今日から俺が女教師!?
WEB公開版
作:Tarota
※この作品は2002年8月に発行された入れ換え魂さんの同人誌に執筆したものを加筆・減筆・修正などして手を加えたものです。
一面の青が天に広がっていた。
肌を突き刺すような日差しが、容赦なく地面を照りつけている。
そんな初夏の日中を避けるようにか、青井 亮介[アオイ リョウスケ]は校舎の裏手で人の来るのを待っていた。
今は授業の合間の短い休み時間。
こんな場面に現れるのは、愛の告白か喧嘩の相手と、相場は決まっていそうだがさにあらず。
現れたのは、軽部 正雄[カルベ マサオ]という、亮介の良く知る悪友だ。
彼らはこの高校の二年生だが、今は同じクラスでは無い。
だからと言ってこんな場所で会う必要があるのだろうか?
正雄は時間に遅れて現れたのだが、それを気にする風でもなく、ゆったりとした足取りで歩いている。
「遅せーよ!休み時間終わっちまうだろうが!」
亮介が、フェンスにもたれていた体を起こす。
「輸送任務というのも、これで難しい仕事でね。
運んでいるモノがモノですから尚更ですよ」
飄々とした正雄の答えを聞き流し、亮介は紙袋を受け取ると中を覗き込んだ。
中身は薄い冊子だ。亮介はそれを取り出すと、待ちきれないようにパラパラとページをめくる。
そこに現れるのは、裸のキンパツの女が煽情的なポーズを取っている写真の数々。
「いいねぇ!いいねぇ!」
めくれる度に鼻につく独特な薬品臭い匂いも、亮介には刺激の一部に感じられた。
『何故こんな場所なのか』という答えは、ご覧のように受け渡す品物の為だ。
正雄はオカルトに興味が深く、様々な情報を得る為に海外から雑誌を取り寄せている。
それに便乗して、亮介は海外の無修正モノを手に入れた訳だ。
「もう辛抱できねぇ!」
目を血走らせながら、亮介はズボンの上から股間を擦り始める。
「おいおい、もう鐘が鳴るぞ」
名残惜しいが、次の時間はサボルと後が面倒だ。
亮介は、雑誌を紙袋に仕舞い込むと、正雄と一緒に小走りに駆け出していった。
昼休み。人それぞれが思い思いの時間を過ごしている中で、亮介は化学実験室に来ていた。
わざわざこの時間にこんな場所に来る生徒もいないので、格好の昼寝場所として利用していた。
しかし、彼が今しているのは昼寝ではない。
机の上には、先程の休み時間に受け取った雑誌が広げてあった。
椅子に座る亮介の下半身は裸で、足元にズボンとトランクスが脱ぎ捨てられてある。
目は雑誌のモデルの見事な肢体に注がれ、右手が忙しく膨張したモノを擦っている。
食欲を満たした後、残り2つの欲求のどちらを優先させるかで、こちらが勝ったようだ。
初めて無修正で見る女の秘所に、普段よりも早いペースで、亮介の限界は迫っていた。
亮介がそんな事をしているすぐ外の廊下を、長江 芳香[オサエ ヨシカ]は歩いていた。
彼女はこの学校の教師で、古文を教えている。
銀縁の眼鏡と後ろで纏められた髪、白いブラウスに長めの黒いスカート。
中身のスタイルを隠すようなその外見と小言の多さから、男子生徒の評は”見てくれは良いんだけどな…”という感じだった。
普段の長江はこの時間にこんな所を歩かないのだが、この先の指導室に置いてある物が必要になり取りに来た所だった。
実験室の扉を何気なく通りすぎようとして、微かに聞こえる不信な音を逃さなかった。
「誰かいるの?」
芳香の手が扉にかかる。
足音が近づいて来るのを聞いて、亮介は慌てふためいた。
普段なら鍵を閉めているのだが、エロ本に気を取られて忘れていた。
それでも何とか、握っていたモノを引っ込め、パンツを履く事は出来た。
次いでズボンに手を掛けた所で扉が開かれて、亮介と芳香の視線が交わる。
てっきり女生徒が弁当でも食べているのだろうと思っていた芳香は、机の上の雑誌を見て唖然となった。
おまけに、それを前にした男子生徒はズボンを降ろしていると来ている。
一瞬の静寂の後…。
「これは没収します。放課後、指導室までくるように」
芳香は何とかそれだけを言うと、机の上の本を乱暴に掴み、足早に化学実験室を後にした。
何も返答できない亮介の中で、イク直前で止められたナニだけが自己主張を続けていた。
