挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
義姉たちが全員重度のブラコンだった。 作者:個味キノ/藤宮カズキ

共通ルート 第一部

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
7/51

『お姉ちゃん度』と『弟力』とは。

最新話投稿しました!

週に1~2話は投稿していこうと思います。

「春斗に質問があります」

「何? 冬華姉さん」

「『お姉ちゃん』、『姉さん』、『姉ちゃん』、『姉様』、『ねぇね』、『姉貴』。春斗君はどれが好きですか?」


 ……まずその質問の意味がわからない。


「わたしも知りたい~」

 え、秋ねえにはわかるの!?


「私も知りたい!」

 夏希姉ちゃんも!?


 え、何これ。わかってないのって俺だけ?

 土曜日のアットホームなリビングが一気にアウェイになってるんですけど……。


「私は『姉貴』ですね。響きが頼もしいので春斗君にぴったりです」

 待って、理解不能なまま話を先に進めないで。


「わたしは『姉さん』かな~。親し気でいいよね~」

 だから何の話!? まず説明して欲しいんですけど!?


「絶対『お姉ちゃん』!! いい子で春斗っぽいし!!」

 なにが? どういうこと?


「それで、春斗君はどう思いますか?」

「全っ然、話が見えないんだけど。みんな何でそんなに盛り上がってるの?」

 え、何。なんでそんなに信じられないって顔してんの?

 俺そんなに変なこと言った!?


「春斗君もまだまだですね」

 うん。そんなしたり顔してないで説明してくれない?


「大丈夫だよ~。はるくんはそのままでいいんだよ~」

 って言われてもまるでわからないから。頭撫でられるより説明を求めたい。


「今度私と一緒に練習しようね! 春斗」

 だからなんの!? いい加減説明してくれない!?


「つまりは、春斗君になんて呼ばれたいかという、そういう話ですね」

「何それ……」

 なんでそんな話題で盛り上がれるの? 謎過ぎる……。


「ていうか、どうしてそんな話になるのさ」

「ここに本があります」

 うん、あるね。今朝から冬華姉さんが読みふけってた本が何冊も積み上がってるね。


「これらは全て姉と弟の関係性について書かれたものです。中には私たちのように義姉と義弟のものも含まれます」

 ……嫌な予感しかしない。


「より具体的に言えば姉と弟の恋愛を描いたものです。もちろん私たちのような義姉と義弟について書かれたものもあります」

 むしろそっちの方がメインなんじゃないの?



「そしてこれは秘密ですが。義姉と義弟の性行為を描いたものもあります」

「秘密にしとけや!!」

 そんなことカミングアウトするなよ!?



「ちょっと借りるね~」

「あ、私も読む!!」

 早っ!?


 秋ねえも夏希姉ちゃんも手を伸ばすの早くない? ていうか、読み進めるのも早くない? なんでもう二冊目に取り掛かってんのさ。


「春斗君春斗君」

「……何? 冬華姉さん」

 いやね、わかってるんですよ。胸に渦巻く嫌な予感は絶対に的中するって。でもさ、背後に回り込まれて、目の前に開いた小説を差し出されたら無視するわけにもいかないじゃん?



「これが私のオススメです。一緒に読みましょう」

「その前にこの体勢の意味を教えて」

「春斗君が逃げないようにです」

 そんな逃げ出したくなるような内容なの!?


「私はとても感動したんです。こんな素敵な小説がこの世にあるだなんて思ってませんでしたから。ぜひ授業でも取り扱いたい内容です」

 冬華姉さん、あなたの担当は生物です。



「ちなみにタイトルは?」

「『義姉になった担任の先生が重度のブラコンだと判明した件』です」

「なんだそのふざけたタイトル!?」

 誰が書いたそんなもん!!



 ていうか冬華姉さん。

 あなたそんなタイトルの本を授業で取り扱おうなんて思ったの? バカなのかな?



「そして今から一緒に読むのは、義理の姉弟であるだけでなく、教師と生徒という禁断の関係でもある主人公とヒロインが初めての性行為に及ぶシーンです」

「おかしいでしょ、そのチョイス!!」

「滾りますよ」

 何が!? 何が滾るから冬華姉さんは人の耳元で熱っぽい息遣いしてんの!?



