赤い湿疹が広がる、手のひらの写真。
これは、21歳の男子大学生がコロナに感染した直後の4月に撮影したもの。
こうした湿疹が7月に入っても残るなど、男性は、さまざまな後遺症に苦しんでいる。
後遺症に苦しむ男子大学生(21)「結局、陰性が出たからといって治るわけじゃないんだなと」
男性は、4月1日に発熱。
PCR検査を受け、7日に陽性と診断された。
当時は、医療体制が逼迫(ひっぱく)していたため、ようやく入院できたのは、3週間後の29日。
そして、5月7日以降に陰性となり、9日に退院した。
しかし、体調不良は、さらに続いた。
後遺症に苦しむ男子大学生(21)「1カ月ぐらい前までは、買い物とかに行くにも息切れが激しくて、38度台の熱が夜出たりとか、あとは頭痛と倦怠(けんたい)感とかで起き上がれなかったりとかが続いて、水分とかもとれなくて、脱水症状気味になった」
37度台の熱や倦怠感は、今も続いているという。
さらに...。
後遺症に苦しむ男子大学生(21)「嗅覚障害と息切れと血管痛(血管の炎症)が続いている状況です。長時間外に出ている行動は、今でも難しいのかなと感じる」
現在は、大学を休学し、実家に戻って、家族の支えを受けながら生活しているという。
後遺症に苦しむ男子大学生(21)「3カ月以上症状が続いているにもかかわらず、これでも軽症。いつまで続くのかわからないので、恐怖はすごく大きい」
新型コロナウイルスの後遺症とみられる症例は、ほかにも記憶障害や関節痛、味覚や嗅覚の障害などさまざま。
いったいなぜなのか。
コロナ患者の治療にあたってきた讃井將満医師は、大きく2つの原因が考えられると指摘する。
自治医科大学付属さいたま医療センター集中治療部・讃井將満教授「サイトカインストームというような、いわゆる全身性の炎症が強く出て、ダメージを受けてしまう」
サイトカインストームとは、免疫システムの暴走のこと。
ウイルスが体内に侵入すると、それを攻撃する免疫細胞の活動が活発になる。
このとき、正常な細胞まで攻撃してしまい、炎症が起きるという。
もう1つの原因が、血栓。
讃井將満教授「血栓症として、大小さまざまな血管に血のかたまりが詰まって、血の流れが悪くなる。全体として、炎症をさらに強めることが考えられる」
感染者の後遺症に関する実態を把握するため、厚生労働省は、8月から2,000人を対象に調査を進めるとしている。
後遺症に苦しむ男子大学生(21)「軽症という言葉は軽く見られがちですが、全然軽くないので、それは気をつけてほしい」