放課後の指導室に、亮介は長江先生と向かい会って座っていた。用件は当然、昼休みの事である。
「この本、どうしたの!?」
「あ…いえ…その…すいません」
「あそこで何をしていたの!?」
「いえ…その…すいません」
問題となった事が事だけに、厳重注意だけしてさっさと済ませたかったが、身が入ってない返事に芳香の口調も次第に熱を帯びていく。
心ここに在らずというのもその筈、亮介の関心は専ら先生の服の中身に向けられているからだ。
雑誌の知識も加わって、その妄想は隅々にまで及んでいく。
今や亮介の頭の中では、裸の長江先生が大きく股を開き、潤んだ瞳で「犯して」と懇願していた。
そう思えば、説教の為に動く唇も、妖しい蠢動で誘っているようにも見える。
(あの唇が、俺のモノを咥える為に動いてくれたらどんなに良いか…)
亮介はすでに膨張しきったナニの先端を、軽く手の甲で擦りながらそんな事ばかり考えていた。
「若くて健康な男子ならこういう事にも興味もあるでしょう。
それは仕方ない事だと思うけど、何も学校で発散しなくてもいいでしょう!
もっと、スポーツで汗を流すとか、エネルギーの矛先を変えたらどうなの!」
(それは、先生が女だからそう思うんだ。男だったら、そんな奇麗事言えなくなるに決まってる)
珍しく現実世界の言葉が入ってきて、亮介は心の中で反駁していた。
ピシッ!メシッ!
唐突に部屋の中に快音が鳴り響いた。新築の家で木が伸び縮みするような音だ。
ピッ、パシッ!ピシッ!!
音は一度ではなく、段々とその数を増し、仕舞いには壁や棚まで揺れだした。
「な、何?地震なの?」
芳香は突然の事に、身を隠すという動作も出来ず、頭を押さえて机の上に突っ伏していた。
一方の亮介は、地面が揺れていない事に気づき、辺りを見回した。
そして、揺れる壁から白い影のような物が滲み出すのを捕らえた。
白い影は段々とその数を増やし、中の一つが亮介の体に当たる。
瞬間、彼の意識は急速に遠いていった。
同じように、今度は芳香の体に白い影がぶつかり、糸が切れた操り人形のように彼女の体も動かなくなった。
今や、我が物顔のように指導室を舞う白い影達であったが、来た時と同じく唐突に、指導室を駆け抜けて行った。
後には机の上に突っ伏した先生と生徒だけが残されていた。
先に気がついたのは芳香であった。
伏せていた顔が起き上がり、眼鏡越しに切れ長の瞳が開いた。
軽く頭を振って、髪を掻きむしり、起き上がろうとして、驚いたように自分の胸元を凝視する。
まるで、自分の胸に驚いているようだった。
「な、な、なんだこりゃ!」
素っ頓狂な芳香の叫び声を聞いて、亮介の方も気がついたようだった。
ハっとしたように辺りを見回し、おかしな事象が消え去った事に安堵して、正面にいた人物に驚いた。
「え?どういう事?」
二人の見開かれた目と目が合う。
「なんで俺が!?」
「なんで私が!?」
口調と声が逆の二人は、口が開いたままの状態で、お互いに歩み寄って行く。
あろう事か無かろうが、二人の中身と体が突然に入れ替わってしまったのである。
だから、長江芳香という堅物そうな風貌を持つ女教師の中身は青井亮介であり、青井亮介というエッチな事ばかり考えている不真面目な男子生徒の中身が長江芳香なのだ。
二人は、指導室の壁に掛かった、『吉田商店寄贈』と書かれた鏡の中を交互に覗き込む。
そこに映るのは、今まで向かい合っていた、立場も性も異なる相手のものであり、横にいるのが、これまで鏡や写真等でしか見る事のなかった、本来の自分の姿なのだ。
確かめるように二人は、今の体を目で見てそして触れていく。
亮介は、さっきまで想像を掻き立てていた女の体になったが、興奮よりも驚きの方が勝っていた。
大きさを想像していたおっぱいが、自分の胸に備わっている。白く細長く変わった指で、手で、確かめるように、胸の膨らみを優しく触っていく。
これは自分の胸ですよ…と神経が教えてくれた。柔らかさを楽しむよりも、その存在にビックリする。
視線はその先に向かおうとして、ぼやけて見えた。眼鏡の範囲を超えた為だが、今までそんな事など無かったのだから、こんな事にも驚いてしまう。
