兵庫県立大学の研究者が流体工学の知見を応用し、新型コロナウイルスの感染対策におけるマスクの効果を検証した。その結果、通常の呼吸をするだけでも呼気はジェットのように放出され、約1メートル先まで到達。ウイルス濃度の高い飛まつを周囲に広げる可能性のあることが分かった。一方、マスクを着用すれば呼気の広がりを抑えられ、感染防止につながる一定の効果が確認された。(井沢泰斗)
研究するのは同大大学院工学研究科(同県姫路市書写)の高垣直尚助教(39)や河南治教授(44)ら。普段は台風強度の予測や宇宙環境での熱制御の研究に取り組むが、流体工学の基礎とされる「空気の流れ」に関する知見を生かし、感染対策を検証することにした。
実験では、暗室内にスモークを充満させてレーザーを当て、マスクの有無によって呼気の流れがどう変化するかを可視化した。
マスクなしの場合、平均で毎秒10センチほど進む「呼気ジェット」が口から噴出され、約1メートル先にまで達すると分かった。ウイルスが詰まった飛まつも気流に乗って広がり、空気中を漂って他人の体内に入ることで、感染につながるという。
一方、不織布マスクを着けた場合は呼気ジェットが起こらず、飛まつも飛び出さなかった。極小のウイルスはマスクを通って漏れる可能性はあるが、気流が生まれないため狭い範囲にとどまり、濃度も低い。布マスクも同様の効果が期待できるが、耳元の隙間から呼気が漏れ出るのが確認された。
「マスクで呼気を抑制した上で室内を換気すれば、感染のリスクは低減できるということ」と高垣助教。「マスクやソーシャルディスタンスなどの『新しい生活様式』が、どういう効果を持つのか。科学的根拠を知った上で対策に取り組んでほしい」と意義を説明する。
研究結果は動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開している。今後は「ランニング中にマスクは必要か」など、学生から質問の上がった内容も検証していくという。
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