国内で新型コロナウイルスが流行した1~4月の4カ月間で、平年の死亡数を大きく上回る「超過死亡」が5都県で計138人に上ることが31日、厚生労働省研究班の推計で分かった。国全体では平年並みで、超過死亡は確認されなかった。
欧米では平年を大きく上回る超過死亡が確認されているが、日本では一部で死亡数は増えたものの国全体としては死亡数を抑えられていた。
厚労省研究班が欧州と米国でそれぞれ算出している2つの計算方法を用いて、日本の1~4月の死亡数を週単位で積算して分析した。
都道府県単位では、一部の県で統計的な誤差の範囲(上限値)を超える超過死亡が生じていた。欧州の手法では栃木(14人)、埼玉(5人)、千葉(61人)、東京(55人)、徳島(3人)の5都県で計138人。米国の手法では千葉県で47人に上った。
国全体でみると、いずれの手法でも死亡数は上限値以下で、平年と変わらないレベルだった。
死亡数は感染症の流行などで増加するだけでなく、そのほかの死亡が減少すると相殺される。
たとえば4月は新型コロナの感染が確認された死亡数は国全体で391人だったが、外出自粛などの影響で交通事故死と自殺者の合計でほぼ同数減少しており、国全体への影響は少なくなる。
研究班の鈴木基・国立感染症研究所感染症疫学センター長は「死亡数の増減は死因別のさらに詳しい分析が必要」とする。そのうえで「インフルエンザが流行していた1月に増加した栃木を除くと、新型コロナの影響で死亡数が増えた可能性がある」と推測している。