特にそうです。
ただ、そうでもないよって方は、ひとまずこじこじしてみることをお勧めします。
上のいくつかの作品を見る限り、こじこじの作法としては……
『読者が選択権を持っていることを婉曲に述べる』
あなたに愛されてわたしは生きる
みたいな感じを出すのって重要かも。
直接的でないところが味噌で、直接的にあなたに生殺与奪の権利がありますというと、押しつけがましく聞こえるので、あえて、婉曲に述べる感じです。
『励みとか頑張ろうって気持ちになるよってこと』
作者の気持ちがどう動くかということを明示する必要性を感じます。
作者の気持ちを推しはからせるというカロリーのいる行為をさせるのは厳禁です。
ともかくポジティブなイメージ大事ですね。
『下にスクロールして』
できる限り読者に考えさせないように、しつこいぐらいナッジする必要がありそうです。
指示棒を出すのです。ソシャゲでここを押してって矢印で提示するぐらいのレベルです。
『ある程度のコメディカルな部分』
シリアスにわたしを愛してと言われるとひいちゃいますよね。
コメディカルというのはかわいらしさでもあるので、そのあたりを文章で表現できるといいかもしれません。
こんな感じかなぁ。
こんな作品と関係ないところで『評価』されちゃっていいのか。
究極的には、こじこじだけで、作品が一切書かれていない作品が『評価』される。
つまり、読者は作品を読んでおらずこじこじだけを読んでいたという事実に絶望することになりゃせんかみたいなことを考えたりもするけど、それはこじこじにかかわらず、そういう性質を人間が持っているってだけで、こじこじはそれを露悪させただけって考えることもできるわけだから、とりあえずヒトカネの価値観に基づいて、こじこじするのにはなんの問題もないと思います。
いっしょに楽しくこじこじしようね!
よーし、ベル子も全力でこじこじするぞ!
読者の皆様の評価がベル子の励みになります。
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ぷはは。無理。
なかなかお美事なこじこじって難しいね。
恥を捨てるところから始めなきゃ。評価お願いします。(ぺこり)