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「かぐや姫の物語」最大のミステリー? 御門のアゴはなぜ長い

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さて、御門のアゴ。細長く尖っているという特徴は、平安前期よりも江戸~現代に近い。「下顎だけがめちゃくちゃ発達したんだ!」と捉えられなくもないが、うーん、ちょっと厳しい。そもそもキャラクターの外見について時代考証を正確にしていくと、かぐや姫はおかめ顔になってしまう。どうやら原作の御門のアゴは、そう長くはなかったようだ。

アゴの秘密には、もっと簡単な答えがあった。
『かぐや姫の物語』パンフレットのキャスト一覧ページ。キャラクターと演じた俳優が似ていることに気づく。伊集院光と阿部右大臣なんかはそっくりで、もはや似顔絵だ。
高畑勲作品は、プレスコ(声を先に録り、声に基づいて絵をつける方式)を採用している。そのため、各キャラクターは声(俳優)の影響を強く受けることになる。
「スタッフは朝倉(かぐや姫を演じた朝倉あき)の声を毎日聴きながら、彼女の声を元にかぐや姫のイメージを膨らませながら作業を続けた。どことなくかぐや姫が朝倉あきに似ているのは偶然ではないのかもしれない」(『かぐや姫の物語』パンフレットより)
同じことが、御門についても起こっている。御門を演じる中村七之助の顔の輪郭は、シャープでおちょぼ口気味。歌舞伎役者は江戸時代からアゴ長が多い。400年近くアゴ長の血を脈々と継いできた中村七之助。彼の声によって、御門のアゴはどんどん伸びていくことになった。
でも、なにもそこまで伸ばさなくても……。
高畑が日本美術について書いた

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2013年11月27日のレビュー記事

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