意識すると、鼻先に乗ったレンズの重さを感じる。確かめるように触ると、冷たいフレームが揺れてカチャカチャと音を立て視界を揺らした。
レンズの範囲を考えて、体を屈めて下を見る。胸が動くのを感じながら、黒く長いスカートと、そこから伸びる細い素肌の脚を眺めた。
脚も股間もスースーと風を感じていたがそれも当然だろう。スカートの上から手を当てて、それまでは感じていた膨らみが完全に消え失せた事に愕然とする。解っていても、その喪失感は拭えない。亮介にとっては大事な相棒だったのだ。
芳香の方も今の体に戸惑っていた。
全身から感じる力強さ。重たくて、時には邪魔に思った乳房の消失。芳香の女としての象徴が失われたのは当然ショックだった。
替わりに現れたのは、股間にぶら下がったペニスだ。黒い学生ズボンの上から触り、確かにそれが生えているのを実感する。
男に…女に…なってしまった!
驚きの次に来るのは混乱であった。
なぜ?どうして?
元に戻れるのか?その方法は?
考えてみても、話してみても、埒が明かない。
落ち着いてくると亮介は、今の状況の美味しさにやっと気が付いた。真剣に考え込む自分の姿を横目に、豊満な胸を両手で掬い上げその感触を両方で楽しむ。
「ちょっと止めなさい」
気が付いた芳香の手がすぐさまそれを止める。
しかしその腕の細さと柔らかさにドキリとする。それを誤魔化すように、芳香は言葉を続けた。
「もっと真面目に考えなさい。
あなただって困るでしょ?
早く戻りたいと思わないの?」
女言葉を喋れる自分の姿に辟易しながら、亮介は芳香のソプラノボイスでおどけて答える。
「俺は暫くこのままでもいいや~。
折角、女の体になったんだから、色々知りたい事もあるしね~」
有言実行とばかりに、自分の体を撫で回してみせる。
柔らかな感触が体全体で共鳴し、素晴らしく心地良い感じだ。
芳香は、絶句しながら弄ばれる自分の体を見ていたが、突然に変化した体の一部の反応に我を取り戻した。
どうしたら良いか解らずに内股になりながら、一回り小さくなった亮介の動きを無理矢理にも止めにいく。
亮介はその力に圧倒され、自分が非力になった事を実感した。同時に、腿に当たる膨らみにも気が付いた。
「先生だって、若い男の体を体験してみたいと思ってるんじゃない?」
柔らかい腿で股間の異物を刺激され、芳香はその気持ち良さに戸惑った。
「ど、どうすれば…これ治るの?」
「え?これって?」
感触は気持ち悪かったが、亮介は面白くなって更に腿を動かした。
「これよ…。股間の膨らみ!」
「ああ、それね。抜けば収まるよ」
「抜くって?」
「先生には説明する必要はないと思うけどなぁ。
解ってるんだろう。男の生理現象くらい…」
勿論芳香は知っている。男のそういう状態を受け入れた事もあるのだから。
しかし、逆の立場は勿論初めてだ。
情けない顔の自分を見て、亮介は気分が萎えた。脚の動きを止めると体を離す。
「じゃあ、トイレに行って用を足してみろよ。そしたら治るぜ」
「え?このままするの?」
ぎんぎんという擬音が似合うくらい膨張したナニを抱え、芳香は情けなさそうな顔をした。
「ま、頑張って下に向ければ出来るぜ」
痛そうだなと思いながらも、正直、芳香は触ってみたくなっていた。
「わかったわ…」
「あ、俺の方も済ませていいよな」
芳香は黙って肯きながら、その言葉から想像した内容に、股間をさらに張らせた。
いつもと逆のお手洗いから出てきた二人は、無言で指導室で合流する。
お互いに目も会わせず、時間がかかった事を問い掛け様ともしない。
そうこうする内に時間は経っていたようで、下校時刻を告げる鐘が鳴り響いている。
仕方ないのでこの後の対策は、一人暮らしをしている芳香の家で行う事になった。
亮介は教えられた通りに、職員室へ行き、長江先生の机からバックを取ると、他の教師に挨拶をして校門前へと向かった。
夕日が赤く染める中を、二人は黙って歩いた。
隣には自分の体があり、歩く感覚もいつもと違う。
芳香はその力強く地面を歩く感覚に、ついつい進みすぎては後戻りしていた。
亮介の方は弱くなった脚力もさる事ながら、風が吹き込んでくるスカートの感覚に、歩みは遅くなっていた。
