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義姉たちが全員重度のブラコンだった。 作者:個味キノ/藤宮カズキ

共通ルート 第一部

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夏希姉ちゃんは学園のアイドルです

※2/05 改稿版に変更しました!

今回は夏希姉ちゃんのエピソードかつ学園での皆の立ち位置説明みたいな感じです。

 

「あの生徒会長が姉なんて羨ましすぎるだろ。いいよなー、美少女とひとつ屋根の下」


 他人事だからそうやって楽しめるんだからな?

 相葉佑樹(あいばゆうき)。我が親友よ。


 一度でいいから、あの三姉妹の相手をする苦労を経験してみればいい。


「てかさ、佑樹。昼休みの度にその話題持ち出すのやめない?」

 教室にいる時くらい姉さんたちから解放されたいし。


優美(ゆみ)だっていつもこの話じゃつまんないだろ?」


 俺の呼びかけにびくっと肩を跳ね上げたのは、幼馴染の(みなと)優美(ゆみ)だ。

 昼飯は大抵、俺と優美、そして佑樹の三人で食べている。


「え、や、あはは。あ、あたしは別に気にならないかなー……、なんて」

 誤魔化すの下手くそか!

 昼飯に手すら付けないで思いっきり聞き耳立ててだろうが。



「そんなに気になるか、姉さんたちのこと」

「な、なるに決まってるでしょ!?」

 えー、逆切れ……?


「あんなに可愛くて気さくで、しかも生徒会長に選ばれるぐらい皆に慕われてる人がお姉ちゃんなんて……。自信失くすじゃん」

 なんのだよ。


 はた目から見れば優美だって十分かわいい部類だろうに。あーでも、こいつは知らないのか、同学年では男子人気1位だって。


 さすがに学校1位ってなると、夏希姉ちゃんがいるからアレらしいけど。


「何、さっきから人の顔をじっと見て。……変態」

「それはさすがに言いがかりだろ」

「もしかして『お姉さん』のこともイヤらしい目で見るわけじゃないよね?」


 見てません。むしろイヤらしい目に遭わされてます。


「え、否定しないの……?」

「バカな質問過ぎて呆れてただけだ」

「バ、バカって何よ!? 幼馴染に対してひどくない!?」

「先に変態って言ってきたのはそっちだろ!?」

「だって家族に欲情するなんて変態じゃん!!」


 おっと、それはうちの義姉たちが変態だって意味か?

 否定し切れないとこがやるせない……。


「ダメだからね。お姉さんに手を出すなんて。春斗の身近には、他にも女の子いるんだしっ」

「優美とか?」

「……っ!? そ、そう!!」

 なんで一瞬詰まったんだよ。お前、自分の性別をちゃんと認識してるか?



「は、春斗にあたしが落とせるかな!?」

「はは、無理かもな」

「なんで初めから諦めちゃうの!?」

「え、や、なんでって。そりゃまあ、ジョークだから……?」


 え、なに。

 ただの雑談に、なんでそんなにガチトーン?


「春斗がそんなに根性なしだって思わなかったよ!!」

 なんでそんなこと言われなきゃなんないの!?


 優美、俺が姉さんたちと暮らし始めてからこっち、日増しにおかしくなってるぞ。

 ちょっと前までは普通に素直な感じだったのに、どうしたよ。


「ちくしょー、ひとりでいい思いしやがって。なあなあ春斗、俺も生徒会長に会わせろよ。あ、そうだ。今日春斗の家に遊びに行ってもいいか?」

「ダメ」

「即決!? もうちょっと悩めよ!?」

 バカ野郎。家での姉さんたちを他人に見せられるわけないだろうが。


「じゃあ、春斗。今日の放課後、暇なの……?」

「ああ、放課後なら──」


「失礼します!! 志木春斗君はいますか?」


 優美に返答しようと思った矢先──夏希姉ちゃんがクラスにやってきた。

 タイミング良すぎてどっかで見られてんのかと思ったわ。


 しかしそんな俺の驚きはよそに、クラスは一瞬にして静まり返る。


 だけどまあ、それも致し方なし。

 学校一の有名人で、半ばアイドル扱いされてる夏希姉ちゃんが突然教室のドアを開ければ、他のどのクラスだって似たような反応になるだろう。


 それに、夏希姉ちゃん声でかいし。


「あ、春斗、見つけた!!」


「すご、みんな注目してる」

「そりゃまあ、生徒会長だし」

 そう言う優美と佑樹も昼飯そっちのけでこちらに歩いてくる夏希姉ちゃんを見ている。


 ていうか二人だけじゃないな、クラス全員分の視線を引き連れてるよ。


「ねえ、春斗。今日の放課後って暇でしょ? 一緒に夕飯の買い物行こ」

「いいけど。夏希姉ちゃん、それを言うためにわざわざ教室に来たの?」

 スマホで連絡くれればよくない?



「ううん。それはついで。春斗の顔を見にきたの!」

 ……満面の笑みでド直球にこんなこと言うんだから、我が義姉ながらすごいわ。


「じゃあ、帰りに校門前で待ち合わせね! あ、言っておくけど、先に帰ったらダメだからね。そんなことしたら夕飯抜きにするよ」

「しないから大丈夫だって」

 何しろ買い物に付き合えば、おかずを一品増やしてくれるし。今日は何をリクエストしようか。



「用件はそれだけ?」

 家と同じようなことをされても困るし、出来れば早く帰ってもらいたい。



「んー。あ、そうだ!」



 俺の問いかけに何を思いついたらしい夏希姉ちゃんは、俺の横まで回り込んでくると──。



「デートだからね♡」



 ちゅ、と頬に今日一番の爆弾を投下しやがった。

 だから、そういうのをやめろっての!? 教室が大騒ぎじゃん!!


「じゃ」

 って、いや待って!!

 満足そうに帰らないで!!

 今の教室で俺を一人にしないで!!



「春斗」

「ゆ、優美……?」

 お前、今どっから声出した……? 迫力が半端じゃない。



「イヤらしいことなんてないって言ってたよね!?」

 あー、はい。言いましたね。

 でも聞いてください。それは俺から姉さんへのものであって、向こうから俺への接し方はって、なんで優美がテンパってんの!?



「あ、あたし、どうしたらいいのよぉ!?」

 それはこっちのセリフだ!!

 どうすんだよ、このクラス。

 あ、こら佑樹お前どこに行くッ。他クラスにまで拡散しようとすんじゃねえ!!



 結局、この日は放課後までずっとクラスメイトからひそひそと噂され続けた……。

 佑樹は呪いのように「羨ましい」を連呼してくるし、優美に至っては午後の授業中ずっと頭を抱え続けてるしで……。



 はあ、俺が一体何をしたって言うんだ。

 これが義姉を持つ苦労だよ、ちくしょうッ。

次の話も改稿版に変更しました!

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