「私がヒロインのセリフを読みますから、春斗君が主人公のセリフを読んでください。いいですね?」

「よくないから!! 何一つとしてよくないから!! 何その破廉恥な読み聞かせ!!」

 そもそもこの手の小説を家族と一緒に読むとか意味わかんないから。



「はるく~ん。冬華ちゃんのが嫌なら、わたしのオススメを一緒に読もうよ~」

「……タイトルは?」

「『義弟をヒモにしたいブラコン過ぎる義姉が俺をダメにしようとしてくる』だよ~」

「ダメだろ、それ!! どこを狙ってんだ!?」


 冬華姉さんと言い秋ねえと言い、なんてセンスをしてるんだ。

 ていうか、この分だと夏希姉ちゃんもきっと──。


「二人とも春斗から離れて。春斗が困ってるでしょ!!」

 おお、予想に反して夏希姉ちゃんが真っ当に冬華姉さんと秋ねえを注意してくれてる。

 そうだよ。そうなんだよ。

 あんまりそう思う機会はないけど、夏希姉ちゃんは根っこが常識人なんだよ。

 だから、今の俺たちの会話がおかしいって、きっとそう思ってくれたんだ。



「それに、春斗が読みたがってるのは私のオススメ、『お姉ちゃんとえっち』だよ!!」

「直球過ぎてアウト!!!!」

 誰だよ、夏希姉ちゃんを常識人とか言ったのは……。ある意味一番ダメじゃねぇか。



 ていうか、冬華姉さんはどこでそんな本を見つけてきたんだ。

 どうせそこに積み上がってるのも全部そんな感じなんだろ?


「まあ、確かに春斗君にはちょっと刺激が強すぎるかもしれませんね」

 ええ。そういうタイトルの本を義姉と一緒に読む緊張感は、俺には刺激が強すぎます。


「そっか~。じゃあ、はるくんが読んでも大丈夫になったら、一緒に読もうね~」

 その時が一生来ないのを切に願ってます。


「春斗春斗。えっちな内容だから気を付けてね。私、びっくりしちゃった」

 そこはタイトルで気づこうか!? 


 今日は朝から平穏だと思ってたのに、結局いつもの土曜日じゃないか。

 賑やかなのは悪くないけど、なんかもっとこう、健全な賑やかさが欲しいです……。


「さてと。それじゃあ話を戻しましょうか」

 もうすでにクタクタなんだけど、まだ何かあるの?


「『お姉ちゃん』、『姉さん』、『姉ちゃん』、『姉様』、『ねぇね』、『姉貴』。春斗君はどれが好きですか?」


 そう言えば、そんな話してましたねぇ!?

 その後のインパクトが大きすぎてすっかり忘れてけど。


「結局さ。その質問ってどういう意味なの?」


「はるくんがわたしたちをどう呼びたいかって話だよ~」

「どうもこうも。いつもの呼び方でいいじゃん」

「ん~いつもの呼び方もいいけど、それだと『お姉ちゃん度』が低いじゃない?」

 じゃない? って言われても……。そもそも『お姉ちゃん度』って何さ。

 夏希姉ちゃんって、たまに何言ってるかわかんなくなるよね。



「これは間接的に春斗君の『弟力(おとうとりょく)』が試されているということになります」

 ま~た、わけわかんない単語が出てきた。

『弟力』って何だよ。どういうベクトルが働いてる力なの?

 誰か教え──なくていいや。どうせ頭が痛くなる内容だろうし。


「これだけの素晴らしい文献を読んで、私は思ったのです」

 何を? って聞かなきゃダメか? それでいつも突拍子もないこと言われるのに?


 でも、これもよく知っている。

 俺が質問なんてする必要はない。結論は姉さんたちの中にすでにあるのだから。


「私たちももっと『姉弟力(きょうだいりょく)』を高めなければならない、と」


 厳かに言われても意味がわかりません!!


「確かにね~。わたしももっとはるくんと仲良くなりたいって思ってたし~」

 秋ねえすごくね!?

 今の冬華姉さんの話が理解出来るんだ!?


「そうだよね。春斗とはもっともっと仲良くなれるもんね!!」

 待って待って。

 夏希姉ちゃんのテンションが高くなった理由がわからないんだけど!?


「二人ならきっとわかってくれると思っていました。春斗君もいいですね? これから私たちは姉弟としてもっと仲良くなるための『さらにラブラブ強化期間』に入ります」


 え、待ってわからない。

 冬華姉さんが何を言ってるのかもわからないし、秋ねえと夏希姉ちゃんがそんなに盛り上がってる理由も、何一つとしてわからないんだけど!?


「それではこのまま会議に入ります」


 えー、マジで……?



8話は2/11の20時投稿です!

9話は8話投稿の際にお知らせします!

  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。