電車でニ駅移動して、そこから歩く事10分。芳香の住むワンルームマンションに到着した。
初めて入る女性の部屋に、亮介はワクワクしていた。
しかし、独り暮しというのはどうしても無頓着になりやすく、想像していたような綺麗に片付いた部屋では無かった。
「ま、どうぞ上がって」
部屋の有様に照れながら、芳香が中へ勧める。亮介の細い足からローファーが無造作に脱ぎ捨てられた。
落ち着かずにきょろきょろと部屋を見回す大人の女と、紅茶を入れる男子学生。
この構図の妙が、最大の問題となった。
元に戻る方法が解らない以上、お互いの暮らしも交換するしかない。
その段になって、男と女が入れ替わった事に囚われて見えなかった点が焦点となったのだ。
先生と生徒が入れ替わったという事。
芳香は学生の身分に戻ったから良い。教えているクラスでもあるので、亮介のクラスメイトの顔も判る。
問題は、先生になった亮介だ。
はっきりいって成績が良いとは言えない彼に、先生役が勤まる筈もない。かといって、今から叩き込むのも難しい。
幸いな事に、学期末考査が近いので、プリントを配るなどして自習にすることが出来る。
明日は土曜日だから、差し当たっては切り抜けられるだろう。
それから、亮介の家の事を聞き、化粧など女の心構えを教えると、もう7時近くなったので、芳香は自分の家から立ち去らなければならなかった。
「長江先生。余り変な事をしないように頼む…ぜ!」
慣れない男子学生としての口調で言いながら、芳香は効力がない事を実感していた。
自分の体を見送ると、亮介は先生の奇麗な顔を歪めて下卑た笑みを浮かべた。
「へへへ…」
揺れる胸の感覚を楽しみながら、軽やかな足取りで部屋の中を歩き回る。
タンスの横の大きな姿見の前に立つ。そこに映るのは、長江芳香という女教師の姿。
銀縁の眼鏡、バレッタで纏められた髪、白いブラウスに長めのスカート。
眼鏡の奥の切れ長の目、細いうなじ、服の上からも解る体の線。
どこか近寄り難い雰囲気がある真面目な長江先生の顔が、ニヤニヤと笑いながら、胸の膨らみをブラウスの上から触っている。
感触はすでに体験済みだったが、視覚と合わせる事で脳に伝えられる感覚は倍加していた。
暫くそれを楽しんだ後、ブラウスのボタンを一つ一つ外していく。
ブラジャーに包まれた双球が、カーブを描くウェストの線が、徐々にその姿を現していく。
それらを確認するように撫で、肌の柔らかさと滑らかさを味わった後、今度はスカートに手を掛けた。
音を立てて腰布が落下すると、下着姿の女が亮介の前に現れた。
グラビアとも映像とも違う、圧倒的な生の迫力。
触れば届く位置にありながら、実際に触れて届くのは冷たい鏡だけ。
鏡の中の女が、亮介なのだから当然だろう。だから、女は彼の意のままに動くのだ。
胸を強調し、谷間を覗かせ、お尻を突き出し、甘えるような目で見る。
「先生が教えて、あ・げ・る」
そんなセリフも思いのままだ。
これはこれで楽しいし頭では興奮しているのだが、体の反応がいつもと違うのでどこか虚しい。
それを振り払うように、亮介は下着を取り去っていった。
苦労しながらブラのホックを外すと、胸が揺れる感触と共に、開放感が訪れた。
初めて生で見る女性の裸。鏡に魅入りながら、体をまさぐっていく。
柔らかく滑らかな肌の感触が心地よく、触られた感じがくすぐったい。
亮介は夢中で胸を揉み、脇腹を、太股を、お尻を、摩った。
鏡の中であの真面目な先生が乱れていく。教師から女へと変貌していく。
それを見て高まっていく気持ちに、亮介はやきもきしていた。
本来ならナニを思う存分しごいて、もう何発も抜いている頃だ。
一生困らないズリネタを仕入れたのに、擦るモノがないのだ。
今、その部分は平らで、替わりに複雑な渓谷になっている。
トイレの時は視界の関係でよく見えなかった女性の秘所も、今なら鏡を使ってゆっくりと観察できる。
亮介は鏡の前に脚を広げた。
「うおー、グロテスク!変な形してんなぁ」
黒く茂った芳香の恥毛を掻き分けて、亮介は唇のような皮を指で開いていく。
「先生のま○こ!鮮やかとはいかないけど、雑誌で見た真っ黒なのと違って、奇麗だなぁ」
