北陸の4連休、観光客は近隣から 東京発は少なく

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2020/7/27 18:07

緊急事態宣言の解除後で最長の4連休となった23~26日、北陸3県のホテルや観光地は久しぶりににぎわった。外出の自粛疲れもあり、近隣県からの客が増えた。ただ、新型コロナウイルスの感染者が急増した東京方面の客が伸びなかったほか、「Go To トラベル」事業の効果も限定的。秋の観光シーズンに期待する声が聞かれた。

近江町市場で前年同時期の売り上げを上回った飲食店もあった(金沢市)

近江町市場で前年同時期の売り上げを上回った飲食店もあった(金沢市)

「5カ月ぶりに満室になった」。金沢彩の庭ホテル(金沢市)の本郷一郎支配人はこう語る。23、24日が満室で、25日の稼働率は75%だった。

顧客の属性は大きく変わった。通常の連休は東京からが2割だが、今回は1割に減少した。代わりに北陸3県と岐阜県から来た顧客が通常の1割から3割に増えた。

本郷支配人は「自粛が解除され、外出をしたい人が増えた」とみる。近隣ならば気兼ねなく行けると考えた旅行客が増えたようだ。Go To トラベルについては「事業の発表前からの予約がほとんどで効果はなかった。秋以降に期待している」と語る。

金沢市内では海産物で知られる近江町市場にも人が戻った。飲食店では23~24日の売上高が前年同期を上回る例もあった。

和倉温泉(石川県七尾市)の旅館、多田屋は客室稼働率が7~8割に達したが、富山や岐阜など近隣県や石川県内からの客が中心だった。通常は2割を占める東京からの顧客はほぼいなかった。「感染拡大に伴い、関東のお客を中心にキャンセルが相次いだ」という。

観光地にも多くの人が訪れた。東尋坊(福井県坂井市)では駐車場には福井県外のナンバーの車も多く見られた。東尋坊観光遊覧船で運航する遊覧船は席数を半分に制限したが、ほぼ満席の状況だった。

福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)は1日3千人を上限に完全予約制としたが、連休の4日間とも予約で一杯となった。地理的に近い関西と中部からの来館者が6割を占めたという。

ただ、北陸の看板となる観光スポットは、まだ前年との差が大きい。兼六園の来園者数は19年7月13~15日の3連休に比べ、6~7割前後の水準だった。「思ったよりも人が来たが、例年なら多い大型バスの団体客をほとんど見かけなかった」という。

富山、長野両県を結ぶ山岳観光路「立山黒部アルペンルート」ではコロナ禍に加えて悪天候という逆風も吹いた。4連休を含む20~26日の利用者は前年同期比6割減の約1万630人だった。個人は4割減だったが団体利用が99%減った。

トロッコ列車の黒部峡谷鉄道(富山県黒部市)でも、全体の3割程度を占める団体客が大幅に減少した。4連休中の利用者数は1日あたり約1000人と、前年の同時期の土日に比べて3分の1にとどまった。

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