「陽性率」「経路不明の割合」緊急事態再宣言レベルに 東京都の感染者状況
2020年7月31日 05時50分
新型コロナウイルスの感染者が全国で急増しているにもかかわらず、政府は経済重視で緊急事態宣言の再発令に慎重だ。感染者増は検査数の増加などが要因と繰り返すが、東京都では陽性率も上昇。5月に緊急事態宣言を解除した際、再発令の指標とされた「感染経路不明者の割合」なども目安の基準を上回り、状況は悪化している。(村上一樹)
「4月の緊急事態宣言当時とは状況が異なる。総合的に判断すると、現時点で宣言を再び発出して社会経済活動を全面的に縮小させる状況にはない」
◆国内の新規感染者1000人超でも…
政府は東京都での感染者の増加に関し、接待を伴う飲食業の従業員らに広く検査を働き掛けたことが背景にあると説明する。だが、最近は接待を伴う飲食業以外の感染確認が相次いでおり、陽性率も上昇傾向が続いている。
東京都の陽性率は、緊急事態宣言が解除された5月25日に1%だったが、7月1日には3.9%、27日には6.5%に増加。西村康稔経済再生担当相は記者会見で「リスクのある人、リスクの高い場所は幅広く検査をやっているので、陽性率は高くなっている」と説明するが、市中で感染が拡大している恐れは否定できない。
◆再指定の指標上回る直近1週間の数値
政府の専門家会議は5月に緊急事態宣言を解除する際、再指定の指標として、直近1週間の
(1)人口10万人当たりの新規感染者数
(2)累積感染者数が倍になる時間
(3)感染経路が不明な人の割合
―を総合的に判断するとしていた。
(1)人口10万人当たりの新規感染者数
(2)累積感染者数が倍になる時間
(3)感染経路が不明な人の割合
―を総合的に判断するとしていた。
新規感染者数は、人口10万人当たり「5人以上」が再指定の目安だが、東京都では「12.8人」(7月22日~28日)と大きく上回る。感染経路が不明な人の割合も目安は「半数超」だが「58.7%」(同)と高くなっている。
累積感染者数が倍になる時間は、厚生労働省によると、第1波の感染者の多くは既に治っていることもあり、最近は指標として使用されなくなっている。
◆重症、入院患者は7月上旬比で3倍前後に
宣言の再発令に否定的な理由として、政府は医療提供体制が直ちに逼迫する状況ではないことも挙げる。都内では29日現在、重症患者は22人に対し、重症患者用の病床は100床を確保。入院患者数は1106人で、病床は2400床を確保している。
だが、重症患者、入院患者は7月上旬と比べると、いずれも3倍前後に急増している。菅氏は「増加を続ける感染者への対応で医療現場の負担感が強まっている。状況を引き続き注視する」と話した。
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