ポンペオ長官“怒りの演説”が中国共産党に突きつけた「究極の選択」

中国が「国家体制」を替えなければ…
近藤 大介 プロフィール

・(対中関与政策を決めた)ニクソン大統領は中国にとっての、また激しい冷戦時代の優等生だった。そしてわれわれ皆がそうであると思われるように、中国国民にとっての崇拝者にもなった。

・ニクソンは1967年、『フォーリン・アフェアーズ』にこう寄稿した。「長期的視野に立てば、中国を永遠に仲間の国々から引き離しておくわけにはいかない。中国が変わっていくまで、世界は平和ではいられない。そのためわれわれの目的は、ある程度、状況に影響を与えねばならない。目標は変化を導くことだ」。こうして北京への歴史的外遊を伴ってニクソンは関与戦略を始めた。

・だが中国人に拳(こぶし)を振り下げてみたら、われわれが目にしたのは中国共産党がわれわれの自由で開かれた社会を悪用したことだった。中国はアメリカの記者会見、研究所、高校や大学、果てはPTAの会合にまでプロパガンダを送り込んだのだ。

・われわれは台湾という友人を阻害したが、後に活発な民主主義の花を咲かせた。一方の中国共産党とその政権には最恵国待遇を与えたが、そこで目にしたのは、西側の企業に中国への入場券を与える代わりに、中国共産党の人権侵害に沈黙を強いることだった。

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・中国はわれわれの貴重な知的財産と企業秘密を取りはがし、それはアメリカ全土の何百万人もの雇用に影響を与えた。そしてアメリカからサプライチェーンを引き抜き、奴隷労働によって作られた製品を加えた。

・ニクソン大統領はかつて、世界を中国共産党に明け渡した時、フランケンシュタインを作ってしまったかもしれないと恐れた。だがいま存在しているのが、まさにそれだ。

・北京は「平和的台頭」と言っていた。だが理由はどうあれ、何であれ、中国はいまや、自国では権威主義を強め、国外では至る所で敵意を剥き出しにしている。

・数週間前(6月17日)、楊潔篪(中国外交トップの中央政治局委員)に再会するためホノルルへ旅したが、旧い同じ話だった。多弁だったが、文字通り態度を変えようという申し出は何もなかった。

・中国共産党の体制はマルクス・レーニン主義の体制であり、習近平総書記は破綻した全体主義思想の信奉者であるということに、われわれは心を留め置かねばならない。

・このイデオロギーこそが、中国共産主義のグローバルな覇権という習近平総書記が何十年にもわたって望んできたことを知らしめるものだ。

・共産中国を本当に変化させるには、中国のリーダーが語ることをもとにするのではなく、どう振る舞うかをもとにして行動することだ。

・レーガン大統領は、「信頼と検証」に基づいてソビエト連邦に対処すると言った。それで言うなら中国共産党に対しては、「不信と検証」によらねばならない。

 

・自由を愛する国々は、かつてニクソン大統領が望んだように、中国で変化を起こさせるようにしていかねばならない。