ドイツ、感染増加を懸念 南東ヨーロッパも深刻な状況に
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ロベルト・コッホ研究所のヴィーラー所長は「第2波」の始まりかもしれないと述べた
ドイツで新型コロナウイルスの感染者が増加しており、保健機関のトップは28日、「非常に懸念している」と述べた。南東ヨーロッパでも感染者が急増している。
ドイツでは先週、3611人の新規感染者が確認された。
ロベルト・コッホ研究所(RKI)のローター・ヴィーラー所長は、「急速に感染が拡大する大流行の真っただ中に私たちはいる」と記者会見で強調。
ドイツ国民は「油断」していると述べ、マスク着用と社会的距離の確保、衛生面でのルール尊重を強く求めた。
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マスクについては、屋外でも1.5メートル以上の物理的距離を保てない場合は着用するよう呼びかけた。
ヴィーラー所長がこうした要請をするのは初めて。これまでマスクは、屋内の公的な場所での使用を求めていた。
同所長は、感染が「急速に抑制不可能な状態で」広がっていると指摘。「これが第2波の始まりなのかはまだわからないが、もちろんその可能性はある」と述べた。
「だが、私たちが衛生ルールを守れば予防できると楽観している。私たちにかかっている」
新規感染ゼロ地域が減少
ドイツでこれまで確認された感染者は20万6242人、死者は9122人に上っている。
これらの人数(特に死者数)は、ヨーロッパの多くの国々と比べると少ない。感染拡大に迅速に対応し、ウイルス検査も大規模に実施したドイツには、国内外から称賛の声が出ている。
ただ、ここ数日、感染者が急増している。28日には新規感染者が633人確認された。前日も340人だった。
過去1週間では、1日平均557人の新規感染者が見つかっている。先月初旬の1日平均は約350人だった。
さらに、国内各地で新規感染者が確認され、地域的な広がりもみられる。RKIのスタッフによると、新規感染者がゼロの地域(郡)は先週は150近くあったが、現在は95まで減っている。
スペインへの渡航に警告
ヨーロッパの各国は、新たな感染拡大とともに、夏休みに国境を越えて移動する旅行者の問題に直面している。
ドイツは28日、感染が急増しているスペインのアラゴン、カタルーニャ、ナヴァラの3州への渡航に対して警告を発した。
一方、イギリスはスペインからの入国者に14日間の隔離措置を取ると発表している。これに対し、スペインのペドロ・サンチェス首相は「不当だ」と反発している。
ドイツは27日、ハイリスクとみなした国からの入国者に、無料の新型ウイルス検査を義務付けると発表した。現在、ブラジル、トルコ、アメリカなどをハイリスク国に指定。日々見直しをするという。
その他の欧州の国では
ベルギーは27日、感染者数の増加を受け、「社会的安全圏」を作れる人数を5人までに減らした。
同国アントワープ市は、生活に不可欠な仕事に就いている人を除き、夜間の外出を禁止。13歳以上を対象に、公の場所でのマスク着用を義務化した。
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ベルギー・アントワープでは13歳以上にマスク着用が義務付けられた
スペインは北東部で、新規感染者が多数確認される状況が続いている。ただ、全国的には流行は抑制されている。
ヨーロッパで状況が深刻なのは、南東部の国々だ。
コソヴォは28日、新規感染者が過去最高の約300人確認された。保健当局によると、病院や医療従事者が対応し切れない状態になっている。
ルーマニアでは7日連続で1000人以上の感染者が確認されている。累計感染者数は4万7000人を超えた。
旅行者に人気の欧州諸国における、新型ウイルス感染者数の推移。棒は1日あたりの人数、実線は過去7日の平均を示す(出典:欧州疾病予防管理センター、7月26日現在)
セルビア、アルバニア、北マケドニアも感染拡大の抑制にてこずっている。
一方、スロヴェニアとクロアチアは周辺諸国に比べ、感染者が少ない。イギリスは28日から、スロヴェニアを訪れて帰国した人に対する隔離措置を解く。
マルタでは、沿岸警備隊が地中海で保護した移民94人のうち3分の2以上が新型ウイルスに感染していたことが確認された。エリトリア、モロッコ、スーダンの出身とみられるこれらの人々は、入国管理センターで隔離される。