県内では絶滅したとされている国の特別天然記念物「二ホンカモシカ」。その姿が今月16日に約半世紀ぶりに確認され、県は「県内で生息している可能性が高くなった」と判断しています。

河野哲寛記者「この別子山で発見されたニホンカモシカですが、あたりは木に囲まれていていかにもニホンカモシカが出てきそうです」

道路の真ん中を疾走する動物。国の特別天然記念物ニホンカモシカです。6月16日、新居浜市別子山の県道で走行中の車のドライブレコーダーがその姿を捉えました。

ニホンカモシカはかつて県内でも石鎚山系などに生息。しかし戦後まもなく西条市で捕獲された記録を最後に、50年以上生息が確認できない状態が続いていたため、愛媛県版のレッドデータブックは2014年から「県内絶滅」に分類しています。この半世紀ぶりの目撃に地元の住民たちは…

地元の住民「(カモシカを)見たことはありませんね。普通のシカとかは家の近くにも出てくるしイノシシも出てくるけど。見てみたいと思います」

地元の住民「一匹おるんなら、まだおるわ」

ニホンカモシカと判定したのは、県内に生息する哺乳類に詳しい西条自然学校の山本貴仁理事長。判定を写真でしましたが、今回初めて映像を見てもらうと改めて驚きと興奮を示しました。

西条自然学校・山本貴仁理事長「一回絶滅ないし絶滅したかもしれないものが再発見されるっていうのは、けっこうインパクトですよね」

山本さんによると二ホンカモシカは四国では高知県などに生息。しかし二ホンジカが増えて植物を食べてしまって二ホンカモシカが食べる食料がなくなり、愛媛に逃れて発見されたのではないかとみられています。

山本貴仁理事長「愛媛としてはうれしいことではあるんですけど、一方で剣山系で拡大しているとはいえ数が増えているわけではないので、生息に適したところがシカによってなくなってしまって、外に広がったんじゃないかと言われているので」

実はニホンカモシカは県内でおととし、高知県境近くの西条市内の山中でも発見されています。しかしこの時は高知から迷い込んだ可能性もあり、県内で確認という判断にはなりませんでした。

しかし今回の発見で次回のレッドデータブックでは、絶滅危惧から変更される可能性もで浮上。県はニホンカモシカ保護のため見つけても近づいたりせずにその場を立ち去るよう呼びかけています。