鏡に映る女の部分に”挿入してみたい”という気持ちは湧き起こってくるのだが、それ以外の事は良く解らない。
いや、解らないというより、恐いのかも知れない。”入れられる”のに抵抗があるのだ。
亮介は自棄のように指を伸ばした。
”触れる”より”触れられる”感触の方が強かった。
痛い程敏感な肉が、進入を拒んでいるようだった。
それでも指を擦りつけ、もう片方の手で胸や乳首を弄っている内に、何となく気持ち良い感じになってきた。
「亮介くぅーん…先生もう我慢できないのぉ~」
鏡に映る光景と、甘ったるい女の声と、柔らかい肌の感触。
それらも合わさって、亮介は今までに無い快感を味わっていた。
出して爽快に終わる今までの快感とは違い、快感が蓄積されていくだけで出口がない。
いや、終わりはあるのだが、それに到達できないのがもどかしい。
結局、亮介は最後までイク事なく、疲れて止めてしまった。
すると、次に襲ってきたのは空腹感である。
普段の長江芳香なら、自炊する事もあるのだが、中身が亮介ではそんな技術はない。
仕方なく外食する為に、亮介は脱ぎ散らかした下着を指で摘まみ、情けない顔をしながら、何とかそれらを身に付け始めた。
朝。亮介は、クシャミで目を覚ました。
自分が裸だという事に驚き、その体に見慣れぬ膨らみがある事にもっと驚き、ようやく記憶が戻ってきた。
(そうか…先生の体なんだっけ)
寝る前に散々いじったけど、まだ慣れない…慣れる訳がない…膨らみを両手で揺らす。
亮介は、部屋の惨状をボーと眺めながら、昨夜の事を反芻していた。
外食から帰った亮介は、暇に飽かして今度は部屋を探索し始めた。
化粧台の上に並ぶ見慣れぬ物品を漁り、洋服ダンスをひっくり返して色々な服を取り出す。
最後に行き着いたのは、勿論、下着入れだ。
中の布を一枚一枚取り出し、匂いを嗅いでは、愛しいように頬に擦りつける。
本人が見たら確実に泣くか怒るかという光景だろう。
「お!こんな色っぽいのも持ってんじゃん!」
透けるように薄い黒で、布の量も少ないパンツとブラジャーに手が止まる。
こんなのを着た先生なんて、普段からは想像もつかない。
しかし、今なら想像どころか、実際に見る事も可能なのだ。
やらしい笑みを端整な顔に浮かべながら、亮介は服を脱ぎ去ると、際どい下着を付け始めた。
胸の谷間が強調され、股間の恥丘も盛り上がって見える。
眼下に広がる光景を堪能し、実際に触って二度楽しむ。
更には鏡に向かってポーズを取り、他の下着を試したりして、一人ランジェリーショーを展開する。
それに飽きたら今度は風呂だ。
入ろうとしたら視界が真っ白になった。
すっかり慣れていたが、眼鏡をしていたんだ。
慌てて外すが、今度は視界がぼやけてしまう。こりゃ大変だなぁと思いながらも、女の体で湯に浸かるのは、何故か普段より気持ちいい。体を洗うのも楽しいし、ついでに弄ると今までよりも感じた。
長風呂を楽しんでから、寝間着を探す。ベットに横になるが、気になるのは胸の重さだ。
仰向けになれば、ベットに押し付けられて余計に気になる。
仕方ないよなと心でいい訳をして、亮介は、眼鏡をかけると電気を点けた。
鏡をベットの脇に移動させると、裸になって女体の神秘を探る旅の続きに出掛けた。
そして旅の途中で疲れ果てて寝てしまい、先程のクシャミへと繋がっていくのだ。
いつまでも裸でいる訳にもいかず、亮介は胸を揺らしながら歩き、散乱した下着の中から適当な一組を着けた。
普段とは違うルートで、亮介は学校に向かっていた。
違うのはルートだけではなく、格好も立場も何もかもが違っていた。
「先生おはようございます」
途中何度かそんな声をかけられたが、亮介は自分に向けられた声だと気が付かず、ボヤっと歩いている。
「先生。長江先生~」
男子生徒の一人が尚もしつこく声を掛け続ける。
ブラウスの袖を引っ張られた事で、ようやく亮介はそちらを向いた。
そこにいたのは、元の自分…つまりは本物の長江先生であった。
「お、おはよう…青井…くん…」
一晩ぶりに見る自分の体を前に、改めて不思議な感じを受けながら、何とか演技をする事が出来た。
「先生、ちょっといいですか?」
芳香は問答無用に、自分の体を引っ張っていく。
「亮介君!
