資産インフレしやすいマンションは立地によるところが大きいが、もう一つはそのエリアにマンションの供給量が多いことがあげられる。ただしマンションの供給量が多いからといって、資産インフレを起こすわけではない。あくまで好立地であったうえで、マンション供給量も兼ね備えているということが大切なのだ。
では、これを見分ける具体例を示していこう。
マンションの供給戸数が多い鉄道の駅をランキングし、上位30を示したのが以下の表になる。
1位・川崎、2位・川口、3位・豊洲、4位が戸塚で、近年のマンションの大規模開発で大きく変貌してきた駅が並んでいる。川崎は主に京浜工業地帯の工場が、川口は鋳物工場が、豊洲は企業が土地を大量に放出してできた再開発の街だ。つまり、大量供給できるだけの土地があったエリアである。
ところが、1位の川崎と3位の豊洲ではマンション一戸当たりの値上がり額が大きくなっている一方、2位の川口や4位の戸塚では対照的に大きく値下がりしていることがわかる。
ほかにも5位の武蔵小杉・横浜・藤沢・八王子・町田・柏・松戸駅などJRの駅が数多くランキングしているが、武蔵小杉・横浜の各駅が1個当たり1000万円以上の値上がりを見せているのに対して、藤沢、八王子・町田・柏・松戸の各駅では300万円以上の値下がりしている。おなじJRで供給量の多い駅でもこれほどの差が生まれるのだ。
このトップ30のランキングで見ても、値上がりしているのは11駅にとどまる。供給量が多くても3分の2はデフレとなっていて、マンション立地としては資産性が低くなる傾向にあることに気をつけて欲しい。マンションは「立地+供給戸数が多いこと」を条件にエリアを吟味し、選ぶものなのである。
次に各駅のマンションの総戸数に現在の資産額(中古時価)を掛けて「資産総額」をはじき出してみると、また別の魅力的な駅が浮かび上がってくる。それが下記「資産総額ランキング」だ。
表中、マーカーのついている駅は一戸当たりで〝値下がり″した駅を示している。この資産総額ランキングのトップ30駅は、そのほとんどが値上がりしていることがわかるだろう。
トップ3は豊洲・勝どき・武蔵小杉で、豊洲は現資産額が1兆円を超える。トップ9位まではすべて値上がりした駅。ランキング20位に限れば、川口と海浜幕張以外はすべて値上がりしているのだ。
だが、そのほとんどが23区内になり、いざ購入しようとしても価格が高すぎるという問題が出てくるだろう。ランキングに目を凝らせば、都区部以外で値上がりした駅に三鷹・横浜・川崎・新浦安・浦和・大宮がある。都下や神奈川県・埼玉県・千葉県でマンションを探している方はこれらの駅がねらい目になるのである。