味わい深いストーリーが魅力。大人にこそ読んでほしい傑作ライトノベル

皇妃を偵察機に乗せ単機敵中翔破せよ、という指令を受けた飛行士シャルル。「光芒五里に及ぶ」と評されるほど美しい皇妃と、貧しいスラム街出身のパイロットというまったく異なる世界を生きる2人の恋と空戦の物語です。まるで自分もその場にいるかのような空戦の迫力と臨場感はすさまじく、2人の前に立ちはだかる運命にも心打たれます。

未来を悲観し、1年につき1万円で寿命を売り払った青年の最期の3ヵ月が描かれています。この物語では前半、主人公の抱える孤独や失望が綴られ、救いのない暗い展開が続きます。しかし、「最期の三日間」には題名の通り「尽きる前に精一杯の輝きを放つ線香花火」のような儚さや温かさが広がります。

最初は富士見ミステリー文庫でライトノベルとして発売された本書。大人の庇護下に置かれた少女たちの危うさや脆さが描かれていて、それはあまりに残酷で、悲劇的です。文庫版にして約200ページの短い物語ですが、読後には自分の中にずしんと重いものが残り、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」というタイトルの意味についても考えさせられます。

主人公キノが言葉を話す二輪車エルメスとさまざまな国を旅するファンタジーです。それぞれの国には異なる文化・価値観・習慣があり、作品全体に独特な雰囲気を醸し出しています。また、寓話として教訓や風刺を見いだすこともできるでしょう。短編かつ1話完結形式で構成されているため読みやすく、ライトノベル入門の一冊としてもオススメです。

『時をかける少女』と並び評されることも多い、高校を舞台にしたタイムトラベル系SFの小説です。緻密に練られたストーリー、斬新なアイデア、優れた構成力が生んだ古きよきライトノベル。ミステリー要素もあり、読み進めていくにつれ謎が明らかになり、パズルのピースがはまってっていくような感覚を体験できます。