安全に乗るためには?


 

安全に乗るためには「バシャモブトウシ」?

電動バイクを安全に乗りこなすためには、まず車体がきちんと整備されているかチェックする必要がある。もちろん、製品としてメーカーから出荷されるときに点検整備はされているはずだが、自分が電動バイクのオーナーとなったからには最低限のことはできるようになっておきたい。手入れをすれば良好なコンディションで長く乗り続けられるのは、自転車でも電動バイクでも同じである。「バイク」というと何だか難しい気がするが、「電動バイク」の場合、構造は基本的にシンプルである。気軽にメンテナンスを楽しんでもらえればと思う。

 

走り出す前にはまず車体周りに異常がないかグルッと見回してほしい。教習所で習った「ネンオシャチエブクトウバシメ」という言葉を覚えているだろうか。運行前点検の基本項目を表したものだが、電動バイクも基本的には同じ。つまり、ネン(燃料)=バッテリー残量、オ(エンジンオイル)=無し、シャ(車輪)=タイヤの摩耗や空気圧など、チ(チェーン)=インホイールモーターの場合は無し、エ(エンジン)=モーターまわり、ブ(ブレーキ)=ブレーキの効きやパッド残量など、ク(クラッチ)=無し、トウ(灯火類)=ヘッドライト、テールライト、ウインカー類、バ(バッテリー)=「ネン」に同じ、シメ(締め付け)=ボルトの増し締めなど。

 

こうして書き出してみるとエンジンバイクと比べて、チェック項目が少ないことが分かるだろう。構造がシンプルゆえのメリットである。電動バイク流に言いかえれば、「バシャモブトウシ」=バッテリー、車輪、モーター、ブレーキ、灯火類、締め付け、等をチェックしておけばまず安心だろう。

 

特に「タイヤ」や「ブレーキ」の状態は走行性能や安全性に大きく関係するため、必ず目視してほしいところだ。また、バックミラーやサイドスタンドなども、長く乗っているうちに振動などで緩んでくることがあるため、たまにチェックしてみて必要ならば「増し締め」しておこう。バッテリー残量についてはメーター誤差が大きいことが多く、停車中と走行中で残量表示が異なる場合も少なくない。メーターはあくまでも目安として、早めの充電をこころがけたい。

 

こうした最低限のセルフメンテナンスをしておけば、大きな故障につながる前に異常を発見して対処しやすいし、愛車と触れ合うことで愛着も一層増すはずだ。そのためには、ひととおりの工具セットを揃えておいて損はないと思う。何も高価なブランド品である必要はない。バイク用品店などを探せば、バイク用のリーズナブルなセットがあるはずだ。もちろん、自分では対処できないようなトラブルや重整備の場合、電動バイクを取り扱っている専門のバイクショップで診てもらうことをおすすめする。楽しみながらしっかりメンテナンスして、安全で快適な電動バイクライフを始めてもらいたい。

 

文/ケニー佐川

 

執筆者紹介
ケニー佐川 (佐川 健太郎)

Web!ke みんなのスクール」校長
モト・マニアックス」代表
ライディングアカデミー東京」校長
MOTOCOM」編集長

国産・外車を問わずミニモトからビッグバイクまで、どんなバイクでも乗りこなすモータージャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。
16歳でホンダ初の2スト50ccスポーツモデル、MB50の“スピードとパワー”に魅せられて以来、バイク歴30年で乗り継いだバイク30台、テストライド経験300台以上。装備や用品、カスタムパーツのテストも数多くこなしてきた。
低速系からサーキットまでライテクに造詣が深く、ライテク関連記事も多数執筆。
メーカー系イベントや各種スクール、走行会などで講師を務める。「鈴鹿4時間耐久ロードレース」や「もてぎ7時間耐久ロードレース」など、モータースポーツにも積極的に参加。MFJ公認インストラクター。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。
愛車はトライアンフDAYTONA675、CB1300SF、エイプ100。63年東京生まれ。

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