糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの

07月28日の「今日のダーリン」

・アイスクリームのことを「アイス」と省略して言うのは、
 正直言って、ぼくは賛成していませんでした。
 アイスクリームの本質的な部分はクリームで、
 それを凍らせたものだから「アイスクリーム」、
 だと思います、そう考えてました。
 でも、ちがってたみたいでした。
 なぜなら、もともと英語であるアイスクリーム、
 英語でも省略する場合は「アイス」らしいのです。
 俺の負けだぜ、これからはなるべく「アイス」
 ということばと、親しく付き合ってく所存です。

 しかし、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」を、
 「コロナ」と省略するのは(ぼくも、でしたが)、
 もうやめにしたいものだと考えています。
 もともと「コロナ」って「冠」みたいな意味の、
 ステキなことばだったわけでしょう? 
 だからクルマやらビールやら会社の名前にもなっていた。
 で、ウイルスにも周囲が冠みたいな形状のものがあって、
 そういうものを「コロナウイルス」と呼んでたわけです。
 見た目が「コロナ(冠)」っぽいウイルスということで。
 だから、つまり実体はウイルスなんですよ。
 「コロナのせいで、売上げがガタ落ちだよ」と言うけど、
 実のところは「冠のせい」じゃなくて、
 新型の「ウイルス感染症」のせいですよね。
 「コロナ」というニックネームで呼んでしまうから、
 イメージ的に、やや憎めない感じになっちゃう。
 実態は感染症なんです、正体はウイルスなんです。
 ぼくも、ずっと「コロナ」と言ってきたのは反省します。
 もっと「ウイルス感染症」なんだと思いましょうよ。

 同じニュースを見るときでもね、
 「えっ、今日はウイルス感染が200人か」と言うほうが、
 「えっ、今日はコロナが200人かぁ!」と言うよりも、
 ずっとリアルな感染症の話になるじゃないですか、
 こっちのほうがずっと実態に近いんですから。
 手洗いするのも、マスクするのも、三密を防ぐのも、
 「ウイルス感染」への防御なんです。
 そんな言い換えはくだらないとかも言われそうだけど、
 「ウイルス感染症」という実感をもつためには、
 そのまま「ウイルス」ということばを使いましょうよ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「新型コロナウイルス感染症」は「ウイルス感染症」です。