もう~、何て格好してるのよぉ!」
通学路をちょっと外れた公園のトイレ着くなり、芳香が元の口調で我鳴るのも無理はない。
何しろ、亮介の格好ときたら、ブラウスの裾はスカートからはみ出しているわ、髪はボサボサだわ、といった酷い有り様なのだから。おまけにスカートは、学校には絶対履いてこない短い奴だ。
ブラウスの裾をきちんと仕舞わせると、亮介に持たせた鞄の中からブラシを取り出して、芳香は髪の毛を梳かし始めた。
普段は”内側”からしている行為を、今は”外側”からしている訳だ。
不思議な感じだったが、やり易い事は確かだった。それが終わると、乱れた化粧も整えていく。
亮介は鏡に映る自分の姿が、美しい女性になっていくのを、複雑な思いで見つめていた。
「俺っていい女だな~」
思わずそんな言葉が漏れる。
「あたりまえでしょ、私なんだから」
芳香はそう言いながらも、外側から見る自分の体にドキマギしていた。
鏡では絶対に見られない、写真では実感できない、生の自分の体。
そう、自分の体だというのに、ついつい、ブラウスの上からも解る胸の膨らみと、短いスカートから覗く太股に目が行ってしまう。
体の中を男性ホルモンが駆け巡っていくのが感じられる。
芳香は、もう何度目かになる、股間の膨張に苛まされていた。
「亮介君…そのスカートは無いんじゃない…」
誤魔化すかのように、芳香は非難の声を口にしていた。
「え?似合ってると思うけど?」
鏡に見とれていた亮介が振り返る。そこに居たのは、昨日までの自分の体。
男子高校生であるその体は、今の体とは違い色褪せて見えた。
「似合う、似合わないの問題じゃなくて。
不必要に青少年を刺激するような格好は問題になるのよ!」
「刺激する?」
亮介は、先生のズボンが膨らんでいる事に気がついた。
「成る程ね。若い男はすぐに反応しちゃうもんね。例えそれが自分の体であっても…」
眼鏡の下の目尻を下げ、亮介は右膝を開いていく。擦れる感触と共に、スカートが開かれて行った。
ごくりと唾を飲み込みながら芳香は、甘い匂いを放つムッチリとした太腿に、ちらっと覗く黒いパンツに、目が釘付けになっていた。
「先生はこんなにも魅力的なんだぜ…男に見せ付けなきゃ勿体ないだろ」
自分の…いや若い男の…熱い視線を浴びて、亮介もすっかり変な気分になっていた。
体全体が火照っていく感覚に、つい手が動いて胸や股間へと向かってしまう。
芳香はそれに気づくと、冷静さを取り戻した。
「何やってるの、亮介君!」
「そんな事言ったって、止まらねぇよ…」
胸を弄る亮介の行動は力ずくで止められた。
それから時計を見れば、もうギリギリの時間だ、慌てて学校までの道を走り出す。
(この胸、走るのには邪魔だよなぁ…)
(勃起しながら走ると、擦れて感じるのね…)
それぞれが新たな異性の秘密を知りながらの道筋であった。
門を通れば別れる事になる。向かう先はいつもと違う場所だ。
亮介は職員室の扉を恐る恐る開けた。彼にとってこの場所には、余り良い思い出がないのだ。
「おはようございます」と教師に声を掛けられる中を、適当に会釈しながら長江先生の席へと向かう。
ドカッと椅子に腰掛けると、疲れがどっと押し寄せてきた。
落ち着く間もなく、すぐに職員室での朝礼が始まった。
それを適当に聞き流しながら、亮介は何とも言えない居心地の悪さを味わっていた。
数分の朝礼が終わると、長江先生から言われた用意をして、一時限目の一年生の教室に向かう。
亮介が教室に入ると、日直が号令を掛けた。
見知らぬ教室、見知らぬ生徒達。
