香港で学生4人逮捕 国安法違反、デモ以外では初めて
香港で29日、香港国家安全維持法(国安法)に違反した疑いで、学生4人が逮捕された。デモ以外で、同法に絡んで逮捕者が出たのはこれが初めて。
警察は4人について、国安法が施行された7月1日以降に、ソーシャルメディアで中国からの「分裂を扇動した」疑いがあると述べた。
独立を支持する団体「学生動源」は、逮捕された人には鍾翰林元代表が含まれているとした。
同法違反での逮捕はこれまで、抗議デモでのスローガンや横断幕に関するものだった。
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国安法は、国家転覆や分裂活動、外国勢力との結託を犯罪と定めている。
中国政府が制定した国安法については、香港の自由を損なうとの批判が出ている。これに対し中国政府は、香港で昨年見られたような民主化要求デモを阻止するために必要な法律だと主張している。
どんな逮捕だったのか
警察によると、逮捕されたのは16~21歳の男3人と女1人。
香港警察に新設された治安維持部門の担当者は、「入手した情報と捜査から、この集団が香港の独立を訴える組織を作ると、ソーシャルメディアで発表したことがわかった」と述べた。
また、コンピューターや電話、書類を押収したとした。
逮捕された4人は、「学生動源」の元メンバーか、同団体と関係があるとされる。同団体は国安法施行前の6月に解散したが、外国で活動を続けるとしていた。
警察の担当者は、「国安法を破るよう呼びかける者に対しては、それが海外からであろうと、我々は捜査する権限をもつ」と述べた。
ソーシャルメディアには、香港・元朗区で、手錠をはめられ連行される鍾氏の写真が投稿された。
学生動源によると、鍾氏は29日午後8時50分ごろ、拘束された。その際、警官らは鍾氏の私物をいくつかの袋に入れて持ち去ったという。
著名な民主化活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏は、鍾氏が数日間、警察に尾行されていたと述べた。
黄氏によると、鍾氏はフェイスブックに「中国のナショナリズム」に関する投稿をしたことで逮捕された。4人の逮捕後まもなく、各人の携帯電話はハッキングされたという。
黄氏は、「今夜の逮捕は明らかに、香港のオンライン言論空間に萎縮効果をもたらす」とツイートした。