ほぼ日刊イトイ新聞

2020-08-01

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・新型コロナウイルス感染症に、どう対応していくか、
 まったくわからないことだけに、
 考えても考えてもいい考えは思いつかないという時期、
 いま思えば、精神的なストレスもかなりあった。
 その時期には、「気晴らし」的なことをしていると
 なんだか考えることをサボってるような気がして、
 なかなか映画や連続ドラマを観る気にもなれなかった。

 しかし、ある程度やれることもわかって、
 同時にやれないこともわかってからは、
 俄然、気晴らしがしたくなって連続ドラマに食いついた。
 『愛の不時着』は第4話までがまんしたらおもしろくなる
 という先達の教えを守って観ていたら、
 ほんとに夢中になってしまった。
 体力に響くのでそんなにのめりこんではいかん、
 と思いつつ、続いて『梨泰院クラス』を観はじめて、
 さらにそれが終わったら『椿の花咲く頃』と、ずっと
 韓国の連続ドラマと付き合うことになってしまった。
 正直言ってずいぶん疲れるし、睡眠にも差し支える。
 これはこれで、一種の依存症だよなぁとか思いながら、
 いったん夜中のドラマ鑑賞から離れようとしたのだが、
 まずは韓国から離れてみようということにして、
 ついつい『ホームランド』というアメリカのドラマに、
 方向性を変えて観はじめることになってしまった。

 『ホームランド』を観ているのは、きつい。
 出てくる人たち、みんなそれぞれがつらい立場にいる。
 主人公はもちろん圧倒的につらいのだが、
 周辺の人たちも、敵やその仲間たちもつらいだろうよ。
 なんで、「たかが娯楽」で観ているはずなのに、
 こんなにずっとつらい思いをしなきゃならないのだ。
 そういう気分にもなるのだけれど、
 つらいのはこのドラマだけではなかったと気がついた。
 韓国製の三作も、ぜんぶつらかったっけ。

 そうかドラマというものは本来「つらいつらい」なのか。
 「たのしいたのしい」というドラマなんか、ないわ〜。
 じぶんの代わりに、登場人物につらい思いをさせるのが、
 基本的なドラマ鑑賞というものなのかもしれない。
 最後に「たのしい」があるにしても、つらい毎日である。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
人は、ほんとは「つらいもの好き」なのかもしれないねー。


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