いつもと逆側に座り、今日は亮介が教える側に立っているのだ。
壇上で向かい合うと、そういう意識が急に前面に表れ、緊張してきた。
「あ…え…そのぉ…」
亮介が言葉を失っていると、前列の女子生徒が声を上げた。
「先生、出席取らないんですか?」
「あ、そ、そうだ。出席を取りまーす」
何度も読み方に突っ込みを入れられながら、なんとか出欠を取り終わる。
「それでは、今日は試験も近いので自習とします」
それだけを言うと、亮介のやる事は無くなってしまった。
昨夜の痴態による寝不足。今朝のドタバタ。不慣れな教師としての立場。
それらが一気に体に押し寄せてきた。所在無げに見ていた教科書の文字に誘われて、いつしか亮介は眠りの世界に入っていった。
その頃、芳香の方も逆の立場を味わっていた。
こちらは亮介とは違い、経験した事のある学生という立場だったので、戸惑うよりも懐かしいものを感じていた。
大勢の生徒に混じって一緒に学ぶ。周りを見渡し感慨にふけ、隣の女子生徒達にドキリとして体が反応する。
芳香は、男子学生として青春時代をやり直す事に、魅力を感じ始めていた。
「先生、時間です…」
寝惚けた亮介の眼が、困ったように覗き込む女生徒の眼と合う。
いつもと違うシチュエーションに、軽い混乱に陥る。
「あ、ごめんなさい。それでは授業を終わります」
どうにか一時限目は終わったが、長江先生の評価は失墜した筈だ。
(先生ごめんな。次こそちゃんとやるから)
心の中で謝るものの、今日一日はずっとこんな感じで授業を進める羽目になのであった。
土曜日の放課後は早い。
指導室の机にコンビニで買った弁当を広げ、教師と生徒が向かい会っていた。
「そんなにがっついて、服の上にご飯飛ばしたりしないで…」
「解ってるよ…」
箸の持ち方が悪いのか、それでもオカズを机の上に滑らせてしまう。
不器用にご飯を食べる自分と、一口づつゆったりと食べる自分。
異質な動きをする自分と相対しながら飯を食べ、改めて中身が入れ替わっている事を実感する。
この状態にピリオドを打つ事が出来るのか…。元に戻る事ができるのか…。
可能性を求めて、昨日と同じ場所で同じ時間まで、待つ事にしたのだが時間に余裕が有り過ぎた。
満ちたお腹を抱えながら、欠伸をかみ殺す亮介に、芳香は今日の出来事をあれこれ聞いていた。
「寝てたぁ?」
「いやぁ~申し訳ないとは思ってるんだけど…」
亮介の紅く蠱惑的な唇が大きく開き、緩やかに甘い吐息が漏れていく。
「ごらんの通り、眠くてねぇ~」
「そんなに遅くまで何をしてたのか、聞くまでもないんでしょう…」
呆れるというよりも、仕方ないと思っていた。
何しろ今の芳香は、元の体に戻ったとしても、女の体に同じような興味を持つであろう事が解っているからだ。
わずか一日とはいえ、健康な若い男の性欲は、着実に芳香の心に影響を及ぼしていた。
一方の亮介の方は相変わらずであった。
こうして眠気に導かれながらも、意識は組んだ腕に当たる胸の弾力にある。
「こうやって、ただ待つのもつまらねぇから、なんかいい暇潰しねぇかなぁ…」
「あるわよ…取って置きの暇潰しがね…」
「え?どんなの?」
亮介の視線が、ギラギラとした男の視線とぶつかった。
目の前の距離まで近づいた、男子学生の体が大きく見える。自分の体に怯えを感じた時には、すでに遅かった。
後ろから伸びてきた両手が、しっかりと亮介の胸を掴む。感触を楽しむように指が動き出した。
「な、何をすんだよ…先生…」
亮介は抗議の声をあげた。乱暴に揉まれては痛みしか感じない。
「あら?亮介君には解る筈でしょ?
