宇都宮市における新型コロナウイルスの感染実態を調査している同市中島町のクリニック「インターパーク倉持呼吸器内科」と東京医科歯科大大学院の研究グループは30日までに、市民700人超に抗体検査をした結果、市内の推定感染率は1・23%だったことを明らかにした。
同クリニックの倉持仁(くらもちじん)院長(47)によると、新型コロナ感染症では半数以上が無症状とされる。調査は、地域の人口ベースでの感染状況を把握し、感染拡大防止策に役立てるのが狙い。
市の協力を得て、市内1千世帯(2290人)を無作為で抽出。6~7月に検査したところ、参加者742人のうち感染歴を示す抗体の陽性者は3人だった。この時点の感染率は0・40%だが、統計学的に精度の高い数字に補正すると1・23%になるとしている。
6月1日時点の同市人口(51万8610人)に換算すると感染者数は推定6378人。「第1波」とされる時期に市が把握していた陽性者23人の277倍に当たるという。
倉持院長は「想像以上に市中感染が広がっているということ。自治体は、より広範囲にPCR検査や抗原検査を行い、医療体制の拡充など必要な施策を打つ必要がある」と話す。
研究グループは10月に再検査を行い、抗体保有率などの追跡調査を行う。