バッテリーは電動バイクのガソリンタンク
エンジンバイクのガソリンタンクに当たる部分が、電動バイクのバッテリーです。このバッテリーの容量が大きければ大きいほど、バイクの航続距離が長くなります。
しかし、ガソリンタンクのように、減ったらガソリンスタンドで簡単に給油・・・というわけにはいきません。バッテリーには充電時間が必要になるのです。それならば容量の大きなバッテリーを搭載すればいいと考える人もいるでしょう。ところが容量の大きなバッテリーを搭載すれば、当然スペースも必要になるだけではなく、重量も重くなりコストも高なってしまうのです。
電気自動車の普及の足かせになっているのもこの部分で、航続距離を伸ばしたい→バッテリー容量の増大→コスト、重量増、充電時間の問題・・・というループに陥ってしまいます。
しかし電動バイク、特に電動スクーターの場合には、シティコミューターとして捉えれば1充電で走れる距離はそれほど必要ではありません。つまり電気自動車の足かせになっている部分が、それほど重要ではなくなってきます。
つまり現在のEVの技術で考えるなら、電気自動車よりも電動バイクは一番現実的なEVといえるでしょう。
なぜ電動バイクは12Vじゃないのか
車やバイクに使用される電装機器の電圧は12Vが一般的です。しかし電動バイクに使われるバッテリーは48Vや60Vと高圧です。そのため12Vバッテリーを直接に繋いで、48Vや60Vの電源としているものがほとんどです。黎明期には12Vそのままや24Vもありましたが、徐々に36Vなどと高圧になり、現在の状態になっています。
電気はその特性から仕事量が同じ場合、電圧が低いと大きな電流が必要になり、電圧が高いと小さな電流で済みます。つまり高圧の方が効率がよく、コントロールする電流も少ないので、配線も細くすることができるのです。
ただし灯火類などの電装品は、一般的なバイクの物を使っているため、コントローラーに内蔵または接続されたコンバーターで、12Vに降圧して電力が供給されています。
ちなみに電気の送電線も高圧で送電しています。これも長距離送電での電力ドロップを防ぐ意味もありますが、送電線自体を細くする(軽くできる)ためでもあるわけです。
バッテリーは鉛かリチウムイオンの2種類
電動バイクに搭載されているバッテリーには、大きくわけて鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーの2種類があります(シリコンバッテリーといわれる物は基本的に鉛バッテリーと同じ)。
鉛バッテリーは電極に鉛を使った最も一般的なバッテリーで、バイクや自動車など数多く使われているものです。一番のメリットは安価ということです。
これに対してリチウムイオンバッテリーは、エネルギー密度が8倍ほど高く、小さなサイズで大きな容量を持っています。つまり同じ容量比でいうなら軽くでき、同じサイズであればより大きな容量を持たせることができ、1回の充電で走れる距離が伸びます。
そんなEVにはぴったりの性能を持つリチウムイオン電池ですが、唯一のネックは高いということです。
単純にレアメタルを使っている部分もありますが、電圧や温度などを各セルごとにしっかり管理してやる必要があり、そのためBMS(バッテリー・マネージメント・システム)という装置が組み込まれ、実際には過充電を防ぐ、過放電を防ぐ、過電流を防ぐ、セルの温度上昇を管理する、セル電圧の均等化、といった仕事をしています。それがさらにコスト高の理由にもなっています。
ただしこのBMSで管理されているので、充電時間の自由度も高く、鉛バッテリーよりも短時間で充電することも可能になるという実用性の高さも魅力です。
電動バイクのバッテリーは最大の消耗品
エンジンが無くメンテナンスコストの掛からない電動バイクですが、寿命があるバッテリーは確実に消耗部品といえます。
バッテリーは一般的に過充電か過放電することで寿命を短くすると言われていますが、電動バイクのようにフル充電の状態から、一定の電圧まで放電させるような使い方は、エンジンで充電しながら使っているエンジンバイクのバッテリーより、厳しい条件での使用となります。鉛バッテリーの場合、このサイクル充電寿命は500回程度と言われていますが、実際には200~400回程度を考えておくといいでしょう。
この寿命というのは使い方次第でかなり幅が広くなります。ですからバッテリーの特性を理解した使い方をすることで、寿命を延ばし交換出費を抑えることも可能になります。
まず鉛バッテリーの場合には、フル充電の状態が一番保管劣化が低くなるので、乗り終わったらフル充電。しばらく乗らない状態でも1週間に1回は充電しておきましょう。
逆にリチウムイオンバッテリーの場合には、半容量程度の状態が一番劣化が低いと言われていますから、乗る前にフル充電をするようにし、しばらく乗らないようならメーター半分ぐらいの状態を維持するような継ぎ足し充電をしておきましょう。
さて、電動バイクの基本的な部分はこの程度にしておき、次回はより電動バイクを快適にするためのカスタム編です。
文/おまかせ牧田
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