何をされるのかも、私が何をしたいのかも」
確かに解るのだが、解りたくなかった。この体を弄るのは好きだし、女の快楽が凄い事も解った。
だが、そこに男が介在することなど、亮介の頭の中には無かった。
初めて、男に恐怖を覚えた。相手は昨日までの自分だというのに…。
「狭い密室に男子生徒と若い女教師が二人っきり…。
今なら君達の気持ち、しっかり解るわ」
芳香の手の動きは激しさを増していく。服の上から胸を揺らし、揉み、乳首を攻める。
勢い任せの動きも、落ち着いてくると、的確な攻め場所を思い出してきた。
心得た動きに、亮介は次第に体が熱くなっていくのを感じていた。
椅子に座らせたままの攻めが終わると、芳香は亮介を立たせ、自分で自分の唇を奪った。
細い舌にたっぷりと絡めて、細い柔らかい顎筋を擦る。
自分の物だった筈の顔を、こんなにも愛しく感じるなんて…。
亮介にとっては、ファーストキスが自分だなんて、冗談では無かった。
しかし、もはや頭が痺れて、思考は停止している。
送り込まれるザラついた舌に、必死に自分の舌を絡めつけ、潰れる感触を楽しむ為に胸を押しつけるより他は無かった。
「はぁはぁはぁ…
どう?亮介君、暇潰しにセックスなんてのは…」
「はぁはぁはぁ… 先生、俺、もう我慢できません」
セリフと体が逆のまま、生徒と教師は一線を超えていく。
机の上に押し倒され、亮介は眼鏡の奥から潤んだ瞳で自分を見上げていた。
こんなに自分が頼もしく見えるなんて思わなかった。見ているだけで体が疼いて、男を求めていた。
芳香は、机の上から投げ出された女の脚を撫で、弾力と肌触りを楽しむと、舌先でなぞっていった。
触られただけで、亮介の女体は快楽を生み出していく。
短いスカートが捲り上がり、レース地の黒い布が露になる。表面はすでに湿っており、染みがハッキリと解った。
「長江先生、こんなにパンツ濡らしちゃって、もう我慢できないんですか?」
芳香がニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら、自分の物だった秘密の花園を覆う布を押していく。
「…先生…な、何、言ってるん…すか?」
荒い息で、途切れ途切れになりながら、亮介が答える。
「成りきった方が燃えると思わない?
放課後の密室。先生と生徒の禁断の関係って感じで」
体も立場も入れ替えられた二人が、役割をも入れ替えようとしている。
これが終わった時、果たして彼らの自我はどうなってしまうのだろうか?
「ああ…亮介君…。先生、もう我慢できないの…」
亮介の返事に、芳香は攻撃を開始した。
パンツを脱がし、女の秘所をいじりまわす。
昨日までは自分にあったその場所が、今では見知のものに思える。
陰唇をめくり、観察し、指で触り、舌で触る。陰核をいじり、口で吸う。
その全てが楽しく、芳香の男性的な我慢は限界を迎えようとしていた。
亮介は脚を開き、されるがままにされながら、両手では堅く尖った乳首を、服の上から弄んでいた。
あまりの快感に打ちのめされる。昨夜独りでしていたのなんか比ではない。
ふと、激しい責めが止んだので、亮介は虚ろな眼で様子を伺った。
そこには、屹立したペニスを誇らしげに構える、一人のオスが立っていた。
「先生…。俺、もう我慢できません…。行きます」
メスである亮介は言葉を返せず、ただ頷くより他なかった。
この結果が、彼等にもたらす影響はどんなものなのだろうか?
そして彼等は元に戻れるのか?戻った体で正常にいられるのだろうか?
その答えを知る者は無く、ただ男女の絡み合う音だけが指導室に響くだけであった。
(ひとまず完)