関西広域連合や関西の経済団体でつくる「関西健康・医療創生会議」は17日、新型コロナウイルスの緊急シンポジウムをオンラインで開催した。感染予防で人との接触の8割減を呼び掛け、「8割おじさん」の異名を持つ北海道大の西浦博教授が講演し、「第2波の感染者は第1波よりも増える。医療、保健現場には相当厳しい負荷がかかる」と警戒を呼び掛けた。
西浦教授は自治体が進める病床確保や検査数の充実について、「足りないものを少し増やすぐらいしかできていない」と指摘。「第2波の制御に光明が差すかというと、相当厳しい見込みを僕は持っている」と話した。このまま対策を取らなければ「貧しい人や社会的に虐げられている人ほど死亡者が多くなる」と危機感をあらわにした。
緊急事態宣言のような踏み込んだ対策について、社会経済活動に与える影響の大きさが優先されるようになり「政治家が判断できていない」との見方も示した。厚生労働省クラスター対策班のメンバーとして感染防止策を積極的に情報発信してきたが、自身に向けられた批判も強く、「脅迫があり、公安(警察)に守ってもらった」と明かす場面もあった。
今後については市民に強い我慢を強いることなく、それでいて人との接触を減らす「スマート」な手だてで感染を食い止めるべきとの認識を示した。西浦教授は8月から京都大に赴任する予定。
シンポではこのほか、院内感染が発生した神戸市立医療センター中央市民病院の木原康樹院長の講演や、和歌山県の野尻孝子技監らを交えたパネルディスカッションもあった。自治体職員や医療従事者、市民ら約560人が視聴した。