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“開放特許”を活用し自社の強みを商品化!!
~「知財ビジネスマッチング事業」成功事例と28年度事業のご紹介~
担当課室:産業技術課 特許室

最終更新日:平成28年7月1日

近畿経済産業局では大企業等が保有する開放特許の活用により中小企業の新規事業創出や事業化に向けた技術的課題の解決をする「知財ビジネスマッチング事業(事業内容は後半に掲載)」を自治体や金融機関、支援機関と連携して実施しています。開放特許とは、特許権者が、権利者以外の他者に対してライセンス許諾する用意のある特許のことを言います。

本事業では、中小企業に対するコーディネート等を担う機関のひとつとして、堺市と連携をしています。その中から、自社の強みを活かして商品化に成功した2つの企業をご紹介します。

(1)タバタ株式会社(大阪府堺市)

高い抗菌性と衝撃吸収性を持つ人工畳

タバタ(株)の高い抗菌性と衝撃吸収性を持つ人工畳
タバタ(株)の高い抗菌性と衝撃吸収性を持つ人工畳

堺市の畳メーカー タバタ株式会社は、天然の各種高級畳をはじめ、カラー畳や、水洗いが出来て清潔さを保てる介護用畳、摩擦に強いレザー生地で引っかきにも傷がつきづらいペット用畳等、特殊用途を持った畳の取扱を行っています。

今般、株式会社神戸製鋼所の特許技術である高機能抗菌鍍金技術「ケニファイン」を活用し、大阪府立産業技術総合研究所の技術協力のもと、高い抗菌性と衝撃吸収性を持つ人工畳を商品化しました。

「ケニファイン」は、ステンレス、アルミ、銅合金などの各種金属製品及び一部の樹脂製品に、優れた抗菌性を付与できる新しいコーティング技術です。従来の無機系抗菌材料に比べ、抗菌性だけでなく、防かび性、防藻性、抗ウィルス性が高く、さらに耐久性にも優れています。

すでに、食品・飲料、医療・福祉、空調・電機、厨房・生活用品、漁業、アミューズメントなど、さまざまな分野で適用されています。これを畳に応用することにより、清潔・安全・快適を追求した柔道畳を実現しました。

柔道畳に白癬菌(水虫菌)に強い抗菌効果と優れた防カビ性を持たせ、従来の抗菌技術と比べて10倍以上の抗菌スピードと、その後の菌の繁殖を抑制します。また、カビの生育を抑制する作用は、銀系抗菌剤の50倍以上とされています。

さらに大阪府立産業技術総合研究所の協力のもと、芯材に優れた衝撃吸収性と高い競技性をもたせ、より安全性を追求しました。なお、商品名は漫画「柔道部物語」の作者小林まこと氏の協力により、同作品名からネーミングしています。

(2)マック株式会社(大阪府堺市)

光で抗菌できる包丁

マック(株)の光で抗菌できる包丁
マック(株)の光で抗菌できる包丁

堺市の刃物メーカー マック株式会社は、家庭用ナイフをはじめ、プロ用ナイフ、硬いドリルの先なども鋭く磨く砥石、ガーデニングツールの剪定鋏や枝切り鋏の取扱を行っています。

今般、富士通株式会社の特許技術である光触媒「チタンアパタイト」を活用し、光で抗菌できる包丁を商品化しました。

「チタンアパタイト」は、人間の歯や骨に含まれるカルシウムヒドロキシアパタイトを主成分とする新しい光触媒材料です。吸着性があり、吸着した菌や汚れを全て分解するという特徴があります。インフルエンザウイルス、大腸菌、クロカワカビ、黄色ブドウ球菌とその算出する毒素エンテロトキシンに対し99.99%の分解力があることが確認されています。

主に、空気清浄機のフィルターやエアコンのフィルターに適用されていますが、これを包丁の持ち手に応用し、包丁を洗って乾かしている間に同時に抗菌できる優れものを実現しました。

手になじむグリップの形や、指が入って力を入れやすい刃のくぼみなど、扱いやすさも抜群の商品です。

知財ビジネスマッチング事業

近畿経済産業局では、平成23年度より、自治体や金融機関、支援機関と連携し、大企業等の開放特許活用により中小企業の技術課題の解決や、アイデアを形にすることを支援する「知財ビジネスマッチング事業」を実施しています(現在の参加大企業等27社、開放特許227件)。

冒頭にも記したとおり、開放特許とは、特許権者が他者に対してライセンス許諾する用意のある特許のことを言います。権利者とライセンス契約を結んだ他者が、その特許技術を商品開発などに活用することにより、自社の保有技術だけでは困難だった画期的な新商品・新製品が開発できる、開発期間やコストを大幅に削減できる等といったメリットがあります。

本事業は、大企業等から開放特許として情報提供いただいた特許をシーズとし、近畿圏内の金融機関や自治体、中小企業支援機関と連携し、その保有するネットワークとのビジネスマッチングを推進するもので、ライセンシー候補となる中小企業の発掘から大企業との面談、ライセンス契約、商品化に至るまでの一連のプロセスを支援する知財活用モデルを推進しています。

主なマッチング支援内容

ライセンサー大企業のシーズを広く発信することでシーズに基づくアイデアの提案者を募る「シーズ探索型」と、各中小企業を個別に訪問・ヒアリングし、その課題・ニーズごとにあったシーズでマッチングを提案する「ヒアリング型」の2つを主な形態として実施しています。シーズ及びニーズの双方向からアプローチする知財活用モデルを実施することにより、より精度・確度の高いマッチングを目指しています。

さらに、中小企業自らがライセンサーとなり、自らの知財を他社とマッチングさせることを目的とした発表の場を設け、中小企業の持つ特許の活用についても取組を進めているところです。

加えて、近畿地域で知財ビジネスマッチング事業に取り組んでいる、又は取り組もうとしている自治体、中小企業支援機関等と連携し、知財ビジネスマッチング事業のノウハウの提供や、ライセンサー大企業等の窓口対応を効率化するシーズ集の共通など、ネットワーク化についても今年度より積極的に取り組んでいきます。

知財ビジネスマッチング
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掲載関連情報

企業名
タバタ株式会社外部リンク
所在地
大阪府堺市西区草部692番地
電話番号
0120-71-3364
企業名
マック株式会社外部リンク
所在地
大阪府堺市堺区戒島町2丁25堂之本ビル3階
電話番号
0120-007-418

関連施策へのリンク

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このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 産業技術課 特許室

電話:06-6966-6016

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